Windows10のPCでは、動画や音楽などのメディアファイルを右クリックして「デバイスキャスト」機能を使用することができます。
しかし、デバイスキャストを使用しようとしても、「デバイスが見つかりませんでした」などのエラーが発生したり、応答なしになって機能が正常に動作しないケースがあります。
また、TVやタブレットなどの再生デバイスが認識されず、デバイスキャストのメニューに表示されないこともあります。
本記事では、Windows10でデバイスキャストの機能が使用できない場合の対処法について詳しく紹介します。
この記事の内容
デバイスキャストとは
Windows10のデバイスキャストとは、システムにDLNA(Digital Living Network Alliance)、またはMiracastの規格に対応したデバイスをネットワーク接続して、PC上の動画・音楽などのメディアをストリーミングできる機能です。
デバイスキャストは、他のデバイスに画面を同期するミラーリング機能とは異なり、メディアファイルを転送/共有するための機能です。
この機能を使用することで、PCの操作を中断することなく、同一ネットワーク上にあるデバイスでPC内のメディアファイルをストリーミング再生することができます。
デバイスキャストの使い方
デバイスキャストは特別な設定は必要なく、次の手順で簡単に使用できます。
- 「共有したいメディアファイル」を右クリックして、「デバイスキャスト」→「再生するデバイス名」を選択します。
- デバイスキャストのウィンドウが表示され、デバイスでメディアが再生されます。
- ウィンドウにメディアファイルをドラッグして追加することもできます。
通常は上記の手順でデバイスキャストを使用することができますが、再生するデバイス名が表示されなかったり、エラーや応答なしで機能しないケースがあります。
デバイスキャストが正常に動作しない場合は、これから紹介する対処法を順番に試してみてください。
対処1: PCと再生デバイスを再起動する
PCもしくは再生デバイスの一時的なエラーが原因で、デバイスキャストが正常に動作しないケースがあります。
そのため、PCと再生デバイスをそれぞれ再起動して問題が解決しないか確認してください。
PCと再生デバイスを再起動してもデバイスキャストができない場合は、次の対処法に進んでください。
対処2: ネットワーク探索/ファイル共有を有効にする
Windowsのネットワーク探索とファイル共有の設定が無効になっていることが原因で、デバイスキャストができないケースが考えられます。
そのため、ネットワーク探索とファイル共有の設定を確認して、無効になっている場合は有効化してください。ネットワーク探索とファイル共有を有効に設定する手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインのネットワークの詳細設定で「ネットワークと共有センター」をクリックします。
- 左ペインで「共有の詳細設定の変更」をクリックします。
- (現在のプロファイル)が表示されているツリーを展開して、次のオプションを選択していることを確認します。
- ネットワーク探索: ネットワーク探索を有効にする
- ファイルとプリンターの共有: ファイルとプリンターの共有を有効にする
- 設定を変更した場合は、「変更の保存」をクリックします。
ネットワーク探索とファイル共有の設定を有効にできたら、デバイスキャストをやり直して正常に動作するか確認してください。
対処3: メディアストリーミングオプションを有効にする
Windowsのメディアストリーミングオプションが無効になっていることが原因で、デバイスキャストが機能しないケースが考えられます。
そのため、メディアストリーミングオプションを確認して有効にしてください。メディアストリーミングオプションを有効化する手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインのネットワークの詳細設定で「ネットワークと共有センター」をクリックします。
- 左ペインから「メディアストリーミングオプション」を選択します。
- 「メディアストリーミングが有効になっていません」と表示される場合は、「メディアストリーミングを有効化する」をクリックします。
- 既に有効になっている場合でも、再度有効化することで問題が解決することがあります。
- 再度有効化するには、「すべて禁止」ボタンをクリックしてから「OK」をクリックし、「メディアストリーミングオプション」→「メディアストリーミングを有効化する」の順にクリックします。
- 既に有効になっている場合でも、再度有効化することで問題が解決することがあります。
- 「OK」をクリックして設定完了です。
メディアストリーミングオプションを有効にできたら、デバイスキャストが正常に動作するか確認してください。
対処4: デバイスキャストに必要なサービスを実行する
デバイスキャストの機能に使用するために必要なWindowsサービスが無効になっていることが原因で、デバイスキャストが正常に動作しないケースが考えられます。
そのため、デバイスキャストに必要なサービスの状態を確認して、停止している場合は開始してください。サービスを開始する手順は、次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「services.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- サービスのウィンドウが表示されたら、一覧から以下のサービスを探し右クリックして「プロパティ」を選択します。
- DNS Client
- Function Discovery Resource Publication
- SSDP Discovery
- UPnP Device Host
- 「サービスの状態」の下にある「開始」ボタンをクリックします。
- サービスの状態が「実行中」の場合は、操作を行う必要はありません。
- 「OK」をクリックしてプロパティを閉じます。
- 全てのサービスを開始できたら、サービスウィンドウを閉じます。
全てのサービスを開始できたらサービスウィンドウを閉じて、デバイスキャストが正常に動作するようになったか確認してください。
対処5: ネットワークアダプターのトラブルシューティングツールを実行する
PCのネットワークアダプターに問題が発生していることが原因で、デバイスキャストが正常に動作しないケースが考えられます。
そのため、ネットワークアダプターのトラブルシューティングツールを実行して、問題を修正できないか試してみてください。
