一般的に無線LAN接続に比べ、有線LAN接続の方が接続状態も安定して通信速度も速いです。
ところが、有線LANでPCをインターネットに接続しているのに、通信速度が遅いというケースに悩んでいる方も多いと思います。
本記事では、Windows10のPCで有線LAN接続なのにインターネットの速度が遅い時の原因と対処法を紹介します。紹介する対処法を実践して、問題の解消を試みて下さい。
この記事の内容
有線LANの速度が遅い原因
有線LAN接続なのにネット接続が遅い原因は、大きく2つに分けられます。
1.ネットワーク機器側の原因
ネットワーク機器や回線に原因があり、通信速度が落ちるケースがあります。
代表的な原因として以下の項目が挙げられます。
- LANケーブルの状態が悪い、規格が古い
- モデム、ONU(光回線終端装置)、ホームゲートウェイに問題が起きている
- 回線、プロバイダに問題が起きている
- 通信速度が遅い回線、プロバイダを利用している
2.PC側の問題
PC側のソフトウェアや設定に問題があり、通信速度が低下する場合があります。
有線LANの速度が遅くなる原因としては、主に次の項目が考えられます。
- PCのOS、ドライバー、ブラウザのバージョンが古い
- ネットワークアダプターの設定に問題がある
- DNSサーバーの設定に問題がある
- VPN、プロキシを設定している
LAN接続で速度が落ちる主な原因は上記のとおりです。
ネット回線そのものが遅いケースもありますが、使用しているネットワーク機器やPC側の設定変更で改善できる可能性もあります。
それぞれの対処手順を紹介していくので、順に対処方法を試してインターネット速度が改善しないか確認して下さい。
対処1: LANケーブルを確認する
ルーターと接続しているLANケーブルに問題があると、ネットの通信速度に影響が出ます。
LANケーブルに問題がないか、次の2つの項目について確認を行って下さい。
確認1: 劣化を確認する
通常、LANケーブルの耐用年数は長くて30年程度です。ただし、LANケーブルを直射日光の当たる場所や人がよく踏む場所など設置環境が悪いと、早ければ数ヶ月程度で劣化してしまいます。
また、LANケーブルの断面が円状の物は、形を無理矢理変えると内部で断線してしまいます。平面状のケーブルは中心にある線が外からの衝撃を受けやすい構造になっています。
そのため、使用しているLANケーブルが古い場合は、新しいケーブルに交換して通信速度が改善しないか確認することをおすすめします。
確認2: 規格を確認する
LANケーブルに異常が無くても、古い規格のケーブルだと通信速度に影響が出ます。
現在のLANケーブルの規格が「CAT5」以前の場合、対応できる通信速度は100Mbps以下になります。
高速通信ができる回線を利用している場合は、「CAT5e」や「CAT6」、「CAT8」といった規格のケーブルに取り換えることで速度の改善が見込めます。
対処2: モデムやONUを再起動してみる
モデムやONU、ホームゲートウェイに問題が起きており、有線LANの通信速度が低下している場合があります。
インターネットの接続に使っているモデムやONU、ホームゲートウェイの電源を一旦切って、10分程度時間を空けてから再度電源を入れてみて下さい。
電源を切るには、基本的に機器の背面にある電源プラグを抜けば大丈夫です。
再起動ができたらインターネットの通信速度に改善がみられないか確認してみて下さい。
対処3: Windowsを最新の状態に更新する
PCのWindowsやネットワークドライバーが古い状態だと、有線LANの通信速度が遅くなるケースがあります。
Windows10では、OSをアップデートすることでドライバーの問題も修正されるケースも多いため、Windowsが最新の状態になっているか確認して下さい。
特に長期間Windowsを更新していない場合は、この機会にOSを最新の状態に更新しておきましょう。
また、最新のネットワークドライバーはメーカーページで提供されている場合もあります。念の為、PCのメーカーページでネットワークドライバーの更新状況を確認することをおすすめします。
対処4: ネットワークの自動チューニング機能を無効にする
Windowsには、ネットワークのパフォーマンスを最適化するための自動チューニング機能が搭載されています。
しかし、このチューニング機能が原因で有線LANの通信速度が低下してしまうケースがあります。
次の手順で、自動チューニング機能を無効化して通信速度が改善しないか確認してみて下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押して設定を確認します。
netsh interface tcp show global
- 「受信ウィンドウ自動チューニングレベル」の項目を確認します。
- normal、restricted、highlyrestricted、experimentalのいずれかが表示されている場合は、自動チューニング機能が有効になっています。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押して「受信ウィンドウ自動チューニングレベル」を無効に設定します。
