ThunderbirdからOutlookへ切り替えたい、あるいはOutlookからThunderbirdへ切り替えたい、そう思った時に問題となるのは過去のメールデータの移行です。
残念ながらそれぞれで書き出したメールデータのファイルをそのまま移行先に取り込むことはできないため、各種ツールやフリーソフトを利用して上手くデータの変換ややり取りを行う必要があります。
本記事では、ThunderbirdとOutlook間でのメールデータの移行を簡単にする方法について解説します。
この記事の内容
ThunderbirdからOutlookへの移行
ThunderbirdからOutlook(2016以降)へメールデータを移行する場合には、フリーソフトのMailStoreを利用する方法が簡単です。MailStoreのHome版であれば、非商用利用目的である限り無料で利用することができます。
まず、以下の手順でMailStoreのダウンロードとインストールを行います。
1.MailStoreをインストールする
- 以下のリンクをクリックしてMailStore Homeのダウンロードページを開きます。
- 画面中央にある「Download MailStore Home (Free)」ボタンをクリックします。
- ダウンロードが開始します。ダウンロードが完了したら「実行」ボタンをクリックするか、ダウンロードフォルダを開いてダウンロードしたばかりのインストーラをダブルクリックで起動します。
- ライセンスの内容を確認してから、「ライセンス契約とプライバシーポリシーに同意する」にチェックを入れて「次回」ボタンをクリックします。
- 設定を変更せずに「インストール」ボタンをクリックします。
- ユーザーアカウント制御ウィンドウが表示されたら「はい」をクリックします。
- インストールが完了するまでしばらく待ちます。完了したら「終了」ボタンをクリックします。
これでインストールは完了です。ここからは実際にメールのデータをMailStoreに取り込んでから、MailStoreの機能を使いOutlookで読み込める形式に変換します。
2.メールデータをアーカイブする
- インストール完了後「終了」ボタンをクリックするとMailStoreが起動します。もし起動しない場合、あるいはウィンドウを閉じてしまった場合はデスクトップにあるショートカットや、スタートメニューのアプリ一覧からMailStoreを起動します。
- 左のリストから「Eメールのアーカイブ」をクリックします。
- 「プロファイルの作成」グループの中から、Eメールクライアントの「Mozilla Thunderbird」をクリックで選択します。
- 設定ウィンドウが表示されます。プロファイル名がdefaultになっているので、そのまま下にある「次へ」をクリックします。
- メールの入っているフォルダや受信日時で移行するメールを選択します。全てのメールを移行する場合は設定の変更はありません。設定したら下にある「終了」ボタンをクリックします。
- プロファイルが作成され、中央のリストに追加されます。追加されたプロファイルをダブルクリックします。
- アーカイブが開始されます。終了したら、左のリストにある「マイアーカイブ」に取り込んだメールが追加されていることを確認します。
3.pstファイルに変換して保存する
- Outlookに読み込める形式に変換して出力します。左のリストから「Eメールのエクスポート」を選択します。
- 「プロファイルの作成」グループの中から「Microsoft Outlook PSTファイル」を選択します。
- エクスポートの設定画面が開きます。先ほどMailStoreに取り込んだメールの入っているフォルダを選択し、「次へ」をクリックします。
- 「Eメールを新規または既存のPSTファイルにエクスポート」を選択します。
- 「ファイル名」の右にある「…」ボタンをクリックします。
- エクスプローラウィンドウが表示されるので、「C:\Users\ユーザー名\Documents\Outlook ファイル」の場所にあたるフォルダを開きます。
- 「ファイル名」の項目に任意のファイル名を指定し、「保存」をクリックします。名前はどのようなメールが入っているかわかるものであればなんでも構いません。
- パスワードは空欄のまま、「次へ」をクリックします。
- プロファイルが作成され、中央のリストに追加されます。作成されたプロファイルをダブルクリックします。
- 処理が完了したらMailStoreでの作業は終了です。ウィンドウを閉じます。
4.Outlook2016にメールを取り込む
最後にThunderbirdから書き出したpstファイルをOutlookで読み込みます。
- Outlook2016を起動します。
- 上部のタブから「ファイル」を選択します。
- 左のリストから「開く/エクスポート」を選択します。
- 「Outlookデータファイルを開く」をクリックします。
- 先ほど書き出したpstファイルを選択し、「開く」をクリックします。
これで操作は完了です。MailStore Exportというフォルダが追加され、その中に移行したメールが入っていることを確認します。
メールを移行できない時は?
