Windows10を快適に利用するためには、適切な容量の物理メモリ(RAM)を搭載している必要があります。
しかし、どの程度のメモリを搭載していれば快適にPCを利用できるか分からない方も多いと思います。
この記事では、Windows10のPCを快適に使うために必要なメモリ容量について紹介します。
新しいデスクトップPCやノートパソコンの購入や、PCのカスタマイズの参考にしてみて下さい。
この記事の内容
Windows10に必要な物理メモリの容量
Microsoftによると、Windows10を問題なく動作させるのに最低限必要な物理メモリ(RAM)の容量は以下の通りです。
- 32 bit版: 1 GB
- 64 bit版: 2 GB
上記の数値はあくまでWindows10を動作させる最低限の容量です。Windows10が快適に動作するには、最低でも4GB以上のメモリを搭載することをおすすめします。
ただし、PCの使い方によって必要なメモリ容量は大きく異なるため、用途に合ったメモリの容量を選択する必要があります。
用途に合う物理メモリの容量の目安については『物理メモリの容量を選ぶ目安』を参考にしてください。
物理メモリが不足するとどうなる?
物理メモリが不足するとPCの動作が非常に遅くなります。理由としては次のとおりです。
- PCの物理メモリが不足すると、仮想メモリ(ページングファイル)の機能によってハードディスクがメモリ領域として使用されます。
- 仮想メモリはハードディスク上で処理されるため、アプリケーションやシステムの動作が物理メモリに比べて遅くなります。
上記の理由からPCの動作を快適にするには、アプリケーションが使用するのに十分な物理メモリを用意するか、PCのメモリ使用量を抑える必要があります。
物理メモリの容量を選ぶ目安
Windows10の新しいPCを購入したり、PCをカスタマイズで購入する場合など、どの程度の物理メモリの容量を選べばいいか迷ってしまう方も多いと思います。
そこで、物理メモリ量ごとにPCが快適に動作する用途の目安を紹介します。
2GB未満
32bitのWindows10であれば最低限必要なメモリ容量は1GBですが、PCを快適に動かすことは難しいです。
新型のモデルでも32bit版のWindows10がほとんど使われていない点を考慮すると、最低でも2GB以上のメモリを検討して下さい。
2GB以上
- ネットサーフィンなどでブラウザを利用する
- 負担の軽いアプリ(メール、文章作成)を利用する
2GB以上のメモリがあれば、ブラウジングやメール、文章作成などの動作の軽いアプリの利用は問題なくできます。
ただし、ブラウザのタブを増やしたり、動作の軽いアプリであっても複数起動すると、動作が乏しく遅くなる場合があります。
PCの動作が遅いと感じる場合やメインマシンとして快適に利用したい場合は、メモリ4GB以上を搭載したPCが望ましいです。
4GB以上
- タブブラウザを利用しての快適なブラウジングをする
- 文章作成、表計算、スライドショー等のアプリを複数起動する
- 動画を快適に視聴する
- 簡単な画像編集/動画編集をする
- 負担の少ないPCゲーム(2Dや低解像度など)
Microsoft Officeなどのアプリを使うことが目的の場合は、4GB以上のメモリがあれば十分です。安価なビジネス向けPCの多くは4GB程度のメモリを搭載しいます。
複数タブを同時に利用してブラウジングをしたり、負担の軽いアプリを複数起動しても快適に動作します。動画の視聴も基本的に問題ありません。
ただし、負担の高めな画像編集・動画編集・ゲームなどは、アプリによっては動作が遅く感じる場合もあります。
また、大量のアプリやブラウザタブを同時に開くとメモリ不足になりやすい点に注意して下さい。
8GB以上
- 高解像度の画像編集、複雑な画像編集をする
- オンラインの3Dゲームをプレイする
- HD画質程度の動画編集をする
- 3Dモデリングソフト(AutoCADなど)を利用する
本格的な画像編集やHD画質程度の動画編集を目的にしている場合は、8GB以上のメモリがあると快適です。
また、ゲーミングPCとして快適に使いたい場合も、最低でも8GB以上のメモリが必要です。ゲームタイトルによっては、16GB以上のメモリが必要な場合もあるため、推奨メモリを確認することをおすすめします。
負担が重いアプリを複数起動したり、高解像度の動画編集をしたりする場合は不足する場合がありますが、大抵の用途でストレスなく利用できます。
16GB以上
- フルHD以上の高解像度の動画を編集する
- 推奨スペックの高いゲームをプレイする
- PCゲームをプレイしながら配信する
- 仮想環境/バーチャルマシンを利用する
16GBのメモリを搭載しておけば、一般的な用途でメモリがボトルネックとなってPCの動作が遅くなるケースはまずありません。
フルHD画質の動画編集、3Dモデリングソフト、仮想環境などのメモリ負担の高いソフトウェアを使用する場合は、16GBのメモリを搭載しておくと安心です。
また、最近では16GBが推奨メモリとなっているゲームタイトルも増えています。そのため、ゲーミングPCとして長く使いたい場合は、16GBのメモリを搭載しておくと良いでしょう。