netsh int tcp set global autotuninglevel = disabled
- 設定を戻したい場合は、normalを指定すると規定の設定に変更できます。
netsh int tcp set global autotuninglevel = normal
- 設定を戻したい場合は、normalを指定すると規定の設定に変更できます。
自動チューニング機能が無効にできたら、有線LANの通信速度をテストしてみて下さい。
対処5: 大容量送信オフロード機能を無効にする
ネットワークアダプターの大容量送信オフロード機能が原因で、有線LANの通信速度が落ちる場合があります。
次の手順で、有線LANのネットワークアダプターの設定を開いて、大容量送信オフロード機能を無効化して速度が改善しないか確認して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を開きます。
- 「ネットワークアダプター」のツリーを展開します。
- [有線LANのネットワークデバイス]を右クリックして「プロパティ」を開きます。
- 有線LANのネットワークデバイス名は、「Network Controller」が付いていることが多いです。
- 「詳細設定」タブを開きます。
- 「Large Send Offload」の項目を選択して値を「Disabled」に変更します。
- Large Send Offloadの設定項目が複数ある場合は、全て無効にして下さい。
- 「Large Send Offload(IPv4)」
- 「Large Send Offload v2(IPv6)」
- 「Large Send Offload v2(IPv4)」
- Large Send Offloadの設定項目が複数ある場合は、全て無効にして下さい。
- 「OK」をクリックします。
上記の設定は、全てのネットワークアダプターにあるわけではないので、設定項目がない場合は、次の対処法に進んで下さい。
対処6: DNS設定を変更する
設定しているDNSに問題があり、有線LANのインターネット速度が低下する場合があります。
通常の設定であればDNSは自動取得で設定します。このDNS設定を手動で変更することで通信速度が改善する可能性があります。
次の手順で、DNS設定を変更して速度が改善しないか確認して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 「ネットワーク設定の変更」の項目にある「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
- 「ローカルエリア接続」、もしくは「イーサネット」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を選択して「プロパティ」をクリックします。
- 「次のDNSサーバーのアドレスを使用する」を選択します。
- 優先/代替DNSサーバーに、次のいずれかのパブリックDNSのアドレスを設定します。
- GoogleのパブリックDNS
- 優先DNSサーバー:8.8.8.8
- 代替DNSサーバー:8.8.4.4
- OpenDNS
- 優先DNSサーバー:208.67.222.222
- 代替DNSサーバー:208.67.220.220
- GoogleのパブリックDNS
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
対処7: ブラウザを更新してキャッシュを削除する
ネットの閲覧時に使用するブラウザに問題があり、通信速度が遅いように感じる場合があります。
ブラウザは、機能改善のアップデートが随時提供されるため、最新バージョンへ更新を行うだけでも速度の改善が期待できます。
また、使用しているブラウザのキャッシュを長期間削除していない場合は、キャッシュデータに問題があり、ブラウジングの速度が低下している場合があります。
そのため、使用しているブラウザの更新とキャッシュの削除を試してみて下さい。主要なブラウザの各手順は、それぞれ次のとおりです。
ブラウザの更新方法
- Microsoft Edgeは、Windowsアップデートで最新版に更新できます。
ブラウザのキャッシュの削除方法
対処8: IPv6を有効/無効にしてみる
IPアドレスには、IPv4とIPv6の2種類のプロトコルがあります。
最近では「IPv6オプション」があるプロバイダが増えており、オプションを契約していれば「IPv6(IPoE)」方式や「IPv4 over IPv6」方式の接続を利用することができます。
「IPv6(IPoE)」、「IPv4 over IPv6」方式の接続は、IPv4よりも回線速度が早くなるケースが多いです。
ただし、IPv6はまだ普及段階であるため、IPv6を使用すると逆に通信速度が落ちてしまうケースもあります。
