Windows10でアプリケーションを起動した時や、パソコンを起動した時に、「プロシージャエントリポイントが見つかりません」というエラーメッセージが表示されるケースがあります。
エラーが発生するとアプリケーションが起動できなくなったり、一部の機能が使えない状態になってしまうため対処が必要です。
本記事では、Windows10で「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生した時の対処方法について詳しく紹介します。
この記事の内容
「プロシージャエントリポイントが見つかりません」の原因
エントリポイントとは、オペレーティングシステムからアプリケーションにプロセスの制御を渡すソフトウェアプログラム内のポイントのことを意味します。
「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーは、アプリケーションにプロセス制御を渡す際に必要なDLLファイルに問題が起きている場合に表示されます。エラーの内容には、問題がおきたDLLファイル名が表示されます。
プロシージャエントリポイントのエラーが発生する原因としては、主に次のことが考えられます。
- 必要なランタイム、DLLがインストールされていない
- アップデートなどによってDLLファイルが破損している
- 古いバージョンのDLLがインストールされている
いずれの場合もDLLファイルの問題を解決することで、アプリケーションを正常に起動することができます。対処方法を紹介していくので、順にエラーが解決しないか確認していってください。
対処1: Visual C++ランタイムをインストールする
アプリケーションの起動に必要なVisual C++のランタイムがインストールされていないことが原因で、「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
エラーメッセージには、「ダイナミックリンクライブラリxxx.dllから見つかりませんでした」の部分に、問題があるdllファイルが記述されています。
Visual C++ランタイムに関するDLLファイル(MSVCP110.dll、api-ms-win-crt-runtime-l1-1-0.dllなど)に問題がある場合は、Visual C++のランタイムをインストールすることでエラーを解消できることが多いです。
MSVCP120.dllが見つからないエラーが出た時の対処法 – Windows10
関連:
MSVCP100/MSVCP140.dllが見つからないエラーが出る時の対処法 – Windows10
関連:
api-ms-win-crt-runtime-l1-1-0.dllが見つからない時の対処法 – Windows10
そのため、次のいずれかの方法でVisual C++ランタイムをインストールしてみてください。
方法1: Microsoft公式ページから個別にインストールする
アプリケーションに必要なVisual C++のランタイムは、公式ページ等で確認することができます。
必要なVisual C++のランタイムが分かっている場合は、Microsoftの公式ページよりインストーラーをダウンロードして、インストールを行なってください。
Visual C++ランタイムをインストールする手順は、次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「システム」を選択します。
- 右ペインの「デバイスの仕様」の「システムの種類」でWindowsのビット数を確認しておきます。
- Visual C++ 2015以降のランタイムが必要な場合は、『最新のサポートされる Visual C++ のダウンロード』のページにアクセスします。
- Visual C++ 2015より前の古いバージョンのランタイムが必要な場合は、次のページにアクセスしてください。
- Visual C++ 2013ランタイム: 2013 の Visual C++ および Visual C++ の再頒布可能パッケージ用の更新プログラム
- Visual C++ 2012: Visual Studio 2012 更新プログラム 4 の Visual C++ 再頒布可能パッケージ
- Visual C++ 2010: Microsoft Visual C++ 2010 Service Pack 1 再頒布可能パッケージ MFC のセキュリティ更新プログラム
- Visual C++ 2008: Microsoft Visual C++ 2008 Service Pack 1 再頒布可能パッケージ MFC のセキュリティ更新プログラム
- Visual C++ 2005: 『Microsoft Visual C++ 2005 Service Pack 1 再頒布可能パッケージ MFC のセキュリティ更新プログラム』
- Visual C++ 2015より前の古いバージョンのランタイムが必要な場合は、次のページにアクセスしてください。
- 「Visual Studio 2015、2017 および 2019」のダウンロードリンクから、一致するビット数をクリックしてダウンロードします。
- Windowsが32ビットの場合はx86、64ビットの場合はx64、ARMベースで64ビットの場合はARM64のリンクをクリックしてください。
- ダウンロードしたインストーラーファイルをダブルクリックして実行します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- ウィザードに従ってランタイムのインストールを完了します。
Visual C++ランタイムをインストールできたら、アプリケーションを起動して「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが解決したか確認してください。
方法2: All in One Runtimesを使って一括でインストールする
必要なランタイムが不明な場合は、全てのランタイムをインストールすることでエラーが解決できる可能性があります。
全てのランタイムを個別でインストールすることが手間な場合は、サードパーティのツールを使ってランタイムを一括でインストールすることもできます。
例として、ドイツ製のフリーウェア「All in One Runtimes」を使ってランタイムを一括でインストールする方法を紹介します。
- 『All in One Runtimes - Download - ComputerBase(ドイツ語)』のページにアクセスします。
- 広告表示についての確認ポップアップが表示されるので、「Akzeptieren und weiter(受け入れて続行)」をクリックします。
- All in One Runtimesの「Download(379MB)」ボタンをクリックします。
- 「Download starten」をクリックします。
- ダウンロードした「aio-runtimes.exe」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- セキュリティ警告が表示された場合は「実行」をクリックします。
- ファイルの展開が実行されます。
- 「WinPKG.exe」のユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- 左ペインで全ての「Visual C++ Runtimes XXXX」にチェックが入っていることを確認します。
- 「Install」をクリックします。
- チェックを入れたランタイムが一括でインストールされます。
ランタイムをインストールできたら、アプリケーションが正常に起動するか確認します。
対処2: Visual C++ランタイムを再インストールする
Visual C++のランタイムが破損していることが原因で、「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