32GB以上
- 4K以上の高解像度の動画を編集する
- 3DCGや3Dエフェクトを編集する
- 動画のエンコード中にPCを利用して別の作業をする
32GB以上のメモリは、上記のようなメモリリソースを大幅に使用するアプリケーションの使用が目的だったり、メモリを使用するアプリケーションを同時に複数起動する場合に選択します。
ただし、一般的な用途ではオーバースペックで価格も高くなるため、必要に応じて32GB・64GBに増設するのがおすすめです。
ソフトウェアの処理によっては、メモリの容量よりも性能の良いCPUやGPUを選んだほうがパフォーマンスが高くなる場合があります。
- Windows10 Home: 最大128GB
- Windows10 Pro、Enterprise、Education: 最大2TB
メモリの使用量を節約する方法
PCのメモリの使用量は、PCの使い方や設定によってある程度使用量を減らすことができます。
最後にWindowsのPCでメモリの使用量を抑える方法をいくつか紹介します。
使用中のPCがメモリ不足になっており、買い替えや増設を検討している場合は参考にして下さい。
方法1: 使用していないアプリケーションを終了する
アプリケーションを同時に起動するとメモリの使用量も増えてしまい、アプリケーションやPCの全体の動作が遅くなります。
そのため、使用していないアプリケーションは全て終了するようにしましょう。起動中のアプリは、次の方法で終了することができます。
- タスクバーで起動している「アプリアイコン」を右クリックして「ウィンドウを閉じる」を選択します。
- タスクバー右側に表示される「上矢印」→「アプリアイコン」を右クリックして「終了」を選択します。
- アプリケーションを閉じても完全に終了していない場合があるため、タスクバー右側に表示されるアプリも必ず確認して下さい。
方法2: 不要な常駐アプリを停止する
バックグラウンドで動作している複数のアプリケーションが、メモリのリソースを使用しているケースがあります。
上記のような常駐アプリは、Windowsの起動時に同時に起動していることが多いです。
そのため、スタートアップの設定を確認して不要な常駐アプリを停止することで、メモリ使用量を減らすことができます。
スタートアップ時に起動する常駐アプリを停止するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 「アプリ」を開きます。
- 左ペインで「スタートアップ」をクリックします。
- 右ペインで「不要なアプリケーション」のスイッチを全て「オフ」に切り替えます。
- PCを再起動して設定を反映します。
方法3: アニメーションを無効化する
Windows10標準のアニメーション機能を無効にすることで、メモリの使用量を若干減らすことができます。
ただし、ウィンドウの移動などのアニメーションが全て見えなくなるため、Windowsのユーザービリティが低下する点に注意して下さい。
メモリの使用を少しでも減らしたい場合は、次の手順でアニメーション機能を無効にすることができます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- Windowsの設定で「簡単操作」を開きます。
- 右ペインを下にスクロールし、「Windowsのシンプル化とパーソナル設定」を探します。
- 「Windowsにアニメーションを表示する」のスイッチを「オフ」にします。
- 設定画面を閉じて設定完了です。
アニメーションが無効化できたら、タスクマネージャーでメモリの使用量を確認して下さい。
方法4: SysMainを停止する
Windows10には、メモリを使用してアプリケーションの動作を高速化する「SysMain」という機能があります。
SSDを搭載したPCの場合は、SysMainの恩恵を受けにくいため、無効化してメモリ使用量を減らすことができます。
SysMainを停止するには、次の手順で無効化して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「コンピュータの管理」を開きます。
- 「サービスとアプリケーション」をダブルクリックします。
- 「サービス」をダブルクリックします。
- リストから「SysMain」を選択して「サービスの停止」をクリックします。
- 「SysMain」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「スタートアップの種類」を「無効」に変更します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
以上でSysMainの機能を無効化することができます。メモリ使用量が減ったことを確認して下さい。
メモリが不足する場合
ここまでの方法を行ってもメモリ使用量が不足する場合は、単純に使用するアプリケーションに対してメモリ容量が足りていないことが考えられます。
そのため、物理メモリの増設を行うか、より多くのメモリを搭載したPCへの買い替えを検討して下さい。