Windows10でタスクマネージャーを確認すると「Acrotray.exe」という名前のプロセスがバックグラウンドで勝手に実行しているケースがあります。
Acrotrayは直接インストールするプログラムではないため、プログラム名に覚えがなく、ウイルスやマルウェアではないかと心配に思う方も多いと思います。
本記事では、Windows10で起動する「AcroTray.exe」の概要と、起動を停止・無効化する方法について詳しく紹介します。
この記事の内容
AcroTray.exeとは
AcroTray.exeとは、Adobe Acrobat DCやAdobe Acrobat Readerと同時にインストールされるヘルパーアプリケーションです。
Acrotrayの正式な名称はAdobe Acrobat Tray Iconです。アプリケーションの実行ファイルは、Acrobatのインストールディレクトリにあります。
AcroTrayは、Windowsの起動時に自動で起動してドキュメントファイルをPDFファイルに変換する際に使用されます。
ウイルスやマルウェアなどの悪意のあるプログラムではないため、起動していても通常PCに悪影響はありません。ただし、PCの起動速度やメモリの使用率に若干の影響はあります。
AcroTrayを停止・無効化しても大丈夫?
AcroTrayは、Adobe Acrobatを起動する際やPDF変換機能を使用する際に自動的に起動します。また、ファイルやフォルダを右クリックする際にも呼び出されます。
そのため、Adobe Acrobatを使用しない場合は、AcroTrayの動作を停止したり、スタートアップを無効化しても問題ありません。
ただし、AcroTrayを無効化することでAcrobatに関連する一部の機能が動作しなくなる恐れがあるため、問題が発生した場合はスタートアップの設定を有効に戻してください。
AcroTrayを停止する方法
起動しているAcroTray.exeの動作を停止したい場合は、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択して起動します。
- 詳細表示になっていることを確認して「プロセス」タブをクリックします。
- 簡易表示の場合は左下の「詳細」をクリックしてください。
- 「Acrotray」を右クリックして「タスクの終了」をクリックします。
以上で、AcroTrayの動作を停止することができます。
ただし、上記の手順で停止しても、PCを再起動するとAcroTrayが自動で起動してしまいます。AcroTrayの自動起動を停止したい場合は、次の方法を試してください。
AcroTrayのスタートアップ起動を無効化する方法
PCの起動時にAcroTray.exeを起動しないようにするには、スタートアップの設定を無効化する必要があります。スタートアップを無効化するには、次の方法を試してください。
方法1: タスクマネージャから無効にする
タスクマネージャからAcroTray.exeのスタートアップを無効にすることができます。具体的には、次の手順で設定してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択して起動します。
- 「スタートアップ」タブをクリックします。
- 簡易表示の場合は左下の「詳細」をクリックしてください。
- 一覧から「Acrotray」を右クリックして「無効化」を選択します。
- 状態が「無効」になったら設定完了です。PCを再起動してスタートアップ設定を反映します。
PCが再起動できたら、タスクマネージャの「プロセス」タブでAcrotrayが起動していないことを確認してください。
方法2: アプリと機能の設定から無効にする
アプリと機能の設定からAcroTray.exeのスタートアップを無効にすることもできます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 左ペインで「スタートアップ」をクリックします。
- 右ペインの一覧から「Acrotray」のスイッチを「オフ」に変更します。
- PCを再起動して、スタートアップの設定を反映します。
PCが再起動できたら、同様にタスクマネージャーでAcrotrayが起動していないことを確認してください。
方法3: Adobe関連のアプリケーションの起動を全て無効化する
ここまでの方法でAcrotrayのスタートアップを無効化しても起動してしまう場合があります。
上記の問題は、その他のAdobe関連のアプリケーションのスタートアップが原因になっていることが考えられます。
そのため、次の手順で全てのAdobe関連のアプリケーションのスタートアップを無効化してみてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「services.msc」と入力して「OK」をクリックして、サービスを起動します。
- サービスの一覧から、「Adobe Acrobat Update」と「Adobe Genuine Software Integrity」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- スタートアップの種類を「手動」に変更して「OK」をクリックします。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択して起動します。
