7-Zipはファイル圧縮・展開ソフトです。圧縮率の高さ、多くの圧縮形式に対応していること、無償で利用できること、日本語に対応していることなど、他の類似ソフトと比較して魅力的で、Windows10/11でもとても愛用者の多いソフトです。
本記事では、7-Zipの使い方を徹底解説します。基本的な圧縮設定はもちろん、パスワードの掛け方や効率的な圧縮方法など、さらに7-Zipを使いこなすための便利な活用方法も紹介します。
この記事の内容
7-Zipのインストール
Windows10/11のパソコンに7-Zipのインストールがまだの場合は、7-Zip公式のダウンロードページよりインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードページの一番上部の最新バージョンの「32bitか64bit」を選択してダウンロードします。ファイルのタイプは「.exe形式」を選べばOKです。
ダウンロードが完了したらインストーラー(7zXXXX.exe)を実行します。「この不明な発行元から…」の確認メッセージが出たら「はい」をクリックします。
インストーラーが起動したら「install」をクリックするだけでインストールが開始します。インストールが終わったら「Close」をクリックすれば、7-Zipのインストールは完了です。
基本的な圧縮と解凍のやり方
大きなサイズのファイルをインターネット経由で誰かに送ったり、他のデバイスとやり取りしたりする時にはファイルのサイズを小さくするため圧縮を行うと良いでしょう。
7-Zipでファイルの圧縮を行うには以下の手順で操作します。
ファイルの圧縮を行う
- 圧縮したいファイルを右クリックします。
- 右クリックメニューに「7-Zip」という項目が追加されているのでマウスでポイントします。
- メニューが展開されます。展開されたメニューの中から「圧縮…」をクリックします。
- 圧縮設定を行い、OKをクリックすると圧縮ファイルが作成されます。
圧縮の設定項目
圧縮設定を行う際は以下の項目に注意してください。
圧縮先
圧縮後のファイルの保存場所とファイル名を指定します。
書庫形式
圧縮形式を指定します。初期設定では7z形式になっています。7z形式は高圧縮ですが、7-Zipを使わないと解凍できません。
7-Zipを利用しているかわからない自分以外の人にファイルを渡すときはzipなど別の形式を指定するのがおすすめです。
圧縮レベル
圧縮後のファイルの大きさを指定します。最高・超圧縮にするとサイズを抑えることができますが、圧縮に時間がかかることがあります。
圧縮方式
圧縮アルゴリズムを指定します。別の方式を指定することで圧縮率や圧縮にかかる時間が変わったりします。
ファイルの種類により向き不向きがあるので一概にどれが良いとは言えません。
各圧縮方式の詳しい仕様については公式ページの解説を参照してください。特別な理由がなければ初期設定でも問題ありません。
辞書サイズ
辞書式圧縮で使用する辞書サイズです。大きくすると圧縮率が上がりますが圧縮にかかる時間やメモリの使用量が増えます。
ワードサイズ
辞書式圧縮で使用します。こちらも大きくすると圧縮率が上がりますが圧縮にかかる時間が増えます。
ソリッドブロックサイズ
7z形式など、ソリッド圧縮を行う圧縮形式で指定可能です。サイズの小さいファイルを多数まとめて圧縮する際に十分な数値を指定すると圧縮率が上がることがあります。
CPUスレッド数
大きくすると圧縮にかかる時間が短くなりますが、圧縮中にパソコンの動作が重くなりやすくなります。
書庫をサイズで分割
分割で圧縮を行います。詳しくは本記事の「ファィルを分割・結合する」の項を参照してください。
パラメータ
様々なパラメータを指定して詳細な圧縮設定を行います。指定できるパラメータは「ヘルプ」ボタンをクリックすることで確認できます。
オプション
「自己展開書庫作成」にチェックを入れると自己解凍ファイルが作成されます。通常7zファイルは7-Zipをインストールしないと解凍できませんが、このオプションを使って作成したファイルは7-Zipをインストールしていなくても解凍することができます。
暗号化
圧縮したファイルにパスワードを掛けます。詳しくは本記事の「圧縮ファイルにパスワードを掛ける」の項を参照してください。
ファイルの解凍を行う
ファイルの解凍もほぼ同様の手順で行うことができます。
- 解凍したいファイルを右クリックし、右クリックメニューの中にある「7-Zip」をポイントします。
- メニューが展開されたら「展開…」をクリックします。
- 解凍先を確認します。別の場所を指定するには「展開先」項目の右にある「…」ボタンをクリックします。
- 「OK」をクリックするとファイルが解凍されます。
圧縮ファイルにパスワードを掛ける
誰かにファイルを送る時、万が一他人にファイルを盗まれたり漏洩したりした場合に備えて圧縮ファイルにパスワードを掛けておくのがおすすめです。7-Zipでパスワード付きの圧縮ファイルを作成するには以下の手順で操作します。
- 通常の圧縮操作と同様、圧縮したいファイルを右クリックし、「7-Zip」メニューの中から「圧縮」を選択します。
- 圧縮設定の中にある「暗号化」の項目にパスワードを入力します。
- その他の項目を正しく設定してから「OK」をクリックします。
zip形式で圧縮する際、7-Zipでは2つの暗号化形式が指定できます。
- ZipCrypto・・・ほとんどの環境でそのまま解凍できますが、暗号化強度は低いです。
- AES-256・・・暗号化強度が高い反面、古いパソコンなどでは解凍できないことがあります。7z形式で保存するときはAES-256のみ選択可能です。
どちらを指定しても問題ありませんが、安全性の面ではAES-256の方がおすすめと言えます。
パスワードの掛かった圧縮ファイルを開くには、通常通りファイルの解凍手順で操作し、パスワードの入力画面が表示されたらファイル作成者から教えてもらったパスワードを入力してファイルを解凍します。
