Microsoft OfficeのWordでファイルを保存しようとすると、エラーが発生して保存ができない問題が発生することがあります。
また、保存時にエラーは発生せずにWordが応答停止状態になったり、「名前を付けて保存」のダイアログが何度も繰り返し表示される現象が発生することもあります。
本記事では、Windows10のWordでファイルを保存できない時の対処方法について詳しく紹介します。対処内容は、Word2019/2016/2013/2010を想定しています。
この記事の内容
対処1: Wordをセーフモードで起動する
Wordに追加しているアドインの機能が原因で、ファイルの保存時にエラーが発生しているケースが考えられます。
そのため、セーフモードでWordを起動した状態で、問題の起きている文書ファイルが保存ができないか試してみてください。
Wordをセーフモードで起動してファイルを開くには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「winword /safe」と入力して「OK」をクリックします。
- 補足: Ctrlキーを押しながらWordアイコンをダブルクリックすることでもセーフモードで起動できます。確認ダイアログが表示されたら「はい」をクリックしてください。
- 「最初に行う設定です」の画面が表示されたら「同意」をクリックします。
- Wordがセーフモードで起動します。
- 「ファイル」から「保存できないファイル」を開いて、保存できるか確認します。
セーフモードの状態で保存できる場合は、追加しているアドインが原因として考えられます。
アドインの原因が疑われる場合は、次の手順でアドインを無効化してください。
- Wordの上部メニューで「ファイル」をクリックし、左下の「オプション」をクリックします。
- 左ペインで「アドイン」をクリックし、画面下部にある「設定」ボタンをクリックします。
- アドインの管理画面が開くので、「疑わしいアドイン」のチェックを外して「OK」をクリックします。
- 「Send to Bluetooth」などのアドインが問題を起こすことが多いです。
アドインを無効化できたら、ファイルが正常に保存できるようになったか確認してください。セーフモードの起動や拡張機能を無効にしても、保存ができない場合は、次の対処方法に進んでください。
対処2: 標準テンプレートファイルを再作成する
Wordの標準テンプレートファイルが破損していることが原因で、文書ファイルを保存できないケースがあります。
そのため、標準テンプレートを一旦削除して再作成することで、保存の問題が解決する可能性があります。
標準テンプレートを削除して再作成するには、次の手順で操作してください。
- Wordを起動している場合は終了してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「名前」欄に「%appdata%」と入力し、「OK」をクリックします。
- エクスプローラーが起動し「Roaming」フォルダが表示されます。「Microsoft」→「Templates」の順にフォルダを開きます。
- フォルダ内の「Normal.dotm」ファイルを右クリックして「名前の変更」を選択します。
- 「Normal.dotm.old」の名前に変更します。
- この操作で問題が起きた場合は、ファイル名を「Normal.dotm」に戻してください。
- Wordを起動すると「Normal.dotm」ファイルが自動で再作成されます。
上記の手順で、標準テンプレートを再作成することができます。適当な文書ファイルを作成して「名前を付けて保存」を実行して、ファイルの保存ができるか確認してください。
対処3: 別のフォルダに保存する
Wordファイルを保存しようとしているフォルダに問題があることが原因で、ファイルが保存できないケースが考えられます。
特に以下のような場所にファイルを保存しようとしている場合、エラーが発生してファイルを保存することができません。
- ファイルパスが255文字を超える場所に保存しようとしている
- 使用できない外部ストレージに保存しようとしている
- 保存先のストレージの空き容量が不足している
そのため、「ファイル」→「名前をつけて保存」を選択して、別の保存先(デスクトップやドキュメント、Cドライブ直下など)を指定して保存ができないか確認してください。
保存先を変更して正常に保存できた場合は、保存先に問題があることが考えられます。ファイルパスや保存先のストレージに問題がないか確認してください。
対処4: ファイルをコピーして再作成する
Wordで開いているファイルが破損していることが原因で、ファイルを保存できないケースが考えられます。
そのため、問題が起きているファイルの内容を新しい文書ファイルにコピーし、別のファイルとして保存できないか試してみてください。
ファイルをコピーして再作成するには、以下の手順で操作します。
- 「保存できない文書ファイル」を開きます。
- 「Ctrl」キーを押しながら「A」キーを入力して文書全体を選択状態にします。
- マウスのドラッグで全選択しても問題ありません。
- 「Ctrl」キーを押しながら「C」キーを入力して、選択した内容をコピーします。
- 「ファイル」→「白紙の文書」を選択して新しい文書ファイルを作成します。
- 「Ctrl」キーを押しながら「V」キーを入力して、内容を貼り付けます。これで文書の内容が複製されます。
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」を選択して、ファイルが保存できるか試します。
正常にファイルを保存できた場合は、元のファイルが破損していることが考えられるため、新しいファイルを使用するようにしてください。
対処5: Wordアプリケーションを修復する
Wordアプリの設定方法や関連データが破損していることが原因で、ファイルの保存ができない問題が発生することがあります。
そのため、アプリケーションの修復を実行することで問題が解決する可能性があります。Wordを修復するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリの一覧で、「Microsoft Office ...」を選択します。
- アプリケーションの表示名は、「Microsoft Office Desktop Apps」や「Microsoft Office Personal 2019 – ja-jp」などバージョンやライセンスによって異なります
- メニューが展開したら「詳細オプション」をクリックします。
- 「詳細オプション」の項目がない場合は、「変更」をクリックして「クイック修復」を実行してください。
- 「オンライン修復」を選択して「修復」ボタンをクリックすると、アプリの修復が実行します。