- 「スタートアップ」タブを開いて、「Adobeを含むアプリケーション」を全て右クリックして「無効化」します。
- PCを再起動して、スタートアップの設定を反映します。
上記の手順でAdobe関連の全てのスタートアップを無効できたら、タスクマネージャーでAcroTray.exeが起動しないことを確認してください。
方法4: Autorunsユーティリティを使用して無効化する
スタートアップの一覧で「Acrotray」の項目が見つからなかったり、設定を無効にしてもAcroTrayが起動する場合は、Windows Sysinternalsで提供されているAutorunsユーティリティの使用を試してみてください。
Autorunsユーティリティは、Windows起動時に起動する全てのアプリケーションのスタートアップを制御することができます。
Autorunsユーティリティを使用して、AcroTrayの起動を無効化するには、次の手順で操作します。
- 『Autoruns for Windows - Windows Sysinternals』のページにアクセスして、「Download Autoruns and Autorunsc」のリンクをクリックします。
- ダウンロードした「Autoruns.zip」を右クリックして「すべて展開」を選択します。
- 展開ウィザードが起動するので、展開先を指定して「展開」をクリックします。
- 展開したフォルダ内の「Autoruns64.exe」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- Windowsが32bitの場合は、「Autoruns.exe」を起動してください。
- ライセンスの確認が表示されたら「Agree」をクリックします。
- 「Everything」タブを開いていることを確認して、「Filter:」のテキストボックスに「Adobe」と入力して検索します。
- 一覧から「Acrobat Assistant(AcroTray)」とその他のAdobeの関連アプリケーションのチェックを外します。
- Adobeの関連アプリケーション: Adobe Updater Startup Utility、Adobe Acrobat Synchronizerなど
- PCを再起動して設定を反映します。
以上の手順で、Autorunsユーティリティを使用してAcrotrayの起動を無効化することができます。
方法5: コンテキストメニューのレジストリを編集する
ファイルやフォルダの右クリック時にAcrotrayが起動してしまう場合は、コンテキストメニューのレジストリを編集することで起動を無効化できます。
コンテキストメニューのレジストリを編集するには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力して「OK」をクリックして、レジストリエディタを起動します。
- 上部メニュー「ファイル」→「エクスポート」を選択して、レジストリのバックアップを保存しておきます。
- 左ペインのツリーを展開して次のキーのアクセスします。
コンピューター\HKEY_CLASSES_ROOT\*\shellex\ContextMenuHandlers\Adobe.Acrobat.ContextMenu
- レジストリーキーが見つからない場合は、手順7に進んでください。
- 右ペインで「{Default}」の値をダブルクリックして開きます。
- 値のデータの選択に「-」を追加して「OK」をクリックします。
- 左ペインのツリーを展開して次のキーのアクセスします。
コンピューター\HKEY_CLASSES_ROOT\Folder\shellex\ContextMenuHandlers\Adobe.Acrobat.ContextMenu
- レジストリーキーが見つからない場合は、別の対処を試してください。
- 右ペインで「{Default}」の値をダブルクリックして開きます。
- 値のデータの選択に「-」を追加して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してレジストリの設定を反映します。
以上の手順で、右クリック時のAcrobatのメニューが消えてAcrotrayが起動しなくなります。
レジストリを変更して、Acrobatの動作に問題が起きた場合は、バックアップしたレジストリファイルをダブルクリックして復元してください。
方法6: Adobe Acrobatをアンインストールする
Acrotrayをどうしても無効化したい場合は、Adobe Acrobatをアンインストールすることで起動を完全に無効化することができます。
Adobe Acrobatをアンインストールするには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で「Adobe Acrobat DC」もしくは「Adobe Acrobat Reader」を選択します。
- 「アンインストール」→「アンインストール」の順にクリックします。
- ウィザードにしたがってアンインストールを完了します。
Adobe AcrobatをアンインストールするとPDFの閲覧ができなくなるため、アンインストール後に代替のアプリケーションをインストールすることをおすすめします。