Windows10には、「配信の最適化」という新しい機能が実装されており、ディスクのクリーンアップの一時ファイルの一覧に「配信の最適化ファイル」が追加されています。
配信の最適化ファイルは、ファイルサイズが数GBになる場合もあり、ディスクの空き容量を確保するために削除してもいいか疑問に思う方は多いと思います。
本記事では、Windows10の「配信の最適化ファイル」の概要と削除方法、無効方法について詳しく紹介します。配信の最適化ファイルのファイルサイズを制限する方法も併せて紹介します。
この記事の内容
配信の最適化ファイルとは
配信の最適化ファイルとは、Windows10で導入された配信の最適化機能のキャッシュファイルで、WindowsUpdateとMicrosoft Storeアプリのダウンロードを高速化するために使用されます。
従来のWindowsでは、更新プログラムやアプリをMicrosoftのサーバーからダウンロードする必要がありました。
配信の最適化機能は、別のPCにローカルネットワーク、またはインターネット経由で更新プログラムやアプリを配信します。更新プログラムやアプリが必要なPCは、ネットワーク上から既にデータを取得したPCを検出して、データをダウンロードすることができます。
そのため、この機能を使用することで、Microsoftのサーバー経由よりも短時間で更新プログラムやアプリをダウンロードすることができます。
削除しても大丈夫?
配信の最適化機能ファイルは、あくまで更新プログラムやアプリを高速にダウンロードするためのキャッシュファイルで、Windowsの動作に必須のファイルではありません。
そのため、配信の最適化ファイルを手動で削除しても問題ありません。特定のPCで配信の最適化ファイルを削除しても、ネットワーク上のPCは他のPCもしくはMicrosoftのサーバーからデータを取得することができます。
また、配信の最適化ファイルは機能によって自動的に削除される仕様になっているため、通常は手動で削除する必要ありません。
ただし、削除するタイミングは指定できず、ファイルサイズが数GBになる場合もあります。ディスクの空き容量が少ない場合は、手動で削除することで空き容量をすぐに確保することもできます。
配信の最適化ファイルの削除方法
配信の最適化ファイルは、ディスククリーンアップツールを使って削除することができます。具体的な手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「エクスプローラー」を選択します。
- エクスプローラーが起動したら、左ペインで「PC」をクリックします。
- 右ペインで「ローカルディスク(C:)」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「全般」タブの「ディスクのクリーンアップ」をクリックします。
- 「削除するファイル」の一覧で「配信の最適化ファイル」にチェックを入れて「OK」をクリックします。
- 配信の最適化ファイルの項目に使用している容量が表示されます。
- 配信の最適化ファイルだけを削除したい場合は、他の一時ファイルのチェックを外してください。
- 警告ポップアップが表示されたら「ファイルの削除」をクリックします。
- ディスククリーンアップが完了するまで待ちます。
上記の手順で、配信の最適化ファイルを削除することができます。再度ディスククリーンアップツールを開いて「配信の最適化ファイル」の容量が「0バイト」と表示されていたら正常に削除されています。
配信の最適化ファイルの無効方法
配信の最適化ファイルを削除しても、PCを使用していると配信の最適化機能によって自動的に作成されます。
そのため、配信の最適化ファイルが必要ない場合は、配信の最適化機能自体を無効化することを検討してください。配信の最適化機能を無効化しても、WindowsUpdateやストアアプリのダウンロードが遅くなる以外のデメリットはありません。
配信の最適化機能は、Windowsの設定から無効化することができます。具体的な手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「Windowsの設定」が開いたら「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインから「配信の最適化」を選択します。
- 右ペインにある「他のPCからダウンロードを許可する」のスイッチを「オフ」に切り替えます。
以上の手順で、配信の最適化機能を無効にすることができます。配信の最適化機能を無効にすると、それ以降は配信の最適化ファイルが再作成されなくなります。
配信の最適化機能が必要になった場合は、上記の手順で「他のPCからダウンロードを許可する」のスイッチを「オン」にすることで機能を有効に戻すことができます。
配信の最適化ファイルサイズを制限する方法
配信の最適化ファイルは、グループポリシーやレジストリの設定でファイルサイズを制限することもできます。
配信の最適化機能を無効化せずに、ファイルサイズのみを制限したい場合は、次のいずれかの方法で設定を行なってください。
方法1: グループポリシーで制限する
Windowsのグループポリシーで配信の最適化ファイルのサイズを制限するには、次の手順で操作します。
ただし、グループポリシーによる設定は、Windows10 Proエディション以上をインストールしている必要があります。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「gpedit.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- グループポリシーエディタが起動したら、左ペインのツリーを次の順で展開します。
- 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windows コンポーネント」→「配信の最適化」
- 「配信の最適化」を選択した状態で、右ペインで「絶対最大キャッシュサイズ(GB)」をダブルクリックします。
- 配信の最適化ファイルをパーセンテージで指定したい場合は、「絶対最大キャッシュサイズ(パーセント)」のポリシーで設定できます。
- 「有効」を選択して、「絶対最大キャッシュサイズ(GB)」オプションで配信の最適化ファイルの最大サイズ(5GB等)を指定します。
- 「OK」をクリックしてポリシー設定を保存します。
- PCを再起動してポリシーを反映します。
以上のポリシー設定で、配信の最適化ファイルのサイズを制限することができます。ファイルサイズの制限を解除したい場合は、ポリシーの設定を「未構成」に戻してください。
方法2: レジストリで制限する
レジストリで配信の最適化ファイルサイズの設定を行うには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- 左のツリーを展開して、次のキーに移動します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\
- 「Windows」キーを右クリックして「新規」→「キー」を選択し、作成したキーの名前を「DeliveryOptimization」に変更します。
- 左ツリーで「DeliveryOptimization」キーをクリックします。
- 右ペインの何もない場所で右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択し、値の名前を「DOAbsoluteMaxCacheSize」に変更します。
- 配信の最適化ファイルをパーセンテージで指定したい場合は、「DOMaxCacheSize」の値を作成します。
- 「DOAbsoluteMaxCacheSize」をダブルクリックで開きます。
- 表記を「10進数」に変更して、値のデータで「配信の最適化ファイルの最大サイズ(GB単位)」を指定し「OK」をクリックします。
- 「DOAbsoluteMaxCacheSize」の場合は、パーセンテージの値を入力します。(例:20%の場合は20)
- PCを再起動してレジストリを反映します。
以上のレジストリ設定で、配信の最適化ファイルのサイズを制限することができます。ファイルサイズの制限をデフォルトに戻したい場合は、作成したキーを削除してください。