Windows10には、パソコンを遠隔操作するための「リモートデスクトップ」という機能が搭載されています。リモートデスクトップ接続を行うことで、手元のパソコンから離れた場所にあるパソコンを遠隔操作できます。
しかし、リモートデスクトップ接続をすると描画速度が著しく遅くなることがあります。
本記事では、Windows10のリモートデスクトップの描画が遅い原因と、高速化するための対処法を紹介します。
リモートデスクトップ接続時の描画速度の遅さに悩んでいるという方は、参考にして下さい。
この記事の内容
リモートデスクトップの描画が遅い原因
Windows10のリモートデスクトップ接続時の描画が遅い原因は、接続先と接続元それぞれのパソコン環境が影響していると考えられます。
- 接続元のパソコン
- リモートデスクトップ接続を行う際の設定項目が影響しているケースがあります。
- 接続先のパソコン
- 常駐するプログラムやセキュリティ対策ソフトが描画の速度を遅くしているケースがあります。
- 通信状況が悪い
また、通信設定をUDP(User Datagram Protocol)通信から変更することで、リモートデスクトップの描画速度が速くなる場合もあります。
順に対処法を紹介していくので、使用している接続先と接続元のパソコンの設定を確認してみましょう。
リモートデスクトップの描画を高速化する対処法
対処1: リモートデスクトップ接続時の設定を見直す(接続元)
接続元のリモートデスクトップの設定を見直してみましょう。リモートデスクトップ接続時に行う設定を見直すことで、通信するデータ量が削減され、描画速度も高速化されます。
まずは以下の手順で、パソコンをリモートデスクトップ接続する画面を表示させましょう。
- Windowsメニューのプログラムリストから「Windowsアクセサリ」を選択する
- 「リモートデスクトップ接続」をクリックする
- リモートデスクトップ接続の画面が表示されたら、「オプションの表示」をクリックします。
- リモートデスクトップの設定タブが表示されます。描画速度を上げたい場合は、以下のタブにある設定を変更しましょう。
- 「画面」タブ
- 「画面の色」にある「リモートセッションの色深度」を、デフォルトの「最高品質(32ビット)」から「High Color(16ビット)」に変更する
- 「ローカルリソース」タブ
- 「ローカルデバイスとリソース」にある「クリップボード」のチェックを外す
- 「エクスペリエンス」タブ
- 「パフォーマンス」にある「接続速度」のドロップダウンリストで「モデム(56kbps)」を選択します。
- その下のチェックボックスは、「フォントスムージング」だけにチェックを入れます。
- 「ビットマップのキャッシュを保持」のチェックを外します。
- 「画面」タブ
設定が変更できたら「接続」をクリックして、リモートデスクトップ接続を行います。
画面タブでは色を制限することでデータの転送量を削減し、ローカルリソースタブではファイルのコピー時にかかる転送量を削減しています。またエクスペリエンスタブでは接続速度を落とし、さらに転送量を軽くするために文字の読みやすさ以外の項目を解除しています。
この状態でリモートデスクトップ接続を行うと、デフォルトの状態よりも描画速度が速くなります。ぜひ試してみてください。
対処2: リモートデスクトップの優先度を上げる(接続元)
リモートデスクトップのプログラムの優先度を上げることで、描画のスピードが改善する場合があります。
次の手順で、タスクマネージャーからリモートデスクトップの優先度を上げてみましょう。
- PCにリモートデスクトップで接続します。
- タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を起動します。
- 簡易表示になっている場合は、「詳細」をクリックします。
- 「詳細」タブをクリックします。
- 一覧から「mstcsc.exe」を探します。
- 「mstcsc.exe」を右クリックして「優先度の設定」→「リアルタイム」に変更します。
対処3: マウスのポインターの設定を変更する(接続先)
マウスのポインターの設定が原因で、リモートデスクトップの描画速度が遅くなる場合があります。
接続先のマウスのポインターの設定を変更して、描画速度が改善しないか確認して下さい。
- 「スタート」を右クリックして「設定」を開きます。
- Windowsの設定で「デバイス」をクリックします。
- 左ペインで「マウス」を選択します。
- 「その他のマウスオプション」をクリックします。
- 「ポインター」タブをクリックします。
- 「デザイン」の項目で「なし」を選択します。