ネットワークアダプターのトラブルシューティングツールを実行するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「Windowsの設定」が開いたら、「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインで「トラブルシューティング」を選択します。
- 右ペインで「追加のトラブルシューティングツール」をクリックします。
- 一覧から「ネットワークアダプター」を選択し、「トラブルシューティングツールの実行」をクリックします。
- トラブルシューティングツールが開始します。
- 問題が自動的に検出され修復されます。修正に操作が必要な場合は、案内に従って設定を修正してください。
トラブルシューティングツールによってネットワークアダプターの問題が修正できた場合は、再度デバイスキャストが動作するか確認してください。
対処6: ネットワークドライバーをアップデートする
ネットワークドライバーのバージョンが古く、不具合などの問題が起きていることが原因で、デバイスキャストが正常に動作しないケースが考えられます。
そのため、ネットワークドライバーを最新バージョンにアップデートして、デバイスキャストの問題が解決しないか確認してみてください。
最新のネットワークドライバーにアップデートするには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を起動します。
- 「ネットワークアダプター」のツリーを展開します。
- 「使用しているネットワークドライバー名」を右クリックして「ドライバーの更新」を選択します。
- ドライバー名は有線の場合は「Ethernet」、無線の場合は「Wi-Fi」の名前が付いていることが多いです。
- ドライバー名が不明な場合は、全てのネットワークドライバーを更新してください。
- 「ドライバーを自動的に検索」をクリックします。
- 新しいバージョンのドライバーが見つかった場合は自動でインストールされます。
- 既に最適なドライバーがインストールされていた場合は、「WindowsUpdateで更新されたドライバーを検索する」をクリックしてWindowsを最新の状態にしてください。
ネットワークドライバーを最新バージョンにアップデートできたら、デバイスキャストが正常に動作するようになったか試してみてください。
ドライバーのアップデートが提供されていない場合や、アップデートしても問題が解決しない場合は次の対処に進んでください。
対処7: ネットワークドライバーを再インストールする
ネットワークドライバーが破損していることが原因で、デバイスキャストの機能が使えないケースが考えられます。
ネットワークドライバーのアップデートで問題が解決しない場合は、ドライバの再インストールを試してみてください。
ネットワークドライバーを再インストールするには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を起動します。
- 「ネットワークアダプター」のツリーを展開します。
- 「使用しているネットワークドライバー名」を右クリックして「デバイスのアンインストール」をクリックします。
- 確認ダイアログが表示されたら、再度「アンインストール」をクリックします。
- アンインストールが完了したら、PCを再起動します。
- PCが再起動すると、自動的にネットワークドライバーが再インストールされます。
ネットワークドライバーの再インストールが完了したら、デバイスキャストを実行してエラーなどが発生しないことを確認してください。
対処8: ファイアウォールでデバイスキャストの通信を許可する
セキュリティソフトのファイアウォール機能が原因で、デバイスキャストの通信がブロックされエラーや応答なしが発生するケースが考えられます。
そのため、セキュリティソフトを停止した状態でデバイスキャストが正常に動作するか確認してください。
セキュリティソフトを停止して問題が解決した場合は、ファイアウォールの設定でデバイスキャストの通信を許可してください。
標準のWindowsセキュリティのファイアウォールで、デバイスキャストの通信を許可するには次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインで「Windowsセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックします。
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリックします。
- 設定がグレーアウトしている場合は、右上の「設定の変更」をクリックします。
- 一覧から「デバイスキャスト機能」を探し、「プライベート」と「パブリック」にチェックを入れます。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
サードパーティのセキュリティソフトを使用している場合は、手順が異なるためマニュアルを参考にしてください。
ファイアウォールでデバイスキャストの通信を許可できたら、再度デバイスキャストが使用できるか確認してください。
対処9: Microsoft LLDPプロトコルドライバーを有効にする
ネットワークアダプターの設定でMicrosoft LLDPプロトコルドライバーの機能が無効になっていることが原因で、デバイスキャストが正常に動作しないケースが考えられます。
そのため、ネットワークアダプターの設定を確認してMicrosoft LLDPプロトコルドライバーの機能を有効化してください。設定を変更するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインで「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
- ネットワークに接続している「イーサネット」もしくは「Wi-Fi」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 機能の一覧で「Microsoft LLDPプロトコルドライバー」にチェックが入っていることを確認します。
- 設定を変更した場合は、「OK」をクリックして設定を保存します。
Microsoft LLDPプロトコルドライバーを有効にできたら、再度デバイスキャストが動作するか試してください。
対処10: PCとデバイスを同一ネットワークに接続する
デバイスキャスト先の再生デバイスが見つからない場合は、PCとデバイスが同一のネットワークに接続されていないことが考えられます。
そのため、PCの接続先のネットワークと再生デバイスの接続先のネットワークが一致していることを確認してください。
有線接続の場合は、同じルーターに接続されていれば問題ありません。Wi-Fiの場合は、同じSSID(ネットワーク名)に接続していることを確認してください。