そのため、IPv6の有効・無効を切り替えて、それぞれの状態で通信速度に変化がないか確認してみて下さい。IPv6の有効・無効を切り替えるには次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 「ネットワーク設定の変更」の項目にある「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
- 「ローカルエリア接続」、もしくは「イーサネット」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「インターネット プロトコル バージョン6(TCP/IPv6)」のチェックボックスをクリックして「オン」「オフ」を変更します。
- そもそも「IPv6オプション」を契約していない場合は、「iPv6:オフ」のみの検証を行って下さい。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
対処9: VPN接続・プロキシ設定を無効にする
VPN経由での通信は、経路が余分に増えるため通信速度が落ちます。そのため、PCのVPN接続が有効になっている場合は切断して下さい。
VPN接続での通信速度を改善したい場合は、通信速度の影響が少ない別のVPNサービスを検討して下さい。
また、プロキシ設定をしている場合も同様に通信速度が落ちるケースが多いです。次の手順でプロキシ設定を無効にして下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「ネットワークとインターネット」を選択します。
- 左ペインで「プロキシ」を選択します。
- 右ペインで全てのオプションのスイッチを「オフ」に変更します。
対処10: 速度とデュプレックス機能を変更する
ネットワークアダプターの「速度とデュプレックス」機能が原因で、通信速度が遅くなるケースがあります。
次の手順で、有線LANネットワークアダプターの「速度とデュプレックス」の設定を変更して通信速度が改善しないか確認して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を開きます。
- 「ネットワークアダプター」のツリーを展開します。
- [有線LANのネットワークデバイス]を右クリックして「プロパティ」を開きます。
- 「詳細設定」タブを開きます。
- 「Speed&Duplex」の項目を選択して値を変更します。
- 設定値が「Auto」だった場合は、「100Mbps」等の固定値に変更してみて下さい。
- 設定値が「100Mbps」等の固定値だった場合は、「Auto」に変更して下さい。
- 「OK」をクリックして設定を完了します。
速度とデュプレックスの設定を変更できたら、通信速度が改善していないか検証して下さい。
対処11: ルーターのQoS機能を有効にする
ゲートウェイルーターのQoS(Quality of Servic)機能を有効にすることで、有線LANの通信速度が改善する可能性があります。
ただし、QoS機能は全てのルーターで使えるわけではないため、お使いのルーターがQoS機能を使えるか確認して下さい。
QoSの設定方法は、ルーターのメーカーによって異なるため、マニュアルで設定手順を確認して下さい。
対処12: 回線の通信障害を確認する
ネット回線に通信障害が発生していたり、メンテナンスを行ってることが原因で通信速度が低下することが稀にあります。
通信障害やメンテナンスの情報は、プロバイダの公式ページでも告知される場合が多いので、一度情報を確認して下さい。障害やメンテナンスがあった場合は、復旧作業を待ちましょう。
対処13: 回線自体の変更を検討する
ここまでの対処法を実践してみても有線LANの通信速度が改善しない場合は、契約している回線・プロバイダがそもそも遅いことが考えられます。
できれば1台のPCだけでなく、他のPCを有線LANで接続してインターネット速度が遅いか確認してみて下さい。
他の端末でも遅い場合は、回線やプロバイダに原因があることが濃厚になるため、別のプロバイダを検討して下さい。
より通信速度が速い回線、プロバイダに変更することで、有線LAN接続のインターネット速度が大幅に改善できる可能性があります。
自宅内LANで、二三年前、月一程度の頻度で、PCからNASやネット接続が極端な低速(kBPS程度、PINGは通る)になり、この記事を最も参考にしてトラブルシュートしました。
その結果、WINDOWSのNICドライバを無効/有効すると正常に戻ることから、NIC周りと推定し、内蔵intelNICからRealtekNICやUSB-NICに変更してもダメ、WiFi経由にすることで一旦解決しました。(実用上はまあ十分な速度)
昨年、同じHUB接続のホームセキュリティWiFi親機にエラーが出て交換されましたが、その時ケーブルを触るとHUBのランプが消えたりする状態で、そのLANケーブルが不良と分かりました。(WiFi親機の筐体の中のLANソケットに刺さるケーブル側プラグのカシメ不良のよう)
その後、内蔵NICからの有線LAN接続に戻して、全く快調です。
参考事例になればとご報告まで。
ありがとうございました。