Windows10のパソコンの動作が遅いと思ってタスクマネージャーを調べると、「csrss.exe」または「クライアントサーバーランタイムプロセス」という名前のプロセスが大量のCPUやメモリ、GPUを消費していることがあります。
本記事では、「csrss.exe」の正体とCPU/メモリ使用率が高く重い時の対処方法について解説します。
この記事の内容
csrss.exeとは
csrss.exe(クライアントサーバーランタイムプロセス)は、Windowsのソフトウェアとカーネル間の通信に使われているプロセスです。このプロセスは、システムの制御やプログラムの実行において重要な役割を担います。
csrss.exe はWindowsのシステムに標準で組み込まれているプログラムですので、基本的には無害だという認識で問題ありません。
また、環境によってはcsrss.exeが2~3つ起動していることもありますが、通常は問題ありません。
しかし、csrss.exeと同名のウイルスが存在することが確認されています。そのため、csrss.exeの挙動に異常を感じたら注意が必要です。
- csrss.exeが大量のCPUまたはメモリを消費している
- タスクマネージャー上に複数のcsrss.exeプロセスが存在する
- csrss.exeのファイルの場所が「C:\Windows\System32」でない
- csrss.exeの場所は、タスクマネージャーを開いて「csrss.exe」を右クリック→「プロパティ」を選択すると確認できます。
上記の異常に当てはまる場合は、問題の原因がウイルス感染である恐れがあります。セキュリティソフトを利用して早めに調査を行うことをおすすめします。
無効や削除することはできる?
「csrss.exe」は、Windowsの基本システムに必要なプロセスですので停止させたり削除したりすることはできません。無理に停止させるとブルースクリーンやシステムの強制終了等を引き起こすことになります。
もっとも、本来csrss.exeが消費するCPU/メモリ/GPUはわずかですので、あえて停止させる必要はないはずです。
ウイルスに感染していないにも関わらずパソコンが重いようであれば、パソコンを再起動して様子を見るか、『対処2: ユーザープロファイルの再作成』を試してみてください。
同名のウイルスに感染していると思われる場合は、セキュリティソフトのスキャン機能を利用して感染の確認と処置を行ってください。
対処1: セキュリティスキャンを実行する
csrss.exeと同名のウイルスに感染している疑いがある場合は、セキュリティソフトを使ってシステムのスキャンを行ってみてください。
Windowsに最初から備わっているWindowsセキュリティの機能でウイルスのスキャンと除去が可能です。
Windowsセキュリティを使って、PCをウィルススキャンするには次の手順で操作します。
*他のセキュリティソフトをインストールしている場合は、ソフトの機能を使ってスキャンを行って下さい。スキャン方法は、セキュリティソフトのマニュアルを参考にして下さい。
- 「スタート」ボタンをクリックします。メニューが開いたら、「設定」をクリックします。
- 「Windowsの設定」が開きます。「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 画面左のメニューにある「Windowsセキュリティ」をクリックして開きます。
- 画面右上の「Windowsセキュリティを開く」ボタンをクリックします。
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
- 「クイックスキャン」をクリックします。ボタンをクリックするとスキャンが実行されるので、完了までそのまましばらく待ちます。
- 「クイックスキャン」は検出漏れが発生するケースもあるため、時間がある場合は全てのストレージをスキャンできる「フルスキャン」を選択して下さい。
- 「クイックスキャン」のボタンが表示されない場合は、パソコンに別のセキュリティソフトがインストールされていることが考えられます。
- スキャンが完了したら結果を確認します。
- 「脅威は見つかりませんでした」と表示された場合には、ウイルスは検出されなかったということになりますので操作の必要はありません。
- 「検疫済みの脅威」リストが表示された場合は「削除」ボタンをクリックしてウイルスを削除します。
駆除が完了した場合は、PCの動作状況をチェックしcsrss.exeのCPU/メモリ使用率が改善したかどうかを確認しましょう。動作が軽くなっていれば一度様子を見ます。
対処2: ユーザープロファイルを再作成する
ウイルスに感染していないのにcsrss.exeがパソコンに高負荷をかけている場合は、ユーザープロファイルが破損していることが考えられます。
ユーザープロファイルとはユーザーアカウントごとの設定データやファイルなどを管理するためのデータです。
そのため、ユーザープロファイルを再作成することでcsrss.exeの動作が改善する可能性があります。
ユーザープロファイルを再作成して切り替えるには、次の手順で操作します。
- 「C:\Users\(ユーザー名)」の中にあるすべてのファイルをバックアップします。
- 移行完了後、元々あったドキュメントフォルダやデスクトップにあるファイルは完全に削除されてしまうので、消えては困る大切なデータは他の場所にあるものも含めて全てバックアップしておくことをおすすめします。
- 新規ユーザーを作成します。「スタート」→「設定」→「アカウント」とクリックして進んでアカウントの設定画面を表示したら、画面左のメニューから「家族とその他のユーザー」をクリックして開きます。
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」をクリックします。
- 「このユーザーはどのようにサインインしますか?」という画面が表示されたら、「このユーザーのサインイン情報がありません」→「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」をクリックします。
- ユーザー名・パスワード・セキュリティ質問を設定し、「次へ」をクリックします。
- 作成されたローカルアカウント名をクリックし、「アカウントの種類の変更」を選択します。「アカウントの種類」を「管理者」に変更して「OK」をクリックします。
- 新しく作成されたユーザーでログインします。「スタート」→「ユーザー名」→「(先程作成した新規ユーザー名)」とクリックして進むとユーザーの切り替えができます。
- 新しく作成したユーザーをローカルアカウントからMicrosoftアカウントでのサインインに変更する場合は、「設定」→「アカウント」→「ユーザーの情報」画面にて、「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」をクリックしてください。
ユーザーの切り替えを行うとユーザープロファイルの切り替えもできたことになります。csrss.exeのプロセスの負担に異常がないか確認して下さい。
csrss.exeのプロセス負担が改善したら、新しいユーザーアカウントにデータを移行します。
新しいユーザーアカウントにデータを移行する
- 別のユーザーでログインしたら、C:\Users\(古い方ユーザー名)にあるすべてのフォルダとファイルを、「C:\Users\(新しいユーザー名)」へコピーします。
- 隠しフォルダがあるため、必ず隠しフォルダの表示を有効にしてから操作を行ってください。画面上部の「表示」タブ→「隠しファイル」のチェックを入れることで設定の変更ができます。
- 新しいユーザーアカウントへデータをコピーしたら、古いユーザーを削除します。
- 新しいユーザーでログインした後、もう1度「スタート」→「設定」→「アカウント」→「家族とその他のユーザー」画面を開きます。
- 古いユーザー名をクリックし、「削除」を選択してユーザーを削除します。
以上で、再作成したユーザープロファイルのアカウントにデータを移行することができます。
対処3: PCの動作を改善する
csrss.exeがウィルスの疑いがなく、ユーザープロファイルの再作成でも動作が改善しない場合は、Windowsを動作させるPCの性能自体が不足していることが考えられます。
Windowsの動作は、設定変更などである程度改善することができます。Windowsの動作を改善する詳しい方法については、次のページを参考にして下さい。
PCのモデルが古かったり普段からPC全体の動作が遅い場合は、設定変更では改善しないケースも多いため、PCの買い替えを検討することをおすすめします。