- 「ポインターの影を有効にする」のチェックを外します。
- 「OK」をクリックします。
対処4: パソコンをクリーンブートしてみる(接続先)
接続先のWindows10パソコンに問題がある場合、常に動作している「常駐プログラム」また「常駐アプリケーション」が原因で、描画速度が遅くなっている可能性があります。
常駐プログラムが原因になっていないか調べるためにも、接続先のPCをクリーンブートして、描画速度が改善しないか確認して下さい。
Windows10のクリーンブートの手順については、以下のページをご参照ください。
動作を遅くしている常駐プログラムやアプリケーションを特定し、無効にすることで、接続先パソコンの負荷が軽くなり描画速度も速くなります。
対処5: セキュリティ対策ソフトを無効化する(接続先)
セキュリティ対策ソフトは常に動作しているため、パソコンに動作に負荷をかけています。さらにリモートデスクトップ接続をした際、セキュリティソフトが接続元のパソコンに対して制限をかける場合もあります。
対処法として、リモートデスクトップ接続をする際は、Windowsセキュリティ、もしくはサードパーティ製のセキュリティ対策ソフトを一時的に無効化することが挙げられます。
無効化する手順は、使用しているセキュリティ対策ソフトによって違うので、マニュアルや公式サイトを確認してください。
ただし、セキュリティ対策ソフトを無効化した状態は危険です。改善した場合は、セキュリティの設定変更で描画速度が改善しないか確認して下さい。
セキュリティ対策ソフトの設定で改善しない場合は、他のセキュリティ対策ソフトの導入を検討して下さい。
対処6: UDP通信を無効にする(接続先・接続元)
描画が遅い原因と考えられるUDP通信を無効化することで、リモートデスクトップでも描画が速くなります。
UDP通信の無効化は、接続先あるいは接続元のどちらか片方の設定だけ変更すれば大丈夫です。手順は以下の通りです。
接続先側のUDP無効化手順
- タスクバーの検索フォームに「gpedit.msc」と入力し、検索結果から「ローカルグループポリシーエディター」を起動させる
- 表示された画面から「コンピューターの構成」フォルダを選択して展開する
- 「管理用テンプレート」フォルダを選択して展開する
- 「Windowsコンポーネント」フォルダを選択して展開する
- 「リモートデスクトップサービス」フォルダを選択して展開する
- 「リモートデスクトップセッションホスト」フォルダを選択して展開する
- 「接続」フォルダを表示させる
- 表示された項目から「RDPトランスポートプロトコルの選択」を開く
- 左上にあるボタンは「有効」を選択する
- 「オプション」下の「トランスポートの種類の選択」で、プルダウンメニューから「TCPのみを使用」を選択する
- 設定を変更したら「OK」をクリックする
- パソコンを再起動する
接続元側のUDP無効化手順
- タスクバーの検索フォームに「gpedit.msc」と入力し、検索結果から「ローカルグループポリシーエディター」を起動させる
- 表示された画面から「コンピューターの構成」フォルダを選択して展開する
- 「管理用テンプレート」フォルダを選択して展開する
- 「Windowsコンポーネント」フォルダを選択して展開する
- 「リモートデスクトップサービス」フォルダを選択して展開する
- 「リモートデスクトップ接続のクライアント」フォルダを表示させる
- 表示された項目から「クライアントのUDPを無効にする」を開く
- 左上にあるボタンは「有効」を選択する
- 「OK」をクリックする
接続元で設定を変更した場合、パソコンを再起動する必要はありません。次回のリモートデスクトップ接続時から適用されます。
対処7: 通信環境を見直す(接続先・接続元)
接続元、接続先のPCのの通信環境が安定していないと、リモートデスクトップの描画でラグが発生する原因になります。
以下の通信環境の改善ができないか確認して下さい。
- 接続先のPCは有線LANでネットワークに接続する
- 接続元のPCを安定した通信環境(固定のWi-Fiスポットなど)に接続する
- ポケットWi-Fiやスマホのテザリングの場合、通信が安定せずリモートデスクトップの描画が遅くなるケースがあります。
最近Chromeリモートデスクトップでの描画が運用に堪えないほど遅くなり、ネットワーク品質の問題だと思ってIPv6に切り替えたり、プロバイダを変更したりしましたが、いずれも改善されず。
貴サイトの対処法を拝見し、リモート接続時のUDP通信をカットしたところ、今までのイライラが見事に解消されました!
本当にありがとうございます。