MacやWindowsのファイル共有の機能を使うと、別のPCから同じフォルダやファイルにアクセスして内容を閲覧したり、編集できるようになります。ファイル共有は、MacとWindows間でも使用することができます。
しかし、WindowsからMacの共有フォルダに接続できなかったり、MacからWindowsの共有フォルダに接続できないトラブルが発生することがあります。
本記事では、MacとWindows10のパソコンでファイル共有ができない、エラーで接続できない時の対処方法について詳しく紹介します。
この記事の内容
対処1: Macのファイル共有設定を有効にする
MacのファイルやフォルダをWindowsのPCに共有したい場合は、Macのファイル共有の設定を有効にする必要があります。
Macでファイル共有の設定を有効にする際には、SMBを使用するオプションを有効にして、ファイルを共有するユーザーを指定する必要があります。
Macのファイル共有の設定を有効にするには、以下の手順で操作してください。
- 「Appleマーク」をクリックして、「システム環境設定」を選択します。
- 「共有」をクリックします。
- 左のサービス一覧で、「ファイル共有」の「オン」にチェックを入れます。
- 右側の「オプション」ボタンをクリックします。
- 「SMBを使用してファイルやフォルダを共有」にチェックを入れます。
- Windowsファイル共有のユーザー一覧で、「ファイルを共有するユーザー(共有したいファイルを持っているユーザ)」にチェックを入れます。
- ユーザーにチェックを入れるとパスワードを求められるので、Macのログインパスワードを入力して「OK」をクリックしてください。
- 設定したら「完了」ボタンをクリックして前の画面に戻ります。
- 「共有フォルダ」リストの下にある「+」ボタンをクリックし、共有したいフォルダまたはファイルをリストに追加します。
- 「ユーザ」リストの「全員」の設定を必要に応じて変更します。
- デフォルトでは「読み出しのみ」となっています。共同編集を行う場合は、設定を「読み/書き」に変更してください。ファイルをWindowsに送信するだけであれば設定を変更する必要はありません。
- コンピュータ名の下に表示される「ネットワーク上のコンピュータ名(MacBook.localなど)」と、「ファイル共有: オン」の下に表示されている「IPアドレス(192.168.XXX.XXX)」を確認しておきます。
- ネットワーク上のコンピュータ名とIPアドレスは、WindowsからMacに接続する時に使用します。
以上の手順で、Macのファイル共有の設定をオンにすることができます。
Macでファイルを共有する準備ができたら、以下の手順でWindowsのPCから共有ファイルにアクセスします。
- Windowsパソコンを起動して、「エクスプローラー」を開きます。
- エクスプローラー上部のアドレスバー部分をクリックします。
- フォルダ名の上をクリックすると移動してしまうため、フォルダ名よりも右の空欄部分をクリックしてください。
- Macの「\\コンピュータ名またはIPアドレス」をアドレスバーに入力してEnterキーを押します。
- 入力するアドレスは、「\\MacBook.local」または「\\192.168.XXX.XXX」のなどの形式で、\を2つ先頭に付けて入力してください。
- ユーザー名とパスワード名を要求されたら、「Macのユーザー名(またはApple ID)」と「ログインパスワード」を入力してください。
- 正しく入力すれば、Macの共有ファイルが表示されます。
以上の手順で、WindowsのPCからMacの共有ファイルを閲覧、または編集することができます。
対処2: Windowsのファイル共有設定を有効にする
WindowsPCのファイルやフォルダをMacに共有したい場合は、Windows側でファイル共有設定を有効にする必要があります。
Windowsでファイルの共有設定を有効にする際には、ネットワーク探索の機能も有効にしてください。
WindowsのPCでファイル共有設定を有効にするには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインで「ネットワークと共有センター」をクリックします。
- 左のリストの「イーサネット」の項目をクリックします。
- 左ペインで、「共有の詳細設定の変更」をクリックします。
- 「共有の詳細設定」ウィンドウが開いたら、(現在のプロファイル)のネットワークをクリックして展開します。
- 「ネットワーク探索を有効にする」と「ファイルとプリンターの共有を有効にする」にチェックを入れます。
- ウィンドウ下部にある「変更の保存」ボタンをクリックして設定を保存します。
- エクスプローラーを開いて、「Macと共有したいフォルダ」を探して右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- プロパティウィンドウが開いたら、「共有」タブを開きます。
- 「詳細な共有」ボタンをクリックします。
- 「このフォルダーを共有する」にチェックを入れます。
- 「アクセス許可」ボタンをクリックし、「Everyone」を選択して「アクセス許可」の一覧で必要に応じて設定を変更して「OK」をクリックします。
- デフォルトでは読み取りのみが許可されています。書き込みや変更もできるようにする場合は、「フルコントロール」にチェックを入れれば、Macから書き込みや削除もできるようになります。