今回紹介した手順でうまく移行できない時は以下をご確認ください。
1度pstファイルに書き出しているか
MailStoreに取り込んだメールデータをそのままOutlookにエクスポートすることもできますが、変換に失敗することがあります。
本記事の手順のように1度pstファイルに書き出してからOutlookでインポートする手順をお試しください。
書き出したpstファイルに拡張子がついているか
MailStoreでpstファイルを書き出すと、拡張子である末尾の「.pst」がファイル名に付かないことがあります。
その場合は書き出したファイルの名前の末尾に「.pst」を追加してください。
具体的には『Outlook2016にメールを取り込む』の手順5で、以下の操作を行います。
- 右下にあるドロップダウンメニューを「Outlookデータファイル(.pst)」から「すべてのファイル(*.*)」に変更します。
- 先ほど書き出した拡張子のついていないファイルが表示されるので、ファィル名を右クリックし、「名前の変更」を選択します。
- ファイル名の末尾に「.pst」を追加してエンターキーを押します。
- 最後に名前の変更を行ったファイルを選択し、「OK」をクリックします。
OutlookからThunderbirdへの移行
Outlook2016以降からThunderbirdへの移行については、Mozillaサポートからの回答があります。
回答の通り、Thunderbirdに備わっているインポートウィザードを使うことでメールを取り込むことができます。
ただし、Outlookから移行するには古いバージョンのThunderbirdが必要になる点に注意して下さい。具体的には以下の手順で移行を行います。
1.古いバージョンのThunderbirdをインストールする
まずは、古いバージョンのThunderbirdをインストールしましょう。
- Thunderbirdバージョン31.8ダウンロードページにアクセスし、ファイルをダウンロードします。
- ファイルをダウンロードしたら「実行」ボタンをクリックするか、ダウンロードフォルダを開いてダウンロードしたファイルをダブルクリックします。
- ユーザーアカウント制御画面が表示されたら「はい」をクリックします。
- 「次へ」をクリックしてインストール作業を進めます。インストール時に設定を変更する必要はありません。
インストールが完了すると自動でThunderbirdが起動します。メールアカウントの設定などの初回画面が表示されますが、そのまま閉じて問題ありません。
起動しない場合はデスクトップアイコンまたはスタートメニュー内のアプリ一覧からThunderbirdを起動します。
2.メールデータをインポートする
- Thunderbirdのホーム画面を表示して右上の「3本線マーク」→「ツール」→「設定とデータのインポート」を選択します。
- 「メールボックス」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。(*連絡先も全て移行する場合は、「すべてのインポート」にチェックを入れましょう。)
- インポート元のファイル形式で「Outlook」を選択して「次へ」をクリックします。
- インポートが開始されます。
インポートの処理が完了するまでしばらく待ちます。
もし、上記の操作でインポートに失敗してしまう場合は、『Outlookからeml形式でエクスポートする』を参考にしてインポートしましょう。
3.Thunderbirdのバージョンを更新する
メールデータのインポートが完了したらThunderbirdを最新版に更新します。
- Thunderbirdのホーム画面の右上の「三本線マーク」→「ヘルプ」→「Thunderbirdについて」を選択します。
- 自動的に更新が開始されます。更新が完了するまでしばらく待ちます。
- 「再起動して更新」ボタンが表示されたらボタンをクリックしてThunderbirdを再起動します。
メールを移行できない時は?
手順通り操作を行っても、Outlookへメールの移行できない場合は以下の項目をご確認ください。
Outlookが規定のプログラムになっているか
Outlookが既定のメールアプリに設定されていないと正しくインポートすることができません。
以下のページを参考にOutlookの設定画面から既定のアプリ設定を行ってください。
一括インポートを行っていないか
インポート時の設定画面で「すべてのインポート」を選択した状態でインポートを開始するとエラーが発生することがあります。
この場合は「メールボックス」を指定してメールデータのみをインボートすることで問題なく取り込めることがあります。アドレス帳などのデータが必要な場合は別途インポートを行ってください。
Outlookからeml形式でエクスポートする
Thunderbirdのインポート機能でOutlookが選択できなかったり、インポートに失敗してしまう場合は、eml形式でThunderbirdにインポートする方法があります。
1.「OutlookExportTool」を起動する
まず、『OutlookExportTool』を使ってOutlookからメールデータをエクスポートします。
「OutlookExportTool」の最新版をダウンロードして解凍します。ファイルを解凍するには7-zipがおすすめです。
解凍したファイルの「OutlookExportTool.exe」を右クリック→管理者として実行します。
2.Outlookからエクスポートする
「OutlookExportTool」が起動したら以下の手順でOutlookのメールデータをエクスポートします。
- 上部メニューより「全フォルダのエクスポート」をクリックします。
- エクスポート形式選択画面が表示されるので「eml形式 (.eml) 添付ファイルあり」を選択して「OK」をクリックします。
- 保存先フォルダを「参照」をクリックして選択して「OK」をクリックします。
保存先に指定しフォルダにメールデータがeml形式で保存されます。
2.Thunderbridにメールデータをインポートします。
最後にThunderbridにメールデータをインポートします。
インポートの仕方は、Thunderbridで受信トレイを開いた状態で、先ほどOutlookからエクスポートした「eml形式のメールデータ」をドラッグ&ドロップするだけです。
もし、ドラッグ&ドロップでメールデータが取り込めない場合は、次の2つの項目を確認して下さい。
- Thunderbridのバージョンが古いとeml形式をインポートできないため、最新版にアップデートしておきましょう。
- Thunderbridにメールアドレスが1つも設定できていない場合は、先にメールの設定を行って下さい。