Windows10が搭載されている一部のパソコンでは、「Sモード」という機能が有効になっていることがあります。
Sモードは、Surfaceなどの一部のWindowsPCで工場出荷時に設定されています。
本記事では、Windows10の「Sモード」の概要とメリット・デメリットについて紹介します。また、Sモードの確認方法・解除方法も併せて紹介します。
Windows10のSモードとは
Windows10のSモードとは、デバイスのセキュリティとパフォーマンスを高めるために一部の機能を制限するWindows10のモード設定です。
一部のメーカー製パソコンやSurface Goシリーズでは、デバイスの購入時点にSモードが有効になっていることがあります。
通常のWindows10では、ユーザーが自由にパソコンの設定をカスタマイズしたり、好きなアプリをインストールしたりすることができます。
しかし、カスタマイズやインストールが自由な反面、設定変更によりパソコンの動作に問題が起きたり、有害なマルウェアをインストールしてしまう等の深刻なシステムトラブルを起こすリスクがあります。
Windows10のSモードでは、リスクのある操作ができないよう制限されるため、Windows10の安全性を高めることができます。
例えば、Microsoft Storeを経由せずアプリをダウンロードしたり実行しようとすると、「Windowsのこのモードでは、Microsoft Storeの検証されたアプリのみを実行します」というエラーメッセージが表示され、インストールや起動ができない状態になります。
Sモードのメリットとデメリット
Windows10のSモードのメリットとデメリットは、それぞれ次の通りです。
メリット
- アプリのインストールをMicrosoft Store経由に制限できる。
- Microsoftによって危険性が検証されたアプリのインストールに制限できるため、マルウェアの感染を防ぐことができます。
- 提供元が不明で危険性のあるアプリケーションのインストールを防ぐことができます。
- デバイスの起動や動作が高速・快適になる。
- 機能が制限されるため、通常のWindows10に比べてPCのパフォーマンスが向上します。
- バッテリーの持ち時間が向上する
ネット上でダウンロードしたアプリケーションをインストールできなくなるため、操作ミスでデバイスを危険な状態に晒してしまったり、ウイルスや有害サイト、有害アプリの被害に遭うリスクが大きく下がります。
また、バックグラウンドで動作するサービスも一部制限されることで、PCの起動・動作・バッテリー持ちが向上します。
上記のメリットから、Sモードは安全性を重視したいと考えるユーザーや、データを厳重に守る必要がある業務用デバイスに向いている機能と言えます。
デメリット
- Microsoft Store経由のアプリしかインストールできない。
- 既定ブラウザはMicrosoft Edgeに、既定検索エンジンはBing固定され、どちらも変更できない。
- コマンドプロンプト・Windows PowerShell・レジストリエディタ等、一部のシステム管理ツールが使えない。
- プリンター・マウス・キーボード・ウェブカメラ等のデバイスが正常に動作しなくなることがある。
- デバイスが正常に動作しないトラブルについては、以下のページで詳細な互換性情報を確認してください。
- デバイスが正常に動作しないトラブルについては、以下のページで詳細な互換性情報を確認してください。
Sモードでは、上記のようなシステムの一部の設定が変更や、Microsoft Storeにあるアプリ以外はインストールできない等の制限を受けます。
セキュリティやパフォーマンスが向上する反面、PCの一部の自由度や互換性が失われることがデメリットと言えます。
Sモードか確認する方法
使用中のWindows10がSモードになっているかどうかを確認するには、次の手順で操作します。
- タスクバーにある「スタート」をクリックします。
- スタートメニューが開いたら、歯車アイコンの「設定」をクリックします。
- 「Windowsの設定」が開きます。「システム」をクリックします。
- ウィンドウ左のメニューリストにある「バージョン情報」をクリックします(下の方にあります)。
- 「バージョン情報」が表示されたら、「Windowsの仕様」の情報を確認します。
- 「エディション」の右に「in S mode」または「S」の表記があれば、デバイスは現在Sモードです。
エディションの名前が「Windows 10 Home」か「Windows 10 Pro」のどちらかの場合は、Sモードが解除済みか、元々SモードではないWindowsがインストールされています。
Sモードの解除方法
Sモードの機能が不要な場合や、Sモードによる機能制限が原因でPCの使用に支障がある場合があると思います。
Sモードは設定からいつでも無料で解除することができます。Sモードを解除するには次の手順で操作してください。
- 確認の時と同様、「スタート」ボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 「Windowsの設定」が表示されたら「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左のメニューリストより「ライセンス認証」をクリックします。
- 「Windows 10 Homeに切り替える」または「Windows 10 Proに切り替える」の項目を探し、すぐ下にある「Microsoft Storeに移動」のリンクをクリックします。
- Microsoft Storeが起動し、「Sモードをオフにする」のページが表示されます。「入手」ボタンをクリックします。
- 「Microsoft Store」の画面が表示されてしまう場合はストアアプリの更新が行われているので、しばらく待って更新が完了してからもう1度操作をやり直してみてください。
- しばらくすると「インストール」ボタンが表示されるので「インストール」をクリックします。以上でSモードの解除は完了です。
解除の注意点
Sモードは、一度解除するとSモードに戻すことはできなくなってしまうので注意してください。
機能制限が排除されるだけですので一般的には解除しても問題ないことがほとんどです。
しかし、Sモードによる保護がなくなりデバイスのセキュリティが下がるため、解除後は必要に応じてセキュリティソフトを導入することをおすすめします。
また、学校や企業等の組織のデバイスでは敢えてSモードに設定されていることもあります。そのようなデバイスは解除の前に必ずデバイスの管理者に確認してください。
解除ができない場合
Sモードが解除ができない場合は、最新版のWindows Updateを適用してから解除の手順をやり直してみてください。
また、稀にMicrosoftのサーバー側の不具合で解除ができなくなることがあります。
Windows Updateを適用しても解除ができなければ、2~3日程度待ってから再度Sモードの解除を試して下さい。どうしても解除できない場合は、『Microsoftサポート』へ問い合わせてみてください。