Windows10のPCで、特定のアプリケーションの起動時やWindowsのサインイン・シャットダウン時に「RPCサーバーを利用できません」というエラーが発生するケースがあります。
RPCサーバーのエラーは、通常ネットワーク経由で他のデバイスやコンピュータと通信ができない際に発生します。
今回は、Windows10で「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生する原因と対処法について詳しく紹介します。
この記事の内容
「RPCサーバーを利用できません」エラーが発生する原因
「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生する主な原因としては、次のようなことが考えられます。
- RPCサービスが起動していない
- ファイアウォールが通信をブロックしている
- ネットワークアダプターの機能の一部が無効になっている
- DNSキャッシュ・IPアドレスに問題がある
- バックグラウンドのアプリケーションに問題がある
アプリケーションの起動時にエラーが発生する場合は、ネットワーク関連に問題があることが考えられます。
また、サインインやシャットダウン時にエラーが発生する場合は、バックグラウンドのアプリケーションに問題があることが考えられます。
いずれの場合も、紹介する対処方法で解決できるケースが多いため、順に試してみてください。
対処1: RPCサービス動作状況を確認する
単純にRPCサービスが無効になっていることが原因で、「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生しているケースが考えられます。
そのため、RPCサービスが実行される設定になっているか確認してください。RPCサービスの設定を確認するには、次に手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を起動します。
- 「services.msc」と入力してEnterキーを押します。
- 「サービス」が起動します。サービスの一覧から次のサービスをダブルクリックしてプロパティを開きます。
- DCOM Server Process Launcher
- Remote Procedure Call(RPC)
- RPC Endpoint Manager
- それぞれのサービスで「状態」と「スタートアップの種類」が次のようになっているか確認してください。
- 状態: 実行中
- スタートアップの種類: 自動
サービスが正常に起動している状態であれば設定に問題はありません。別の原因が考えられるので、『対処3: ファイアウォールの設定を修正する』以降の対処方法を試してみてください。
サービスの状態が「停止」になっている場合や、スタートアップの種類が「無効」や「手動」になっている場合は、RPCサービスの設定に問題があります。
プロパティ上では設定を変更することができないため、次の『対処2: レジストリを編集する』の対処法を参考に設定を変更してください。
対処2: レジストリを編集してRPCサーバーを有効にする
RPCサービスが起動していない場合は、サービスを起動できるようにレジストリを編集する必要があります。
次の手順で、レジストリエディタを起動してRPCサービスに関連するキーの値を変更してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力してEnterキーを押します。
- レジストリエディタが起動したら、左ペインのツリーを展開して次のレジストリキーにアクセスします。
- コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\RpcSs
- コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\DcomLaunch
- コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\RpcEptMapper
- RpcSs、DcomLaunch、RpcEptMapperのそれぞれのキーを選択して、右ペインで「Start」をダブルクリックします。
- 値のデータを「2」に変更して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してレジストリを反映します。
以上の設定でRPCサービスの起動が有効になります。再起動後に「RPCサーバーを利用できません」のエラーが解決したか確認してください。
対処3: ファイアウォールの許可設定を行う
ファイアウォールによってRPC関連の通信がブロックされていることが原因で、「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生するケースがあります。
そのため、セキュリティソフトの機能を無効にした状態で、RPCサーバーのエラーが発生するか確認してください。エラーが解決した場合は、セキュリティソフトに原因があると判断できます。
セキュリティソフトに原因があった場合は、ファイアウォールの許可設定でリモートアシスタントの通信を許可します。
Windows10標準のWindowsセキュリティの場合は、次の手順で設定することができます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインで「Windowsセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックします。
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリックします。
- 右上の「設定の変更」をクリックします。
- 「リモートアシスタント」の左のチェックボックス、「プライベート」と「パブリック」のチェックボックスを「オン」に変更します。
- 上記の設定だけでエラーが解決しない場合は、エラーが出るプログラムも同様に許可設定を行なってみてください。
- 「OK」を押して設定を保存します。
ファイアウォールの許可設定ができたら、セキュリティソフトを有効にしている状態で「RPCサーバーを利用できません」のエラーが出なくなったことを確認してください。
対処4: ネットワークアダプターの設定を修正する
ネットワークアダプターの設定で一部の機能が無効になっていることが原因で、「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生するケースがあります。
そのため、ネットワークアダプターの設定を確認して、問題がある場合は設定を変更してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインで「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
- 使用しているネットワークを右クリックして「プロパティ」を開きます。
- ネットワークは、有線の場合は「イーサネット」、無線の場合は「Wi-Fi」を選択してください。
- 機能の一覧から次の項目にチェックが付いているか確認します。無効になっている場合は、チェックを付けてください。
- Microsoftネットワーク用ファイルとプリンター共有
- インターネットプロトコルバージョン6(TCP/IPv6)
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
ネットワークアダプターの設定を変更した場合は、再度アプリケーションを起動して「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生するか確認してください。
対処5: DNSキャッシュとIPアドレスを更新する
DNSキャッシュもしくはIPアドレスに問題があり、「RPCサーバーを利用できません」のエラーが発生するケースがあります。
そのため、DNSキャッシュとIPアドレスを更新することで問題が解決する可能性があります。DNSキャッシュとIPアドレスを更新するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択して起動します。
- 以下のコマンドを順番に入力してEnterキーで実行します。
ipconfig /flushdns ipconfig /renew
以上で、DNSキャッシュとIPアドレスを更新することができます。更新ができたらPowerShellウィンドウを閉じて、エラーが解決したか確認してください。
対処6: 原因のアプリケーションの起動を停止する
一部のPCではWindowsにサインインしようとすると「RPCサーバーを利用できません」のエラーが出て、Windowsを起動できないケースがあります。
上記の現象が起きている場合は、バックグラウンドで動作しているアプリケーションが原因として考えられます。
そのため、PCをセーフモードで起動してから、原因となっているアプリケーションを起動しないように設定を変更してください。具体的には次の手順で操作します。
1. セーフモードで起動する
Windowsにサインインができない状態の場合は、まず回復環境からセーフモードで起動します。
- 『Windows回復環境』を起動します。
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」とクリックして進みます。
- 「再起動」ボタンをクリックします。パソコンの再起動が開始されるので、しばらく待ちます。
- 「スタートアップ設定」画面が表示されたら、キーボードの「5」、もしくはFunctionキーの「F5」を押して「セーフモードとネットワークを有効にする」を選択します。
- PCがセーフモードで起動します。
2. 原因のアプリケーションのスタートアップを無効にする
セーフモードで正常に起動できた場合は、バックグラウンドで動作していたアプリケーションが原因だったと判断できます。
セーフモードの状態のまま、次の手順で原因として疑われるアプリケーションのスタートアップを無効にしてみてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択します。
- 「スタートアップ」タブを開きます。
- 「原因として疑われるアプリケーション」を右クリックして「無効化」を選択します。
- 疑わしいアプリケーションは、一旦全て無効化することをおすすめします。
- PCを再起動してセーフモードを解除した状態でエラーが出ないか確認します。
通常起動でRPCサーバーのエラーが解決した場合は、無効化したアプリケーションのいずれかに原因があります。
再度「タスクマネージャー」の「スタートアップ」タブで、無効にしたアプリケーションを1つずつ有効に戻して、原因のアプリケーションを特定してください。