ファイルを分割して圧縮・結合する
サイズの非常に大きなファイルは圧縮をしても十分な大きさに収まらないことがあります。その場合にはファイルを分割して圧縮するのが良いでしょう。ファイルの分割を行うには以下の手順で操作します。
ファイルを分割して圧縮する
- 通常の圧縮と同様、圧縮したいファイルを右クリックし、「7-Zip」メニューの中にある「圧縮…」をクリックして圧縮設定ウィンドウを表示します。
- 「書庫をサイズで分割」の項目を設定します。
- 他の項目も設定し、「OK」をクリックします。
小さい数値を指定すればファイル1つあたりのサイズが小さくなりますが、元のファィルの大きさによって分割数が膨大になることがあります。ファイルを送る手段や保存したいメディアの種類によって適切なサイズを指定するのが良いでしょう。
ファイルの結合を行うにはすべての分割ファイルを1つのフォルダに入れ、先頭のファイルを解凍すれば関連した分割ファイルがすべて自動で結合されます。
ファイルを結合する
- 末尾001, 002…で終わる分割されたファイルを同じフォルダに入れます。
- 末尾001で終わるファイルを右クリックし、「7-Zip」→「展開」を選択します。
- 自動的にファイルが結合され、解凍後のファイルが作成されます。
コマンドラインから圧縮・解凍する
大量のファイルを圧縮・解凍したい、複数のオプションを指定したいという時にはコマンドラインから操作を行うと便利です。
またこれを応用して自動で圧縮・解凍処理を行うようなバッチファイルを作成することも可能です。
コマンドラインから7-Zipを使用するのであれば、まず環境変数の設定を行いましょう。
環境変数の設定
7zipを環境変数に設定するには以下の手順で行います。
- タスクバーにある「スタート」ボタンを右クリックし、「システム」をクリックします。
- 「設定」ウィンドウが開きます。ウィンドウ右の項目の中から「関連設定」を探し、「システム情報」の文字部分をクリックします。
- 「システム」ウィンドウが開きます。左のリストにある「システムの詳細設定」をクリックします。
- 「システムのプロパティ」ウィンドウが開きます。「詳細設定」タブの下部にある「環境変数」ボタンをクリックします。
- 「環境変数」ウィンドウが開きます。ウィンドウ下の「システム環境変数」リストの中から「Path」の項目を探してクリックします。
- 「Path」の行を選択した状態で「編集」をクリックします。
- 「環境変数名の編集」ウィンドウが開きます。「新規」ボタンをクリックします。
- 文字入力待機状態になるので、以下の文字列を入力します。
C:\Program Files-Zip\
- 入力し終わったら「OK」をクリックしてすべてのウィンドウを閉じます。
指定するPath「C:\Program Files\7-Zip\」の部分について、もし7-Zipを初期設定以外のディレクトリにインストールしている場合は代わりに7-Zipをインストールしたディレクトリを指定してください。
準備ができたらコマンドプロンプトを起動します。
コマンドプロンプトの7zipコマンド
コマンドプロンプトから圧縮と解凍を行う基本コマンドは以下の通りです。
ファイルの圧縮を行うコマンド
7z a [出力ファイル名] [元となるファイルまたはフォルダ名]
たとえば、以下のコマンドを入力するとCドライブ直下にあるtest.pdfというファイルをarchive.zipという名前のファイルに圧縮することができます。
7z a archive.zip C:\test.pdf
ファイルの解凍を行うコマンド
7z e [解凍したいフォルダ名]
解凍も行ってみましょう。たとえば作成したarchive.zipを解凍するには、以下のコマンドを入力します。
7z e C:\archive.zip
複数のファイルの圧縮・解凍を行うコマンド
複数のファイルを同時に圧縮・解凍するにはファイル名を続けて入力します。たとえば以下のコマンドを入力するとカレントディレクトリにあるfolder1、folder2、folder3がすべて圧縮されます。
7z a folder1 folder2 folder3
様々なスイッチを指定することも可能です。例えば以下のように使用します。
7zipコマンドのパラメータ指定
a | 圧縮を行うコマンドです。 |
e | 解凍を行うコマンドです。 |
-o | 解凍したファイルの出力先ディレクトリを指定するスイッチです。 |
-aoa | 解凍の際、既に同名のファイルが存在していた際にすべて上書き保存するスイッチです。 |
下の例のようにパラメータを指定してコマンドを実行することができます。
7z e -o C:\tmp\ -aoa C:\archive.zip <br> #エラーが出る場合 7z e -oC:\tmp\ -aoa C:\archive.zip
このコマンド例を実行するとCドライブ直下にあるarchive.zipというファイルがCドライブ内にあるtmpフォルダに解凍されます。同名のファイルが存在していた場合はすべて上書き保存されます。
この他にも様々なコマンドやスイッチが用意されています。以下のサイトに詳しく解説されているので必要に合わせ参考にしてみてください。
また、コマンドとスイッチのリストはコマンドプロンプトに「7z」と入力することで確認できます。
分かりやすい解説ありがとうございます。
報告一件
“7-Zip 21.01 alpha (x64)” のコマンド・ラインでは -o option の後に space を入れると “7z -o Too short switch:” にな
りました
7z e -o C:\tmp\ -aoa C:\archive.zip
↓
7z e -oC:\tmp\ -aoa C:\archive.zip
とすべきです。
バージョンによってはエラーが出る場合があるんですね。記事内容として追加させていただきました。貴重なコメントありがとうございます。