Windows10の回復ドライブをUSBメモリなどに作成することで、パソコンに深刻なトラブルが発生した際に、システムを修復したり復元することができます。
しかし、回復ドライブの作成をしようとしても「このPCでは回復ドライブは作成できません」のエラーが発生して作成が失敗する場合があります。
本記事では、Windows10の回復ドライブを作成する方法と、エラーで作成できない時の対処方法について詳しく紹介します。
この記事の内容
Windows10の回復ドライブの作成方法
Windows10の回復ドライブを作成するには、回復ドライブを保存するUSBメモリを用意する必要があります。Windows10 64ビットの回復ドライブを作成するには、最低でも16GB以上の容量のあるUSBメモリが必要です。
また、回復ドライブの作成は最大で1時間程度掛かる場合があるため、時間に余裕がある時に作成を行なってださい。
Windows10の回復ドライブを作成するには、以下の手順で操作します。
- 誤操作を防ぐために、PCから回復ドライブ作成に使わないメディアデバイス(無関係なUSBメモリ・ディスク・SDカード・外付けハードディスク等)を全て取り外します。
- パソコンに「回復ドライブ作成用のUSBメモリ」を接続します。
- 「Windowsマーク」をクリックし、アプリ一覧から「Windows管理ツール」→「回復ドライブ」をクリックします。
- ユーザーアカウント制御画面が表示された場合は、「はい」をクリックします。
- 回復ドライブの作成ウィンドウが表示されます。「システムファイルを回復ドライブにバックアップします」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- USBメモリが認識されると「使用可能なドライブ」に「USBメモリのデバイス名」が表示されます、USBメモリの認識を確認して、「次へ」をクリックします。
- 「ドライブ上のすべてのデータ(=USBメモリに保存されているデータ)が削除されます」の警告メッセージが表示されたら、「作成」ボタンをクリックします。
- 作成を行う前にUSBメモリに大切なデータが残っていないことを確認しておいてください。
- 回復ドライブの作成が開始します。そのまましばらく待ちます。
- 「回復ドライブの準備ができました」と表示されたら完了です。「完了」ボタンをクリックして操作を終了します。
以上の手順でWindows10の回復ドライブを作成することができます。PCに問題が起きた際は、作成した回復ドライブを使用してシステムの修復や復元を実行することができます。
回復ドライブが作成できない時の対処法
上記の手順で回復ドライブを作成しようとしても、「このPCでは回復ドライブは作成できません」のエラーが発生して回復ドライブが作成できない場合や、「お待ちください」の状態から進まないケースがあります。
回復ドライブの作成がエラーなどで失敗する場合は、以下の対処方法を試してみてください。
対処1: 管理者アカウントでサインインする
Windowsにサインインしているアカウントに管理者権限がないことが原因で、回復ドライブが作成できないケースが考えられます。
そのため、サインインしているアカウントが標準ユーザーの場合は、管理者アカウントでサインインしてから作成を行なってください。
サインインしているアカウントが管理者アカウントか確認するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 設定ウィンドウが開いたら「アカウント」をクリックします。
- 右ペインのユーザー情報のユーザー名の下に「管理者」が表示されているか確認します。
- 「管理者」が表示されていない場合は、標準ユーザーでサインインしています。
標準ユーザーでサインインしている場合は、「Windowsマーク」を右クリックして「シャットダウンまたはサインアウト」→「サインアウト」を選択し、管理者アカウントを選択してサインインし直してください。
管理者アカウントでサインインできたら、回復ドライブの作成を再度試してみてください。
対処2: Windows回復環境を再登録する
Windowsの回復環境(WindowsRE)が無効になっていたり、正常にシステムに登録されていないことが原因で、回復ドライブの作成中にエラーが発生するケースがあります。
そのため、回復環境を再登録することで、回復ドライブ作成時のエラーが解決する可能性があります。
Windows回復環境を再登録するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
- 次のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
reagentc /info
- 「WindowsREの状態」が「Disabled」になっている場合は、回復環境が無効になっているため次の手順に進みます。
- 「Enabled」の場合は、回復環境に問題はないため別の対処を試してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「コンピューターの管理」を選択します。
- コンピューターの管理ウィンドウが開きます。左側のリストにある「記憶域」ツリーを展開して、「ディスクの管理」をクリックします。
- ツリーを展開するには、グレーの矢印アイコンをクリックするか、アイコンをダブルクリックしてください。
- ウィンドウの中央下部でを、「回復パーティション」の「ディスク番号」と「パーティション番号」を確認します。
- ディスク番号は行の左側に表示されています。パーティション番号は行のブロックを左から数えてください(パーティション番号は1から始まります)。
- 例: 回復パーティションが「ディスク0」にあり、[システムパーティション][ブートパーティション][回復パーティション]の順に並んでいる場合は、ディスク番号が「0」、パーティション番号が「3」となります。
- PowerShellウィンドウに戻って、以下の回復環境パスの登録コマンドを入力してEnterキーを押してください。
reagentc /setreimage /path \\?\GLOBALROOT\device\harddisk(ディスク番号)\partition(パーティション番号)\Recovery\WindowsRE
- (ディスク番号)と(パーティション番号)の部分には、先程調べた番号にそれぞれ置き換えてください。
- 例: ディスク番号が0、パーティション番号が3の場合は、以下のように入力します。
reagentc /setreimage /path \\?\GLOBALROOT\device\harddisk0\partition3\Recovery\WindowsRE
- 例: ディスク番号が0、パーティション番号が3の場合は、以下のように入力します。