そのため、必要なランタイムがインストールされているにも関わらずエラーが出る場合は、ランタイムの再インストールを行なってください。
Visual C++のランタイムを再インストールするには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で、動作に必要な「Microsoft Visual C++ Redistributable」をクリックします。
- 一覧にVisual C++ランタイムが表示されていない場合は、関連設定の「プログラムと機能」をクリックしてください。
- 「アンインストール」→「アンインストール」の順にクリックします。
- ウィザードが起動したら、案内に従ってアンインストールを完了します。
- 『対処1: Visual C++ランタイムをインストールする』の方法で、Visual C++ランタイムをインストールします。
Visual C++ランタイムを再インストールできたら、再度アプリケーションを起動してエラーが解決したか確認してください。
対処3: システムファイルを修復する
Windowsのシステムファイルの破損が原因で、アプリケーション起動時に「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
そのため、システムファイルのチェックと修復を行うことでエラーが解決できる可能性があります。
システムファイルのチェックと修復を実行するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックし、「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
- PowerShellウィンドウが開いたら、次のコマンドを入力してEnterキーを押します。
sfc /scannow
- コマンドを実行するとシステムファイルチェッカーツールが実行され、問題のあるレジストリが見つかれば自動修復されます。
- 「検証100%が完了しました」のメッセージが表示されたら完了です。
システムファイルの修復が完了したら、念の為PCを再起動してからアプリケーションの起動を試してみてください。
対処4: アプリケーションを再インストールする
アプリケーションファイルが破損していることが原因で、「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生しているケースが考えられます。
そのため、エラーが発生しているアプリケーションを一度アンインストールしてから、最新版のアプリケーションを再インストールすることで問題が解決する可能性があります。
アプリケーションの再インストールを行うには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で、「エラーが出ているアプリケーション」を選択します。
- 「アンインストール」→「アンインストール」の順にクリックします。
- ウィザードが起動したら、案内に従ってアンインストールを完了します。
- 設定ファイル等を削除するオプションが表示された場合は、チェックを入れて全てのファイルを削除してください。
- アプリケーションの公式サイトから、最新のインストーラーをダウンロードして通常の手順でインストールします。
最新版のアプリケーションが再インストールできたら、正常に起動できるか確認してください。
アプリケーションのアップデートがきっかけでエラーが出るようになってしまった場合は、以前のバージョンを再インストールする方法も効果的です。解決しない場合は、古いバージョンのインストールも試してみてください。
対処5: DLLファイルを直接置き換える
エントリポイントのエラーメッセージに表示されているDLLファイルを、正常なDLLファイルに置き換えてエラーを修正することもできます。
正常なDLLファイルは、次のいずれかの方法で入手できる可能性があります。
- 方法1: 正常にアプリケーションが起動している別のPCから直接コピーする
- 方法2: インターネット上からDLLファイルをダウンロードする
- 検索エンジンでDLLファイルを検索して、DLLの公式のダウンロードページが見つかる場合があります。
- 非公式に配布されているDLLは正常に動作しなかったり、ウイルスに感染したりする恐れがあるので十分ご注意ください。
正常なDLLファイルを入手する際は、アプリケーションのビット数に注意して同じビット数のDLLを入手するようにしてください。
例としてsqlite3.dllに問題が起きている場合に、正常なDLLファイルで置換する手順を紹介します。
- 正常なDLLファイルを入手するために、『SQLite Download Page』のページにアクセスします。
- 「Precompiled Binaries for Windows」の下にある「32-bit DLL (x86) for SQLite version xxx」をダウンロードします。
- 64ビット版Windowsを使用している場合は、「32-bit DLL (x86) for SQLite version xxx」と「64-bit DLL (x64) for SQLite version xxx」の2つをダウンロードしてください。
- ダウンロードが完了したらファイルを展開します。
- 展開先のフォルダにある「sqlite3.dll」を「C:¥Windows¥System32」フォルダに上書きコピーします。
- 64ビット版Windowsをの場合は、以下のようにDLLファイルをそれぞれコピーします。
- x86バージョンの「sqlite3.dll」を「C:¥Windows¥SysWOW64」フォルダにコピーします。
- x64バージョンの「sqlite3.dll」をC:¥Windows¥System32」フォルダにコピーします。
- 64ビット版Windowsをの場合は、以下のようにDLLファイルをそれぞれコピーします。
他のDLLファイルも同じ流れで置換することで、エラーを対処することができます。DLLファイルを置換できたら、念の為PCを再起動してからアプリケーションの起動を試してください。
対処6: グラフィックドライバーをアップデートする
グラフィックドライバーに不具合があることが原因で、ゲームや動画編集などのアプリケーション起動時に「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
そのため、グラフィックドライバーを最新版にアップデートしてエラーが解消できないか確認してみてください。
グラフィックドライバーを最新版にアップデートするには、パソコンのメーカーサイト、またはグラフィックボードのドライバーダウンロードページより最新のグラフィックドライバーをダウンロードしてください。
ドライバーファイルがダウンロードできたら実行して、手順に従ってドライバーのアップデートを完了してください。
対処7: システムの復元をする
WindowsUpdateなどのアップデートが原因で、「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが発生するようになるケースがあります。
アップデート直後にエラーが発生するようになった場合は、システムの復元を実行してWindowsを以前の状態に戻すことを検討してください。
システムの復元の手順については、以下のページを参考にしてください。復元ポイントは、エラーが出る前に作成された日付を選択して復元してください。
解決しない場合は
全ての対処方法を試しても「プロシージャエントリポイントが見つかりません」のエラーが解決できない場合は、アプリケーション自体にバグ・不具合があることが考えられます。
アプリケーションのバグ・不具合は、ユーザー側で対応することはできませんので、今後のアップデートやパッチで問題が修正されることを待ってください。
可能であればアプリの開発者に問題について問い合わせ、詳しい情報を求めると良いでしょう。アプリのサポートフォーラムやFAQ、更新情報等も確認してみてください。