メールの送受信にメールクライアントを使う場合、設定を行う際にIMAPとPOP3のどちらのプロトコルを使うかを選ぶ必要があります。
メールアカウントをIMAPとPOP3で設定するとどう影響するのか、どちらで設定すれば良いのか迷う方も多いと思います。
この記事では、メールのIMAPとPOP3の違いとそれぞれの特徴を比較して紹介します。どちらのプロトコルを使うか迷っている方は、参考にしてください。
IMAPとは
IMAP(Internet Message Access Protocol)とは、サーバー上にあるメールをリモートアクセスして閲覧・操作するためのプロトコルです。
IMAPは、メールサーバ上にメールデータを残したまま、デバイス内に一時的に保存(キャッシュ)します。
Gmailなどのフリーメールサービスをメーラーで使う場合は、このプロトコルを用いることが多いかもしれません。2019年時点で一般的に利用されているIMAPはVersion 4なので、IMAP4と呼ばれます。
IMAPのメリット・デメリット
メールを受信する際にIMAPを使うメリット・デメリットは以下の通りです。
IMAPを使うことを検討している場合は、一度チェックしておきましょう。
メリット
IMAPを使う主なメリットは次の通りです。
- 複数のデバイスで同じ受信/送信トレイを利用できる
- メール操作は全てサーバー上に同期されるため、環境が異なっても同じ受信/送信トレイを利用できます。
- フォルダ分けや既読・未読の設定も全てのデバイスに共有されます。
- メールがサーバー上に保管される
- メールはサーバ側に保管され、デバイス側にはキャッシュデータが保存されます。そのため、デバイスが故障した場合でもメールが消失しないで済みます。
- デバイスの容量が節約できる
- メールはサーバ側に保管されるため、デバイス側で使用するストレージ量が節約できます。
PCとスマホなど、複数のデバイスで同じメールアカウントを使っている場合に便利です。
デメリット
- オンライン環境でないとメールを見れない
- メールそのものはサーバに保管されているため、閲覧するためにはオンライン環境が必要です。
- ただし、メールクライアントによってはオフラインでも読めるよう設定できます。
- メールサーバーの容量が圧迫される
- メールを削除しない限り、サーバー上のメールは消えません。手動で不要なメールを削除して空き容量を確保する必要があります。
- サーバーの容量が上限一杯になると新しいメールを受信できなくなります。
POP3とは
POP3(Post Office Protocol Version 3)とは、受信したメールをデバイスにダウンロードして閲覧・操作するためのプロトコルです。
「Post Office」とある通り、郵便配達をイメージすると理解しやすいかもしれません。
POP3でメールを受信すると、メールがデバイスのストレージにダウンロードされて、サーバー側のメールデータは削除されます。
ただし、ほとんどのメールクライアントでは、ダウンロードしたメールをサーバー上にコピーとして残す機能があります。
POP3のメリット・デメリット
一方でPOP3を利用してメールを管理するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
POP3の主なメリットは次の通りです。
- メールの送受信以外の操作がオフラインでできる
- 一度受信したメールはデバイス上に保存されるため、オフラインでメールを閲覧できます。
- メールサーバの容量を節約できる
- 受信済みメールが自動で削除される仕組みになっているため、メールサーバーの容量をほとんど考慮せずに使うことができます。
デメリット
- デバイスによって送信/受信トレイの状態が異なる
- 同じメールアカウントを使用していても送信/受信トレイの状態がデバイスごとで異なります
- フォルダ分けをデバイス別で行わなければならない
- デバイス内にメールデータが保存される
- デバイスの故障などでメールデータが失われた場合、復旧することができません。
- デバイスのストレージを圧迫する
- メールは常にダウンロードされるため、デバイスのストレージ容量を圧迫します。
POP3を利用している場合はプロトコルの仕組み上、別のデバイスからメールをチェックできません。
ただし、メーラーによってはPOP3で受信してもサーバにメールを残す設定ができるので、必要な場合はこの機能が搭載されているものを選びましょう。
IMAP・POP3はどっちを選べば良い?
IMAP・POP3にはそれぞれメリットがあるため、自分がメールを使う状況に合わせて選択して下さい。
ここまでの解説を読んでも判断できない場合は、次に選ぶポイントを紹介するので参考にしてみて下さい。
「IMAP」を選ぶ場合
- 複数のデバイスから同じ環境でメールを使いたい
- メールを使う時にインターネットに接続している
- デバイスのストレージ容量が少ない
- メールをバックアップしておきたい
PCやスマホ・タブレットなど複数のデバイスで同じメールアドレスを利用したい場合は、IMAPの利用を検討してみてください。
IMAPは、未読メールの情報やフォルダ分け、ローカルの編集なども全て同期されるため大変便利です。また、メールは自動で同期されサーバー上に残っているためバックアップの対策にもなります。
「POP3」を選ぶ場合
- メールアカウントを使うデバイスは1台だけ
- オフラインでもメールを確認する場面が多い
- サーバーのストレージ容量が少ない
POP3は、メールのコピーをサーバに残す設定しておくことで、複数のデバイスでも同じメールアドレスを使うことができます。ただし、デバイスごとにメールの保管状態が異なってしまいます。
どちらか迷った場合は、基本的にはIMAPでメールを設定することをおすすめします。