- 「OK」をクリックして詳細な共有のダイアログを閉じます。
- 「ネットワークパス」の項目で、「コンピュータ名」を確認して「閉じる」をクリックします。
- コンピュータ名は共有フォルダにアクセスする際に必要になります。ネットワークパスが「\\PC\share」の場合は、「PC」がコンピュータ名です。
- 「Windows」ボタンを右クリックして「Windows PowerShell」を選択します。
- 表示された画面に、半角で「ipconfig」と入力してEnterキーを押します。
- 接続情報が表示されたら、「IPv4 アドレス」に表示された「IPアドレス(192.168.XXX.XXX)」を確認しておきます。
- 複数のアダプターが表示される場合は、現在ネットワークに接続しているアダプターの情報を確認してください。
以上の手順で、WindowsのPCでファイル共有の設定を有効にすることができます。
設定が完了したら、以下の手順でMacからWindowsの共有フォルダにアクセスします。
- Macを起動して、「Finder」を開きます。
- 上部メニューの「移動」→「サーバへ接続」を選択します。
- 「サーバアドレス」欄に、「smb://コンピュータ名またはIPアドレス」を入力して「接続」をクリックします。
- サーバアドレスは、「smb://windowspc」または「smb://192.168.XXX.XXX」のなどの形式で、先頭にsmb://を付けて入力してください。
- サーバーのパスワードの入力ダイアログが表示されたら、「登録ユーザ」を選択して、「Windowsのログインユーザー名」と「パスワード」を入力して「接続」をクリックします。
- Windowsで共有を設定したフォルダが画面に表示されます。
以上の手順で、MacからWindowsの共有フォルダにアクセスすることができます。
対処3: WindowsでSMB1.0/CIFSを有効にする
WindowsからMacの共有フォルダにアクセスできない場合は、SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートを有効にすることでアクセスできる場合があります。
ただし、SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートは、過去に脆弱性が発見されたため、デフォルトで無効化された機能です。有効にするとセキュリティリスクが高まる点に注意してください。
SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートを有効にするには、Windowsのパソコンで以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「アプリと機能」を選択します。
- 「アプリと機能」リストを下までスクロールし、「関連設定」の中にある「プログラムと機能」をクリックします。
- 「プログラムと機能」ウィンドウが開いたら、「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
- 機能の一覧から、「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」の項目を探してチェックを入れます。
- 「OK」をクリックして設定を終了します。
設定を変更できたら、Macの共有フォルダに正常にアクセスできるようになったか確認してください。
対処4: Windowsでローカルユーザーアカウントを設定する
WindowsのログインにMicrosoftアカウントを使用していると、MacからWindowsの共有ファイルにアクセスできなくなることがあります。
そのため、Windowsでローカルユーザーアカウントを作成し、共有できるようになるか試してみてください。
Windowsでローカルユーザーを作成するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」をクリックして「設定」を開きます。
- 「アカウント」をクリックします。
- 左のメニューの「家族とその他のユーザー」をクリックします。
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」をクリックします。
- アカウント作成画面が表示されたら、「このユーザーのサインイン情報がありません」をクリックします。
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」をクリックします。
- 「ユーザー名・パスワード・パスワードを忘れた時のヒント」を入力して「次へ」をクリックします。
ローカルユーザーを作成できたら、『対処2: Windowsのファイル共有設定を有効にする』と同じ手順でWindowsの共有設定を行ってください。
共有設定ができたら、MacからWindowsの共有フォルダにアクセスして、アカウント情報を入力するダイアログで「作成したローカルユーザー名」と「パスワード」を入力してください。
対処5: セキュリティソフトを無効化/アンインストールする
セキュリティソフトのファイアウォール機能によって、共有フォルダへのアクセスがブロックされているケースが考えられます。
ファイルを共有するMac、またはWindowsPCにサードパーティ製のセキュリティソフトをインストールしている場合は、機能を停止した状態で共有フォルダにアクセスできないか確認してください。
