マクロを含むExcelファイル(.xlsm)を開くと「セキュリティリスク: このファイルのソースが信頼できないためMicrosoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告メッセージが表示されて、マクロを実行できないケースがあります。
この警告が出た場合は、Excelファイルやトラストセンターの設定を変更しないとマクロを実行することができません。
本記事では、Excelで「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」が出た時の対処方法について詳しく紹介します。対処内容はWindows10/11を想定しています。
この記事の内容
「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の原因
「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告メッセージは、インターネットやメール、共有フォルダなどで入手したExcelファイルの不正なマクロが実行されることによるセキュリティリスクを防ぐために表示されます。
Excelの以前のバージョンでは、「セキュリティの警告: マクロが無効にされました」の警告が出ても「コンテンツの有効化」をクリックすればマクロを実行することができました。
しかし、Excelの新しいバージョンでは、セキュリティを許可する設定を行わないと、インターネットやメール、共有フォルダなどで入手したExcelファイルのマクロを実行できない仕様になっています。警告が表示されてマクロが実行できない場合は、以降の対処法を参考にしてください。
対処1: プロパティでセキュリティを許可する
インターネットなどの別の場所からダウンロードしたマクロを含んだExcelファイルは、Windowsの標準のセキュリティ機能によってマクロの使用がブロックされます。
そのため、インターネットからダウンロードしたExcelファイルのマクロを実行したい場合は、ファイルのプロパティでセキュリティを許可する必要があります。ファイルのプロパティでセキュリティを許可するには、以下の手順で操作してください。
- Excelファイルを開いている場合は一度閉じます。
- 警告が出るExcelファイルを右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「全般」タブを開いていることを確認します。
- 「セキュリティ: このファイルは他のコンピュータから取得したものです。このコンピュータを保護するため、このファイルへのアクセスはブロックされる可能性があります。」の右にある「許可する」にチェックを入れます。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
以上の手順でExcelファイルのプロパティでセキュリティを許可することができます。設定を変更できたら、ファイルを開き直してセキュリティ警告の「コンテンツの有効化」をクリックし、マクロが実行できるようになったか確認してください。
対処2: トラストセンターで信頼できる場所を追加する
Officeのトラストセンター(旧セキュリティセンター)の信頼できる場所にExcelファイルがあるフォルダを追加することで、「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告を回避することができます。
この設定を行うと追加したフォルダ内の全てのExcelファイルで警告が回避されます。トラストセンターで信頼できる場所を追加するには、以下の手順で操作してください。
- Excelを起動します。
- 「ファイル」をクリックします。
- 「その他」→「オプション」をクリックします。
- 左メニューで「トラストセンター(セキュリティセンター)」を選択します。
- 右ペインで「トラストセンター(セキュリティセンター)の設定」をクリックします。
- 左メニューで「信頼できる場所」を選択します。
- 共有フォルダを指定したい場合は、右ペインの「自分のネットワーク上にある信頼できる場所」にチェックを入れます。
- 右ペインで「新しい場所の追加」をクリックします。
- 「参照」をクリックして、「警告の出るExcelファイルがあるフォルダ」を選択して「OK」をクリックします。
- 共有フォルダを指定したい場合は、「参照」を押した後のダイアログで「ネットワーク」から共有フォルダを探して指定してください。
- 「参照」をクリックせずにパスを直接入力して指定することもできます。ただし、共有フォルダの場合はIPアドレス(192.168.1.XXなど)ではなくホスト名(\\Servername\Public)を入力してください。
- 「OK」をクリックして新しい場所のダイアログを閉じます。
- 「OK」をクリックしてトラストセンターウィンドウを閉じます。
- 「OK」をクリックしてExcelのオプションウィンドウを閉じます。
トラストセンターの設定が完了したら、Excelファイルを開き直してセキュリティ警告の「コンテンツの有効化」をクリックし、マクロが実行できるようになったか確認してください。
対処3: 信頼済みサイトに追加する
インターネットから取得したExcelファイルに「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が出る場合は、インターネットオプションの信頼済みサイトにファイルをダウンロードしたサイトのドメインを登録することで警告を回避できます。
インターネットオプションの信頼済みサイトにファイルをダウンロードしたサイトのドメインを追加するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」をクリックします。
- 「インターネットオプション」と入力します。
- 検索結果の一覧から「インターネットオプション: コントロールパネル」を選択して開きます。
- 「セキュリティ」タブを開きます。
- 「信頼済みサイト」のアイコンをクリックして選択します。
- 「サイト」をクリックします。
- 「このWebサイトをゾーンに追加する」の欄に「ExcelファイルをダウンロードしたサイトのドメインURL」を入力して「追加」をクリックします。
- ExcelファイルをダウンロードしたサイトのURLはブラウザのアドレスバーからコピーし、先頭のドメイン部分を入力してください。例えば「https://example.com/excel-data/sample.xlsm」からダウンロードしている場合は、「https://example.com」を入力します。
- 「閉じる」をクリックしてから「OK」をクリックしてダイアログを閉じます。
