iPhoneのデータをバックアップする際に、iTunesのバックアップ機能を使う人は多いかもしれません。
しかし、復元するタイミングで設定した覚えがない「パスワードの入力」を求められる場合があります。また、自分で設定した覚えがあっても、肝心のバックアップパスワードを忘れてしまった場合もあると思います。
この記事では、iTunesのiPhoneバックアップのパスワードを設定した覚えがない場合や忘れた場合の対処法を紹介します。
この記事の内容
iPhoneのバックアップパスワードとは
バックアップにパスワードを掛けることで、第三者が簡単にバックアップを復元できなるため、バックアップのセキュリティ・安全性を高めることができます。
また、バックアップを暗号化することで、Wi-Fi関連の設定や閲覧したWebサイトの履歴なども保存することができます。
ただし暗号化したバックアップを復元する際には、設定したバックアップパスワードを入力しないとiPhoneを復元することができません。
バックアップが暗号化されているか確認する
バックアップのパスワードは、最初に暗号化したバックアップを作成するタイミングで設定します。
そのため、日にちが経ってからバックアップを復元しようとすると、忘れてしまっているパターンが多いです。
バックアップが暗号化されているか判断するには、次の手順で確認できます。
- PCとiPhoneを接続してiTunesを起動します。
- 次のいずれかの操作をします。
- メニューの「iTunes」→「環境設定」の順にクリックし、「デバイス」タブを開きます。
- 「一般」タブを開いて「バックアップを管理」をクリックします。
- 「バックアップ」の横にロックアイコンがあるか確認します。
- ロックアイコンが表示されている場合は暗号化バックアップが実行されています。
バックアップが暗号化されており、パスワードを忘れてしまった場合は次の対処法を順番に試して下さい。
バックアップパスワードを忘れた時の対処法
暗号化によるバックアップを一度でも行うと、暗号化をオフにするか、パスワードはリセットをしない限り、毎回設定したパスワードが必要になります。
対処1: 自分が設定しそうなパスワードを順番に入力する
自分が普段から使っているパスワードや他のサービスで設定したパスワードが設定されている可能性があります。
iTunesのバックアップ機能には、一定回数間違えるとロックされる仕組みがないので、自分が設定しそうなパスワードの入力を試して下さい。
設定しそうなパスワードは、次のようなパスワードが考えられます。
- PCのログインパスワード
- スマホのパスコード
- Apple IDで利用しているパスワード
- 数字の「0」「1」などの一文字のパスワード
- パスワードは1文字でも設定ができるため、何気なく簡単なパスワードを設定している場合があります。
- 「pass」「password」「111111」などの簡単なパスワード
- 秘密の質問などでよく使う英単語、ローマ字
暗号化のパスワード設定は基本的に自身で行うため、自分が設定しそうなパスワードを総当りで入力してみて下さい。
対処2: バックアップパスワードをリセットする
iOS11以降であれば、「すべての設定をリセット」の機能を使って、バックアップパスワードを強制的にリセットすることができます。
ただし、「すべての設定をリセット」を使ったリセットは次の点に注意して下さい。
- 作成済みのバックアップは復元できない
- すでに作成した暗号化バックアップを復元することはできなくなります。そのため、復元したい場合は、バックアップを再度作成する必要があります。
- 古い暗号化バックアップを復元する必要がない場合のみ有効な方法です。
- iPhoneの設定もリセットされる
- 「設定」アプリで変更した設定も全てリセットされます。Wi-Fiの接続設定や機能設定もリセットされているので、リセット後に再設定が必要になります。
バックアップパスワードを強制的にリセットするには、iPhoneを次の手順で操作します。
- iPhoneで「設定」アプリを起動します。
- リスト内にある「一般」をタップします。
- 最下部の「リセット」ボタンをタップします。
- リストから「すべての設定をリセット」を選択してタップします。
