Excelファイルはパスワードで暗号化することができ、セキュリティを高めることができます。しかし設定したパスワードが不要になることがあります。
本記事では、Excel2016の読み取り・書き込みパスワードの解除方法を紹介します。
また、Excelファイルのパスワードを忘れてしまった・パスワードがわからない時の対処法についても解説します。ファイルが編集できない、開けないという時に参考にしてみてください。
この記事の内容
Excelの読み取りパスワード設定を解除する
読み取りパスワードはファイルを開いて閲覧するために必要なパスワードです。このパスワードを解除するには以下の手順で操作します。
読み取りパスワードを解除する①
- パスワードを解除したいExcelファイルを開きます。読み込みパスワードを入力し、通常通り開いてください。
- 上部のタブから「ファイル」を選択します。
- 左のリストから「名前をつけて保存」をクリックします。
- 「名前をつけて保存」ウィンドウが表示されます。ウィンドウの下に「ツール」というボタンがあるのでクリックします。
(*もし表示されない場合は、「ファイル名」「ファイルの形式」の入力欄の下にある「その他のオプション」の文字をクリックします。) - メニューが表示されます。「全般オプション」を選択します。
- 「読み取りパスワード」の項目を確認します。パスワードが設定されている場合はこの入力欄にパスワードが書き込まれているはずなので、入力されている文字を削除します。
- 入力欄を空欄にしたら「OK」ボタンをクリックします。
- 変更前のファイルを残しておきたいなど、必要であればファイルの名前や保存場所を変更します。
- 最後に「保存」ボタンを押してファイルを保存します。
読み取りパスワードは以下の操作でも解除可能です。
読み取りパスワードを解除する②
- パスワードを解除したいExcelファイルを開きます。読み込みパスワードを要求されたら通常通り入力し、解除します。
- 上部のタブにある「ファイル」をクリックします。
- 「ブックの保護」ボタンをクリックします。
- メニューが表示されるので、「パスワードを使用して暗号化」を選択します。
- 「ドキュメントの暗号化」ウィンドウが表示されます。既に読み込みパスワードが設定されている場合は入力欄に既にパスワードが入力されているはずです。パスワードを解除するには、入力済みの文字を全て削除します。
- 入力欄が空欄になった状態で「OK」をクリックします。
これでパスワードの解除は完了です。Excelファイルを起動しなおし、パスワードを入力しなくてもファイルが開けるようになったことを確認してください。
Excelの書き込みパスワード設定を解除する
書き込みパスワードはファイルの編集を行うために必要なパスワードです。
書き込みパスワードは先程紹介した『読み取りパスワードを解除する』と同じ手順で解除することができます。
上の手順を参考にしながら操作を進め、「全般オプション」ウィンドウが表示されたら「読み取りパスワード」の代わりに「書き込みパスワード」を削除して「OK」ボタンを押してください。
パスワードを忘れた・わからない時の対処法
Excelの読み込み・書き込みのパスワードは、忘れてしまった場合にパスワードの解除はできません。ただしいくつか解除方法は存在しており、それらを試すことで解除できる可能性はあります。
書き込みパスワードを解除する
書き込みパスワードの解除は比較的簡単です。Excelファイルに含まれている特定のXMLファイルから書き込みパスワードの設定情報を削除すればパスワードを解除することができます。
XMLファイルの取り出しを行うにはExcelファイルを分解する必要があります。ExcelファイルはXMLファイルの集まりをzip形式で圧縮したものです。
そのため、Excelファイルをzip形式として展開することで特別なツールを使わずXMLファイルを取り出すことができます。
最初に、万が一のファイル破損に備えてこれからパスワード解除を行うExcelファイルをコピーしてバックアップを作成しておきましょう。
(1)Excelファイルを展開してXMLを取り出す
Excelファイルを展開するためには、拡張子(.xlsx/.xlsm)を変更する必要があります。ファイル名に拡張子が付いていることを確認して下さい。
もしファイル名のみしか表示されていない場合は、次の手順で拡張子を表示します。
- 「スタート」を右クリック→「エクスプローラー」を開きます。
- 「表示」タブをクリックして「隠しファイル」にチェックを入れます。
拡張子が表示できたら、Excelファイルの拡張子の変更を行います。
- Excelファイルを右クリック→「名前の変更」を行い、末尾にある「.xlsx」または「.xlsm」の部分を「.zip」に変更します。
- ファイルをダブルクリックし、ファイルの中身を見ます。
- 「xl」フォルダを開きます。その中に「workbook.xml」というファイルがあるはずなので探します。
- 圧縮フォルダ内のファイルをそのまま編集することはできないので、「workbook.xml」ファイルをコピーし、別の場所に貼り付けます。
(2)ExcelのXMLを編集する
コピーで取り出した「workbook.xml」ファイルを編集します。
- 「workbook.xml」をメモ帳で開きます。ダブルクリックでメモ帳が起動しない場合はファイルを右クリックし、「プログラムから開く」→「メモ帳」を選択します。
- ファイルの内容を確認し、以下のような””で始まるタグを探します。
<filesharing userName="xxxxxxxx" algorithmName="SHA-512" hashValue="xxxxxxxx" saltValue="xxxxxxxx" spinCount="100000"/>
- タグが見つかったら、””までを全て削除します。
- 「名前をつけて保存」を選択し、「文字コード」を「UTF-8」に設定してファイルを保存します。
(3)XMLをZIPファイルに上書きする
- 編集したファイルを元のZIPファイルの同じ場所に戻して上書きします
- 最後に拡張子を元に戻します。ファイルの拡張子「.zip」部分を元の「.xlsx」または「.xlsm」など、元の拡張子に変更します。
- ダブルクリックで開き、パスワードが要求されなくなったこと、ファィルが編集できることを確認します。
読み取りパスワードを解除する
残念ながら読み取りパスワードのかかったExcelファイルは、ファイルそのものが暗号化されているため、パスワードの解除は非常に困難です。
どうしても読み取りパスワードを解除したい場合にはパスワードの総当たりを行うしかありません。その際には以下のような解析ツールを利用すると良いでしょう。
使い方については、別記事の『Word2016のパスワード解除方法』で紹介しているWord用のパスワード解析ツール「Word UnPassword」とほとんど同じです。パスワードの総当たりを試したい方は併せて参考にしてみて下さい。