インターネットオプションの信頼済みサイトに追加できたら、Excelファイルを再度ダウンロードして開いてください。セキュリティの警告が表示されたら、「コンテンツの有効化」をクリックしマクロが実行できるようになったか確認してください。
対処4: ローカルイントラネットに追加する
共有フォルダ内のExcelファイルに「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が出る場合は、インターネットオプションのローカルイントラネットに共有フォルダのパスを追加することでも警告を回避できます。
インターネットオプションのローカルイントラネットに共有フォルダのパスを追加するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」をクリックします。
- 「インターネットオプション」と入力します。
- 検索結果の一覧から「インターネットオプション: コントロールパネル」を選択して開きます。
- 「セキュリティ」タブを開きます。
- 「ローカルイントラネット」のアイコンをクリックして選択します。
- 「サイト」をクリックします。
- 「詳細設定」をクリックします。
- 「このWebサイトをゾーンに追加する」の欄に「Excelファイルが保存してある共有フォルダのパス(\\ホスト名\Publicなど)」を入力して「追加」をクリックします。
- 「閉じる」をクリックしてから「OK」をクリックします。
- 「OK」をクリックしてダイアログを閉じます。
インターネットオプションのローカルイントラネットにパスを追加できたら、Excelファイルを開き直してください。セキュリティの警告が表示されたら、「コンテンツの有効化」をクリックしマクロが実行できるようになったか確認してください。
対処5: Excelファイルをコピーする
共有フォルダのExcelファイルを開く際に「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が出る場合は、ファイルをローカル上(デスクトップなど)にコピーすることでも警告を回避できます。
この方法は、単一のExcelファイルのマクロを一時的に使用したい際に有効です。複数のExcelファイルを取り扱う場合には向いていませんので、別の方法を参考にしてください。
対処6: Excelファイルの名前を半角に変更する
Excelのファイル名に使用できない全角文字が入っていることが原因で、「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が出るケースがあります。
そのため、警告が出るExcelファイルの名前に全角文字が使用されている場合は、半角の名前に変更して警告が解決しないか確認してください。
また、ファイル名だけでなくファイルパスに使用できない全角文字が入っていると警告が表示される場合もあるため、Excelファイルが保存してあるディレクトリよりも上のフォルダ名に全角が使用されていないか確認してください。
この問題は新しいバージョンのExcelにアップデートすることで解決する可能性があります。Excelをアップデートするには、Excelを開いて「ファイル」→「その他」→「アカウント」→「更新オプション」→「今すぐ更新」の順に選択してください。
対処7: 共有フォルダのパスをホスト名で開く
トラストセンターの設定を行なったのに共有フォルダのExcelファイルを開く際に「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が表示される場合は、共有フォルダのパスをIPアドレスで指定していることが原因として考えられます。
トラストセンターの信頼できる場所の設定はホスト名(\\ホスト名\Publicなど)で入力を行います。共有フォルダをIPアドレス(192.168.1.XXなど)で開くと別の場所と見なされて警告が表示されてしまいます。
そのため、共有フォルダをIPアドレスで指定して開いている場合は、ホスト名で開き直してからExcelファイルを開いてみてください。
対処8: ネットワークドライブを再追加する
共有フォルダをネットワークドライブとして追加している場合は、ネットワークドライブの設定に問題が起きていることが原因で、Excelファイルを開く際に「Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」の警告が表示されるケースが考えられます。
そのため、共有フォルダのネットワークドライブを一度切断してから再追加し、トラストセンターの設定をやり直すことで警告が解決する可能性があります。ネットワークドライブを再追加するには、以下の手順で操作してください。
- エクスプローラーを開きます。
- 左メニューで「PC」をクリックします。
- 警告が出るExcelファイルが保存されている「ネットワークドライブ」を右クリックして「切断」を選択します。
- 確認ダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- 左メニューで「PC」を右クリックして、「ネットワークドライブの割り当て」を選択します。
- 「ドライブ文字」を選択してから、「参照」をクリックして「共有フォルダ」を選択して「OK」をクリックします。
- 「サインイン時の再接続する」にチェックが入っていることを確認して「完了」をクリックします。
ネットワークドライブを再追加できたら、『対処2: トラストセンターで信頼できる場所を追加する』の方法でトラストセンターに信頼できる場所を追加してからファイルを開き直してみてください。
対処9: すべてのマクロを有効にする
トラストセンターの設定を変更してExcelファイルの全てのマクロを有効にすることもできます。
ただし、この設定を行うと全てのExcelファイルのマクロが実行できる状態になるため、セキュリティ面に問題がある点に注意してください。基本的に信頼できるExcelファイルのマクロをどうしても使用したい場合に限り、一時的に設定を変更することをおすすめします。
トラストセンターの設定ですべてのマクロを有効にするには、以下の手順で操作してください。
- Excelを起動します。
- 「ファイル」をクリックします。
- 「その他」→「オプション」をクリックします。
- 左メニューで「トラストセンター(セキュリティセンター)」を選択します。
- 右ペインで「トラストセンター(セキュリティセンター)の設定」をクリックします。
- 左メニューで「マクロの設定」を選択します。
- 右ペインで「すべてのマクロを有効にする」を選択して「OK」をクリックします。
- 「参照」をクリックして、「警告の出るExcelファイルがあるフォルダ」を選択して「OK」をクリックします。
- 「OK」をクリックしてExcelのオプションウィンドウを閉じます。
トラストセンターの設定を変更できたら、Excelファイルを開いてマクロを実行できるようになったか確認してください。