WindowsのPCを使用しているとWindowsセキュリティに「デバイスのセキュリティ: メモリ整合性はオフです。お使いのデバイスは脆弱な状態にある可能性があります。」の警告エラーが表示されることがあります。
この警告は、Windowsセキュリティの設定でメモリ整合性をオンにすることで解決しますが、グレーアウトしてスイッチをオンにできない場合があります。
本記事では、Windows11でメモリ整合性がオンにできない時の対処法について紹介します。
この記事の内容
メモリ整合性をオンにする方法
Windowsセキュリティのメモリ整合性の機能がオフになっていると「メモリ整合性はオフです。お使いのデバイスは脆弱な状態にある可能性があります。」のエラーメッセージが表示されます。
このメッセージはメモリ整合性の機能をオンにすることで解決し消えます。Windowsセキュリティの設定でメモリ整合性の機能をオンにするには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「プライバシーとセキュリティ」をクリックします。
- 「Windowsセキュリティ」をクリックします。
- 「Windowsセキュリティを開く」をクリックします。
- Windowsセキュリティのウィンドウが開いたら、「デバイスセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「コア分離の詳細」をクリックします。
- 「メモリ整合性」のスイッチを「オン」に切り替えます。
上記の手順で進めてもメモリ整合性の項目がグレーアウトしてオンにできずエラーが表示される場合は、以降の対処を試してください。
対処1: 互換性のないドライバーを確認する
互換性のないドライバーがインストールされていることが原因で、メモリ整合性の機能がグレーアウトしてオンにできないケースが考えられます。
そのため、互換性のないドライバーを確認してアンインストールすることで問題が解決する可能性があります。互換性のないドライバーを確認するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「プライバシーとセキュリティ」をクリックします。
- 「Windowsセキュリティ」をクリックします。
- 「Windowsセキュリティを開く」をクリックします。
- Windowsセキュリティのウィンドウが開いたら、「デバイスセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「コア分離の詳細」をクリックします。
- 「互換性のないドライバーを確認する」をクリックします。
- 互換性のないドライバーが一覧で表示されます。ドライバーファイル名(.sys)やメーカーを確認します。
互換性のないドライバーを確認できたら、関連するアプリケーションをアンインストールしてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「インストールされているアプリ」を選択します。
- アプリ一覧で、互換性のないドライバーに関連するアプリを探します。
- 互換性のないドライバーに関連するアプリの右側の「3点アイコン」をクリックして「アンインストール」を選択します。
- 確認ポップアップが表示されたら「アンインストール」をクリックします。
- 補足: ドライバーに関連するアプリを最新バージョンにアップデートすることで、エラーが解決する場合もあります。
互換性のないドライバーに関連するアプリケーションをアンインストールできたら、PCを再起動してからメモリ整合性を正常にオンにできるようになったか確認してください。
対処2: 問題のあるドライバーを検出して削除する
互換性がなかったり破損しているドライバーが原因で、メモリ整合性の機能をオンにできないケースが考えられます。
そのため、Microsoftが公開しているAutorunsを使用して、問題のあるドライバーを検出してアンインストールすることで、エラーが解決する可能性があります。
Autorunsを使用して問題のあるドライバーを検出するには、以下の手順で操作します。
- 『Autoruns for Windows - Windows Sysinternals』のページにアクセスして、「Download Autoruns and Autorunsc」のリンクをクリックします。
- ダウンロードした「Autoruns.zip」を右クリックして「すべて展開」を選択します。
- 展開ウィザードが起動するので、展開先を指定して「展開」をクリックします。
- 展開したフォルダ内の「Autoruns64.exe」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- Windowsが32bitの場合は、「Autoruns.exe」を起動してください。
- ライセンスの確認が表示されたら「Agree」をクリックします。
- 「Drivers」タブを開きます。
- ハイライト表示されているドライバーを探し、左のチェックボックスを「オフ」にします。
- ドライバーを無効にする際にエラーが発生する場合は、右クリックして「Delete」を選択します。
- PCを再起動して設定を反映します。
PCが再起動したら、Windowsセキュリティの設定でメモリ整合性をオンにできるようになったか確認してください。
対処3: レジストリを編集してメモリ整合性をオンにする
メモリ整合性がグレーアウトしてオンにできず「メモリ整合性はオフです」エラーが発生する場合は、レジストリの設定を変更することで問題が解決する可能性があります。
ただし、レジストリの設定を変更するとWindowsの動作に問題が起きる恐れがあるため、バックアップを取ってから行なってください。レジストリを編集してメモリ整合性をオンにするには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 名前に「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- レジストリエディタが開いたら、以下のキーにアクセスします。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\DeviceGuard\Scenarios\HypervisorEnforcedCodeIntegrity
- 「HypervisorEnforcedCodeIntegrity」キーを選択した状態で、右ペインで「Enabled」の値をダブルクリックします。