- 入力間違いを防ぐためにも上記コードをコピーしてから変更することをおすすめします。PowerShellウィンドウ上で右クリックするとペーストすることができます。
- (ディスク番号)と(パーティション番号)の部分には、先程調べた番号にそれぞれ置き換えてください。
- 続いて、以下の回復環境を有効にするコマンドを入力してEnterキーを押します。
reagentc /enable - 「操作は成功しました」と表示されたらPowerShellウィンドウを閉じます。
以上の手順でWindows回復環境を再登録することができます。回復環境を再登録できたら、回復ドライブの作成を再度試してみてください。
対処3: WindowsUpdateを実行する
Windows10のバージョンが古いことが原因で、回復ドライブの作成に失敗するケースが過去に報告されています。
そのため、WindowsUpdateを実行して、Windows10が最新のバージョンになっているか確認してください。
WindowsUpdateを実行するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「更新プログラムのチェック」をクリックします。
- 新しい更新プログラムが見つかった場合は、自動でインストールされます。
- 「再起動」や「ダウンロード」のボタンが表示されている場合は、クリックして更新プログラムを適用してください。
- Windowsが最新の状態になったことを確認します。
Windowsを最新バージョンにアップデートできたら、回復ドライブが正常に作成できるようになったか確認してください。
対処4: スリープを無効にする
回復ドライブの作成中にPCがスリープ状態になっていると、作成処理が失敗するケースがあります。
そのため、PCのスリープ設定を確認して、自動スリープが設定されている場合は無効化してください。スリープを無効化する手順は以下の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」を選択します。
- 設定ウィンドウが開いたら、右ペインで「スリープ」の時間設定を「なし」に変更します。
- 環境に合わせてバッテリー駆動時、電源に接続時の設定を変更してください。
PCのスリープ設定を無効化できたら、再度回復ドライブの作成を試してみてください。
対処5: USBメモリをフォーマットする
USBのファイルシステムの形式などに問題があることが原因で、回復ドライブが正常に作成できないケースがあります。
そのため、USBメモリをフォーマットしてから回復ドライブ作成をやり直してみてください。USBメモリのフォーマット手順は以下のとおりです。
- パソコンに「回復ドライブの作成に使用するUSBメモリ」を接続します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「エクスプローラー」を選択します。
- エクスプローラーが起動したら、左ペインの一覧で「PC」とクリックします。
- 右ペインの「デバイスとドライブ」を展開して、「USBメモリのドライブアイコン」を右クリックして「フォーマット」を選択します。
- 「フォーマット」ウィンドウが開きます。ファイルシステムを「FAT32」または「exFAT」に変更して「開始」を実行します。
- USBメモリがフォーマットされます。
USBメモリのフォーマットが完了したら、再度回復ドライブの作成をやり直してください。フォーマット後もエラーが出る場合は、次の対処に進んでください。
対処6: セキュリティソフトを停止する
セキュリティソフトの機能が原因で、回復ドライブの作成が失敗するケースがあります。
そのため、サードパーティ製のセキュリティソフトをインストールしている場合は、機能を一時的に停止するか無効化してください。
セキュリティソフトを停止する手順はメーカーによって異なりますが、以下の手順で停止できる場合が多いです。
- タスクバー右側の「上矢印」をクリックして、タスクトレイを展開します。
- タスクトレイ内の「セキュリティソフトのアイコン」を右クリックして「停止または終了」をクリックします。
セキュリティソフトの停止方法が不明な場合は、マニュアル等を参考にしてください。
セキュリティソフトの機能を停止できたら、その状態で回復ドライブを作成できないか試してください。
対処7: システムファイルを修復してから作成する
Windowsのシステムファイルが破損していることが原因で、回復ドライブの作成時にエラーが発生することがあります。
そのため、システムファイルを修復することで正常に回復ドライブが作成できる可能性があります。
システムファイルを修復するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択して起動します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
sfc /scannow
- コマンドの処理が完了したら、そのまま次のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
- コマンドの処理が完了したら、PowerShellウィンドウを閉じます。
対処8: 容量の大きいUSBメモリを使用する
回復ドライブの作成に必要なUSBメモリの容量は、現在使用しているWindowsの環境によって異なります。
容量が16GBより小さいUSBメモリでも作成できる場合はありますが、作成ができない場合は最低でも16GB以上のUSBメモリを使用するようにしてください。
また、一部のユーザーはUSBメモリを16GBから32GBに交換して回復ドライブが正常に作成できたことを報告しています。そのため、可能であれば32GBのUSBメモリを使用することをおすすめします。
対処9: ディスククリーンアップを実行する
Windowsの不要なシステムファイルを削除することで、回復ドライブが作成できない問題が解決する場合があります。
不要なシステムファイルを削除するには、ディスククリーンアップを実行します。具体的な手順は以下の通りです。
- 「Windowsマーク」をクリックして、アプリ一覧で「Windows管理ツール」→「ディスククリーンアップ」の順にクリックします。
- ウィンドウ下部にある「システムファイルのクリーンアップ」をクリックします。
- ドライブの選択ウィンドウが表示された場合は、「(C:)ドライブ」を選択して「OK」をクリックしてください。
- 「削除するファイル」の一覧で、全ての項目にチェックを入れて「OK」をクリックします。
- 確認ダイアログが表示されたら「ファイルの削除」をクリックします。ディスクのクリーンアップが実行されます。
ディスクのクリーンアップが完了したら、再度回復ドライブの作成を試してみてください。