Windows10の「システムの復元」機能は、10分~1時間程度で終わることがほとんどです。
しかし、パソコンの状態によっては長時間待っても復元が終わらない場合があります。
また、復元中に0x80070091、0x8000ffff、0x80070005などの不明なエラーが発生してシステムの復元に失敗するトラブルが起きることがあります。
本記事では、Windows10のシステムの復元が終わらない場合・復元ができない場合の対処方法を詳しく紹介します。
この記事の内容
システムの復元が終わらない時の対処法
システムの復元が実行できても、しばらくその状態のままで処理が完了しない場合は次の対処を参考にして下さい。
対処1: エラーが出ていない限り待つ
Windowsのシステムの復元作業は数分で終わる場合もありますが、数時間かかることも少なくなく、長い時には24時間を超えることがあります。
終わらないと思っても辛抱強く待ち、また時間の余裕のある時にシステムの復元を実行することが重要です。
復元作業がまだ進行しているかどうかを確認したい時は、ハードディスクのアクセスランプを調べてみてください。
ランプが点滅しているのならまだ処理が行われているはずなので、もうしばらく待ってみましょう。
対処2: システムの復元をやり直す
ハードディスクのランプがまったく点滅していなかったり、逆にランプが点灯したままの状態にっている場合は、復元の処理が止まってしまっているケースも考えられます。
1日経っても同じ状態の場合は、パソコンの電源ボタンを長押しして強制終了し、しばらく待ってから電源を入れ直します。
電源を入れ直すとシステムの復元を実行する前の状態でWindowsが起動するはずです。
Windowsが起動したら、再度システムの復元を試してみて下さい。
万が一システムに異常が発生してWindowsが起動しなくなってしまった場合は、数回起動とシャットダウンを繰り返してスタートアップ修復を立ち上げてください。
システムの復元がエラーで失敗する時の対処法
システムの復元中に「システムの復元は正しく完了しませんでした。」というエラーが出て、Windowsの復元に失敗してしまうケースがあります。
システムの復元は正しく完了しませんでした。コンピュターのシステムファイルと設定は変更されませんでした。
詳細:
システムの復元は、復元ポイントからディレクトリの復元中に失敗しました。
システムの復元中に不明なエラーが発生しました。(0x800XXXXX)
上記のエラーが出る場合は、「システムの復元中に不明なエラーが発生しました。」の後に続くエラーコードを確認して下さい。
エラーコードに対応する対処方法は、それぞれ次のとおりです。
- エラー(0x80070091)
- エラー(0x8000ffff)
- エラー(0x80070005)
その他のエラーコードがシステムの復元中に表示された場合は、順に紹介する対処方法を試して下さい。
対処1: セーフモードで実行する
バックグラウンドで起動中のアプリやプログラムが原因で、システムの復元に失敗するケースがあります。
上記のケースの場合、Windowsをセーフモードで起動することで、アプリの影響を受けることなくシステムの復元を実行することができます。
Windows10のセーフモードの具体的な実行手順については、次のページを参考にしてください。
Windowsがセーフモードで起動できたら、通常の手順通り「システムの復元」実行画面を開き、復元を開始します。
対処2: WindowsApps内の属性・アクセス権を変更する
システムの復元時にエラー(0x80070091)が表示された場合は、Windowsのシステムファイルの権限に問題があることが考えられます。
次の手順でWindowsAppsフォルダ内のファイルの権限を変更することで、システムの復元が正常にできる可能性があります。
*0x80070091以外のエラーの場合は、この対処方法は試さないで下さい。
- Windowsをセーフモードで起動します。
- Windows10をセーフモードで起動する方法は、『セーフモード(セーフブート)の起動・解除方法 – Windows10/11』を参考にして下さい。
- Windowsが起動したら「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
- ユーザーアカウント制御が出たら「はい」をクリックします。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押します。
takeown / f "C:\Program Files\WindowsApps" / r / d Y
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押します。アクセス権の変更が始まります。
icacls "C:\Program Files\WindowsApps" / grant "%USERDOMAIN%\%USERNAME%" :(F)/ t
- 「XXXX個のファイルが正常に処理されました。0個のファイルを処理できませんでした」のメッセージが出るまで待ちます。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押します。
rd / s "C:\Program Files\Windows Apps"
- 確認メッセージが表示された場合は、「Yキー(はい)」を押して下さい。
- コマンドの処理が完了したらPCを再起動します。
PCが再起動できたら、システムの復元を再度試してみて下さい。
対処3: 管理者権限でシステムの復元を実行する
システムの復元を管理者権限で実行できていないと、エラー(0x8000ffff)が表示されて復元が失敗してしまいます。
システムの復元を管理者権限で実行するには、次の手順で操作して下さい。
- 「Windowsマーク」をクリックして「システムの復元」と入力します。
- 一覧に表示される「システムの復元」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- システムの復元が起動するので、通常の手順で復元ポイントを選択して復元を実行します。