- 値のデータを「0」から「1」に変更して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してレジストリを反映します。
PCを再起動できたら、Windowsセキュリティの設定を開きメモリ整合性をオンにできるようになったか確認してください。
対処4: Windowsセキュリティをリセットする
Windowsセキュリティの設定に何らかの問題があることが原因で、メモリ整合性の機能がグレーアウトしてオンにできないケースが考えられます。
そのため、Windowsセキュリティの設定をリセットすることで、問題が解決する可能性があります。Windowsセキュリティをリセットするには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「インストールされているアプリ」を選択します。
- アプリ一覧で「Windowsセキュリティ」の右の「3点アイコン」をクリックして「詳細オプション」を選択します。
- リセットの項目にある「修復」ボタンをクリックします。
- 確認ポップアップが表示されたら「リセット」をクリックします。
Windowsセキュリティをリセットできたら、Windowsセキュリティの設定でメモリ整合性をオンにできるようになったか確認してください。
対処5: 破損したシステムファイルを修復する
Windowsのシステムファイルが一部破損していることが原因で、メモリ整合性の設定をオンにできないケースが考えられます。
そのため、Windowsのシステムファイルを修復することで、問題が解決する可能性があります。システムファイルを修復するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windowsターミナル(管理者)」を選択します。
- PowerShellウィンドウが開いたら、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
sfc /scannow
- システムファイルの問題が検出され自動で修復されます。コマンドの処理が完了するまで待ちます。
システムファイルの修復が完了したらPCを再起動してからWindowsセキュリティの設定を開き、メモリ整合性の機能をオンにできるようになったか確認してください。
対処6: BIOS/UEFIの仮想化機能をオンにする
メモリ整合性はWindowsのコア分離機能の一部で、ハードウェアベースのセキュリティ機能を利用してシステムを保護します。メモリ整合性の機能を有効にするためには、CPUの仮想化機能が有効になっている必要があります。
そのため、BIOS/UEFIの設定を開いて仮想化機能がオンになっているか確認してください。具体的な手順は以下の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 左ペインで「システム」を選択します。
- 右ペインの「回復」をクリックします。
- 「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」をクリックします。
- 回復環境の画面が表示されたら、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」の順にクリックします。
- 「UEFIファームウェアの設定」を選択して「再起動」をクリックします。
- UEFI/BIOSの設定画面が開いたら、「Advanced」や「CPU Configuration」のセクションを選択します。
- 仮想化技術(Intel Virtualization Technology (VT-x)、AMD-Vなど)に関連する項目を選択します。
- 設定項目は使用している製品によって異なるため、不明な場合はメーカーのマニュアル等を参考にしてください。
- 「Enabled(有効)」に変更します。
- UEFI/BIOSの設定を保存してPCを再起動します。
BIOS/UEFIの設定で仮想化機能をオンにできたら、PC起動後にメモリ整合性の機能をオンにできるようになったか確認してください。
対処7: Windowsを最新の状態にアップデートする
Windowsまたはドライバーのバージョンが古く不具合があることが原因で、Windowsセキュリティの設定でメモリ整合性の機能をオンにできないケースが考えられます。
そのため、WindowsUpdateを実行してシステムを最新の状態にすることで、メモリ整合性の問題が解決する可能性があります。WindowsUpdateを実行するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 設定ウィンドウが開いたら、左ペインの「WindowsUpdate」を選択します。
- 右ペインの「更新プログラムのチェック」をクリックします。
- 「ダウンロード」や「インストール」が表示されたら、クリックしてアップデートを進めます。
WindowsUpdateを実行できたら、Windowsセキュリティの設定を開いてメモリ整合性の機能をオンにできるようになったか確認してください。
「メモリ整合性はオフです」エラーは無視していい?
Windowsのメモリ整合性機能がオフになっていると、マルウェアや他の悪意のあるソフトウェアに対するセキュリティリスクが増加する恐れがあります。
そのため、メモリ整合性の機能は基本的には有効にしておくことをおすすめします。PCの使用目的やセキュリティ要件によって有効/無効の判断は異なるため、以下の点を考慮してください。
- セキュリティの重要性:
メモリ整合性は、Windowsのコア分離機能の一環として、システムをより安全に保つためのものです。もしセキュリティが特に重要な環境(例えば、機密情報を扱う業務や個人データの保護)で使用している場合は、この機能を有効にすることが望ましいです。 - ハードウェアの互換性:
古いハードウェアでは、メモリ整合性やその他の高度なセキュリティ機能がサポートされていないことがあります。このような場合、機能をオンにすることができないか、オンにしても正常に動作しない可能性があります。 - パフォーマンスへの影響:
メモリ整合性をオンにすると、システムのパフォーマンスに若干の影響が出ることがあります。もしパフォーマンスが重要な用途で使用している場合、この機能を無効にすることを選択するかもしれません。
システムの安全性を最優先する場合はメモリ整合性の機能を有効にし、それが不可能または不適切な場合は無視するか検討してください。