- リセットで消えるのは設定だけで、iPhone内のデータは消えません。
- 確認画面が表示されるので、再度「すべての設定をリセット」をタップします。
- iPhoneの設定がリセットされます。
- iPhoneの設定がリセットできたら、暗号化に利用するパスワード設定も解除されています。
- iTunesで暗号化バックアップを作成して、忘れないパスワードを再設定して下さい。
対処3: Macのキーチェーンアクセスを確認する
macOSのiTunesを使っている場合は、キーチェーンにバックアップパスワードが残っている可能性があります。
次の手順でキーチェーンにバックアップパスワードが残っていないか確認してみて下さい。
- Finderを開いて「アプリケーション」→「ユーティリティ」を開きます。
- 「キーチェーンアクセス」をクリックして起動します。
- 左ペインの分類で「パスワード」をクリックします。
- 右上の検索ボックスに「Backup」と入力します。
- 検索結果の一覧から「iPhone Backup」、もしくは「iOS Backup」を探してクリックします。
- 項目がない場合は、キーチェーンにバックアップパスワードは残っていません。
- 「属性」タブの「パスワードを表示」のチェックボックスを「オン」にします。
- 機密情報許可の確認ダイアログが表示されたら「Macのログインパスワード」を入力して「許可」をクリックします。
- バックアップパスワードが表示されます。
対処4: iCloudバックアップで復元する
正しいパスワードをリセットせずにバックアップを復元がしたい場合は、iTunesではなくiCloudのバックアップ機能から復元する方法もあります。
ただし、iCloudによる復元は、Wi-Fi設定やブラウジングの履歴などのデータは復元できないため注意して下さい。
iCloudのバックアップ機能でiPhoneを復元する手順は次のとおりです。
手順1: iCloudでバックアップを作成する
まず、復元したいiPhoneでiCloudのバックアップを作成して下さい。*すでに作成済みの場合は、次の手順に進んで下さい。
iCloudによるバックアップの作成方法は、次のApple公式ページを参考にして下さい。
手順2: iPhoneをファクトリーリセットする
iCloudに保存したデータからリストアする場合は、使用中のiPhoneを一度ファクトリーリセットする必要があります。
iPhoneをファクトリーリセットの手順は以下の通りです。
- 「設定」アプリを起動します。
- 「一般」をタップします。
- 最下部の「リセット」をタップします。
- リスト内から「全てのコンテンツと設定を消去」を選んでタップします。
- 表示される指示通りに進め、「iPhoneを消去」をタップします。
- ファクトリーリセットが完了するまで待ちましょう。
ファクトリーリセットが正常に完了したら、次の手順に進みます。
手順3: iCloudバックアップから復元する
ファクトリーリセットをしたiPhoneを起動して、初期設定時にiCloudバックアップから復元します。
- ファクトリーリセットをしたiPhoneを起動します。
- 初期設定画面が表示されるので、指示に従って「Appとデータ」の画面まで進めます。
- 「Appとデータ」の画面が表示されたら、「iCloudバックアップから復元」をタップします。
- iCloudにサインインする画面が表示されるので、バックアップに使用した「Apple ID」と「Apple IDのパスワード」を入力してサインインします。
- そのまま手続きを進め、復元を完了します。
以上の手順で、iCloudを使ってiPhoneを復元することができます。
対処5: サードパーティ製の解析ツールを使う
作成済みの暗号化バックアップから復元する必要がある場合は、サードパーティ製の解析ツール(PhoneRescueなど)を使うのも一つの手段です。
ただし、サードパーティ製のツールは海外製のものが多いため使用は自己責任となります。
また、長いパスワードや、英数記号が混ざった複雑なパスワードを設定している場合、解析にかなりの時間がかかる点に注意して下さい。
『自分が設定しそうなパスワード』の項目でヒントをいただき、無事に復旧が開始できました。些細なことですが、とても助かりました。本当にありがとうございました。