セキュリティソフトを停止した状態で共有フォルダにアクセスできた場合は、セキュリティソフトが原因と判断できます。セキュリティソフトに問題がある場合は、ファイアウォールの設定を変更するか、アンインストールすることを検討してください。
対処6: DNSキャッシュを削除/IPアドレスでアクセスする
DNSの名前解決に問題があることが原因で、MacとWindows間のファイル共有ができないケースが考えられます。
この問題は、共有フォルダ/ファイルにコンピュータ名で接続しようとした際に発生することがあります。
コンピュータ名で接続できない場合は、接続する側のPCでDNSキャッシュを削除してみてください。DNSキャッシュを削除するには、以下の手順で操作します。
- Macの場合:
- Finderを開きます。
- 「アプリケーション」フォルダを開き、さらにその中にある「ユーティリティ」フォルダを開きます。
- 「ユーティリティ」フォルダの中にある「ターミナル」を起動します。
- ターミナルに、以下のコマンドを入力します。入力したらエンターキーを押して実行してください。
sudo killall -HUP mDNSResponder
- 「password」とターミナルに表示されたら、Macのログインパスワードを入力します。キーを押しても画面に反映されていないように見えますが、実際には入力されているので、そのままパスワードを入力してエンターキーを押してください。
- エラーメッセージが出なければこれでキャッシュの削除は完了です。
- Windowsの場合:
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「Windows PowerShell」または「コマンドプロンプト」を起動します。どちらを使っても操作は共通です。
- PowerShellまたはコマンドプロンプトの画面に、以下のコマンドを入力します。入力したらエンターキーを押して実行してください。
ipconfig /flushdns
- 「DNSリゾルバーキャッシュは正常にフラッシュされました。」と表示されたら削除完了です。右上のバツボタンをクリックしてウィンドウを閉じてください。
DNSキャッシュを削除できたら、再度MacまたはWindowsのコンピュータ名を入力して共有フォルダにアクセスできるか確認してください。
DNSキャッシュを削除してもコンピュータ名でアクセスできない場合は、IPアドレスでアクセスできないか試してください。
対処7: IPアドレスを固定化する
ファイルを共有する側のMac、またはWindowsPCがIPアドレスを自動取得する設定になっていると、再起動などによってIPアドレスが変更される場合があります。
IPアドレスが変更されてしまうと、今まで正常にアクセスできていたIPアドレスを使用しても共有フォルダに接続できなくなってしまいます。
上記の問題は、ファイルを共有する側のPCでIPアドレスを固定化することで解決できます。Mac、またはWindowsPCでIPアドレスを固定化するには、以下の手順で操作してください。
- Macの場合:
- 「Appleマーク」をクリックして「システム環境設定」を選択します。
- 「ネットワーク」をクリックします。
- 左ペインで「接続中のネットワーク」を選択します。
- 右下の「詳細」をクリックします。
- 「TCP/IP」タブを開きます。
- 「IPv4の設定」をクリックして「手入力」を選択します。
- 「IPv4アドレス」「サブネットマスク」「ルーター」を入力して「OK」をクリックします。
- Windowsの場合:
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインで、「ネットワークの詳細設定」の「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
- ネットワークアダプターの一覧が表示されたら、「インターネット接続に利用しているアダプター」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 無線の場合は「Wi-Fi」、有線の場合は「イーサネット」を選択してください。
- プロパティウィンドウが表示されたら、中央のリストから「インターネットプロトコルバージョン4 (TCP/IPv4)」の項目をダブルクリックします。
- 「インターネットプロトコルバージョン4 (TCP/IPv4)のプロパティ」ウィンドウが表示されます。「次のIPアドレスを使う」のオプションを選択します。
- 固定IPアドレスに使用する「IPアドレス」「サブネットマスク」「デフォルトゲートウェイ」の値をそれぞれ入力します。
- 「次のDNSサーバーのアドレスを使う」のオプションを選択し、「優先DNSサーバー」「代替DNSサーバー」の値をそれぞれ入力します。
- すべての項目を入力したら「OK」をクリックし、設定を終了します。
IPアドレスを固定できたら、固定化したIPアドレスを入力して共有フォルダに正常にアクセスできるようになったか確認してください。
解決しない場合
ここまで紹介した方法を試しても解決しない場合は、以下のページの対処方法を合わせて参考にしてみてください。
解決が難しい場合は、USBメモリを使用して直接ファイルを移動するか、OneDriveやDropboxなどのクラウドストレージサービスの使用を検討してみてください。