対処4: 別の復元ポイントを使って復元する
復元しようとした復元ポイントに問題があり、復元の処理が失敗しているケースが考えられます。
もし複数の復元ポイントが作成済みであれば、別の復元ポイントを使って復元してみてください。
別の復元ポイントでWindowsを復元する手順は、次のとおりです。
- システムの復元画面を開きます。タスクバーにある「スタート」ボタンを右クリックし、「システム」を選択します。
- 「設定」ウィンドウが開き、「バージョン情報」が表示されます。画面右側を下へスクロールし、「関連設定」の下にある「システム情報」をクリックします。
- コントロールパネルウィンドウが開き、システム情報が表示されます。ウィンドウ左のリストにある「システムの保護」の文字をクリックします。
- 「システムのプロパティ」ウィンドウで「システムの保護」タブが開かれていることを確認します。
- 「保護設定」のリストにて[Windows10がインストールされているドライブ]をクリックし、選択状態にします。
- Windows10がインストールされているドライブは、「ローカルディスク(C:)」であることがほとんどです。
- ドライブを選択したら「システムの復元」ボタンをクリックします。
- 「システムの復元」ウィンドウが開きます。「次へ」をクリックします。
- これまでにシステムの復元を実行し、成功したことがある場合には「システムファイルと設定を復元します。」と表示されます。
- ここでは「別の復元ポイントを選択する」を指定し、「次へ」をクリックします
- 上記の画面が表示されない場合はこの手順を飛ばし、次へ進んでください。
- 「選択したイベントの前の状態にコンピューターを復元します。」と表示されたら、リストから代わりに使用する復元ポイントを選択します。
- どれを選ぶかわからない場合は上から2番目の項目を選択してください。
- リストの左下の「他の復元ポイントを表示する」のチェックボックスがある場合は、チェックを入れると古い復元ポイントが表示されます。
- リストに1つしか項目がない場合は復元ポイントが1つしか作成されていないため、別の復元ポイントを使って復元を試すことはできません。次の対処方法を試し下さい。
- 「次へ」をクリックします。
- 以降は通常の手順通り、「影響を受けるプログラムの検出」と「復元の確認」画面を確認してから「完了」ボタンをクリックしてシステムの復元を実行します。
対処5: システムスキャンを実行する
Windowsのシステムファイルに異常があるケースが考えられます。そのため、システムファイルチェッカーツールを使ってシステムスキャンを行ってみてください。
システムスキャンを実行するには、次のページの手順に従ってSFCスキャンを行ってください。
スキャン実行時に異常が発見された場合は自動的に修復も行われます。
対処6: 起動中のサービスを確認する
特定のWindowsサービスが停止しているとシステムの復元の処理が正常に行われないことがあります。
次の手順でシステムの復元に必要なサービスの状態を確認してみてください。
- タスクバーの「スタート」ボタンをクリックします。
- アプリ一覧から「Windows管理ツール」フォルダを探して展開します。そして、フォルダの中にある「サービス」の項目をクリックして起動します。
- 「サービス」ウィンドウが開きます。リストから次の名称の項目を探します。
- Volume Shadow Copy
- Task Scheduler
- Microsoft Software Shadow Copy Provider
- 上記の項目をそれぞれ1つずつダブルクリックしてプロパティ画面を表示します。「全般」タブ内を開き、上記全てのサービスにおいて「スタートアップの種類」が「自動」、サービスの状態が「実行中」になっていることを確認します。
- スタートアップの種類を変更するには「スタートアップの種類」の文字の右側にあるリストをクリックします。
- サービスの状態を変更するには「開始」ボタンをクリックします。
対処7: システム保護設定が有効か確認する
Windowsのシステム保護設定に問題があり、システムの復元が失敗してしまうケースがあります。
次の手順でシステム保護設定が有効になっているか確認して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「システム」を選択します。
- 関連設定の「システムの情報」をクリックします。
- 左ペインで「システムの保護」をクリックします。
- [Windowsのインストールされているシステムディスク]の「保護」の状態が「有効」になっているか確認します。
- 「無効」になっている場合は、「構成」をクリックして有効にします。
システム保護設定を有効に変更した場合は、再度システムの復元をやり直します。
対処8: 他のユーザーアカウントでシステムの復元を実行する
ログイン中のユーザーアカウントに問題があるかもしれません。
別のユーザーアカウントに切り替えてログインし、そちらのユーザーアカウントでシステムの復元を実行してみてください。
ユーザーアカウントが1つしかない場合は新規ローカルアカウントを作成します。ローカルアカウントの作成手順は次のリンク先が参考になります。
この方法で解決した場合はユーザープロファイルが破損している可能性があります。最初に使用したユーザーアカウントの状態をよく調べて、必要であればユーザープロファイルの修復を行ってください。
対処9: Windowsをクリーンインストールする
ここまでの対処方法で解決ができない場合は、Windows10のシステムファイルに異常があることが考えられます。
Windows10のクリーンインストールを行うことで異常のあるシステムファイルを修正することができます。
クリーンインストールの手順については、次のページを参考にして下さい。
データについてはクリーンインストール時に「個人用ファイルのみを引き継ぐ」オプションを選択することでドキュメントファイルや画像ファイルを消去せず引き継ぐことができます。
しかし、念の為すべてのファイルのバックアップをとってからクリーンインストールを実行することをおすすめします。