Wordの修復が完了したら、ファイルを開いて保存の問題が解決したか確認してください。
対処6: オートコレクトの自動大文字機能を無効化する
Wordのオートコレクトの自動大文字機能が原因で、ファイルが正常に保存できない問題が発生することがあります。
そのため、自動大文字機能を無効化して、保存の問題が解決しないか試してみてください。機能を無効化するには、次の手順で操作します。
- Wordを起動して、「ファイル」→「オプション」の順にクリックします。
- 左ペインで「文章校正」をクリックし、右ペインで「オートコレクトのオプション」をクリックします。
- 「オートコレクト」タブで、「文の先頭文字を大文字にする」のチェックを外します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
以上の手順で、自動大文字機能を無効にすることができます。設定を変更できたら、ファイルの保存ができるか確認してください。
対処7: 作業フォルダを再設定する
ファイル保存時に「作業ファイルを作成できません」のエラーが発生する場合は、Wordの作業フォルダに問題が起きていることが考えられます。
Wordは文書の保存をする際に、「Content.Word」という名前の作業フォルダを使用します。この作業フォルダが破損していたり、フォルダの設定に問題があると、ファイルの保存ができなくなることがあります。
上記の問題は、Wordの作業フォルダを再設定することで解決できる可能性があります。
Wordの作業フォルダを再設定するには、コントロールパネルのインターネットオプションから行います。具体的な設定手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「control」と入力して「OK」をクリックします。
- コントロールパネルが開いたら、「ネットワークとインターネット」→「インターネットオプション」の順にクリックします。
- 該当する項目が見つからない場合は、コントロールパネル右上にある「表示方法」の設定を「カテゴリ」に変更してみてください。
- 「インターネットのプロパティ」ウィンドウが開きます。「全般」タブ内にある「閲覧の履歴」設定内の「設定」ボタンをクリックします。
- 「Webサイトデータの設定」ウィンドウが開きます。「インターネット一時ファイル」タブを開き、「現在の場所」として設定されているフォルダパスを確認します。
- 存在しないフォルダが指定されている場合は再設定が必要です。
- フォルダを再設定するには「フォルダーの移動」ボタンをクリックします。
- 「フォルダーの参照」ウィンドウが表示されるので、作業フォルダの保存先フォルダを指定します。
- 標準設定に戻すには以下のフォルダを指定してください。
- C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows
- 標準設定に戻すには以下のフォルダを指定してください。
- 設定を変更したら「OK」をクリックして設定を保存します。
- 設定を変更すると自動的にWindowsからログオフします。再度サインインを行なってください。
Wordの作業フォルダを再設定できたら、ファイルが正常に保存できるようになったか確認してください。
対処8: セキュリティソフトの設定を変更する
セキュリティソフトの機能が原因で、Wordのファイル保存や変更ができなくなるケースが稀にあります。
この問題は、特にサードパーティのセキュリティソフトを使用している場合に発生することがあります。
そのため、セキュリティソフトの機能を一時的に停止した状態で、Wordでファイルの保存ができないか試してみてください。
Windows10標準のWindowsセキュリティの場合は、次の手順でフォルダーアクセスの機能を無効化してみてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を開きます。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左側のリストにある「Windowsセキュリティ」をクリックします。
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
- 「ランサムウェアの防止」をクリックします。
- 「コントロールされたフォルダーアクセス」の設定を「オフ」に変更します。
サードパーティのセキュリティソフトを使用している場合は、マニュアルを参考に機能を停止してみてください。
セキュリティソフトの機能を停止した状態でファイルの保存ができる場合は、セキュリティソフトに原因があることが考えられます。
セキュリティソフトに原因がある場合は、セキュリティ設定を変更するか、別のセキュリティソフトを使用することを検討してください。
対処9: レジストリのデータキーを削除する
Wordはレジストリのデータキーに、最近使用したファイル/アドレス、変更の追跡設定、編集設定などの情報を保存します。
このデータキーに問題が起きていることが原因で、ファイルを保存できないケースがあります。
そのため、次の手順でWordのデータキーを削除することで問題が解決する可能性があります。データキーを削除するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- レジストリエディタが開いたら、ツリーを展開してWordのデータキーにアクセスします。
- Word2016/2019の場合:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office.0\Word\Data
- Word2013の場合:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office.0\Word\Data
- Word2010の場合:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office.0\Word\Data
- Word2016/2019の場合:
- 「Data」キーを右クリックして「エクスポート」を選択して、レジストリのバックアップを「保存」しておきます。
- 「Data」キーを右クリックして「削除」を選択します。
- 確認ダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- Wordを起動するとデータキーが再作成されます。
- 補足: データキーの削除でWordの動作に問題が起きた場合は、バックアップしたレジストリをダブルクリックして復元してください。
Wordのデータキーを削除してリセットできたら、ファイルの保存の問題が解決したか確認してください。