パソコンが重いと感じ、タスクマネージャーを起動して調べてみると「デスクトップウィンドウマネージャー(dwm.exe)」がCPUやメモリの使用率を上げている場合があります。
あまり見かけないプロセスなので、どう対応して良いか迷う方も多いと思います。
本記事では、Windows10で「デスクトップウィンドウマネージャー」が重い時の対処法を紹介します。対処に迷った時は参考にしてみてください。
この記事の内容
デスクトップウィンドウマネージャーとは
「デスクトップウィンドウマネージャー」とは、主にデスクトップ画面の描画処理を管理するWindowsの標準プログラムのことです。コンポーネントは「dwm.exe」です。
Windows Vistaから実装されているプログラムで、Windows8やWindows10では標準機能となっています。
主な役割としては、ウィンドウが複数重なった場合の描画処理や、透明なウィンドウ枠といった視覚的効果の処理、滑らかなアニメーション効果の実装などが挙げられます。
いずれの効果も、Windowsのデスクトップ画面でスムーズに処理を行うには欠かせないプロセスです。
デスクトップウィンドウマネージャーが重い原因
Windows10では、多くのアニメーション効果や透過などの視覚的効果が使われています。
そのため、複数の画像処理やアニメーション効果が重なることで、デスクトップウィンドウマネージャーがCPUやメモリの使用率を圧迫してしまうケースがあります。
特にスペックの低いPCは、デスクトップウィンドウマネージャーの処理による影響が大きいため、PC全体の動作が重くなりやすいです。
停止しても大丈夫?
デスクトップウィンドウマネージャーのプロセスは、Windows10では停止することができません。
Windows8以前はユーザー側でデスクトップウィンドウマネージャーのプロセスだけを停止させることができました。
しかし、Windows10ではプロセスを終了するとWindows自体もシャットダウンする仕様になっており、プロセス単体で終了することができなくなっています。
タスクマネージャーから停止させようとすると、「Windowsが使用できなくなるかシャットダウンされ、保存していないデータがすべて失われます。続行しますか?」と表示され、「シャットダウン」のボタンが表示されます。
ウィンドウマネージャー重い時の対処法
デスクトップウィンドウマネージャーを停止することはできませんが、PCの動作が重い場合は次に紹介する対処法で改善できる可能性があります。
*紹介する対処方法は、全ての環境で必ずしも効果のある方法ではありません。対処前と対処後に動作チェックを行って比較することをおすすめします。
対処1: パソコンを再起動させる
パソコンが重いと感じたら、まずはパソコンを再起動させてみましょう。
再起動をかけてパソコンをリセットするだけでも、「dwm.exe」のプロセスが落ち着き、動作速度が改善される可能性があります。
特に長期間パソコンをスリープ状態にしている場合は、定期的に再起動をかけてリセットさせましょう。
対処2: Windowsのテーマを変更する
Windows10で使用しているテーマや壁紙を変更することでも、「dwm.exe」のプロセスを低減させることができます。
透過効果や複雑な色合いのテーマを使用していると、それだけ描画処理にも負荷がかかるので「dwm.exe」が使用するプロセスも高くなります。
そのため、CPUやメモリの使用率を下げたい場合は、なるべくシンプルなテーマを設定することをおすすめします。テーマの変更手順は以下の通りです。
- デスクトップの何も無い箇所で右クリックをして「個人用設定」を選択します。
- 左側のメニューから「テーマ」を選択します。
- 現在使用しているテーマを確認したら、下へスクロールし「テーマの適用」からテーマを選びます。
「テーマの適用」からテーマをクリックして選択すると、自動的にテーマが適用されます。
対処3: デスクトップの壁紙を変更する
デスクトップの壁紙をシンプルなものに変更することで、「dwm.exe」のプロセス負担を少しだけ低減させられます。
Windows10で壁紙を変更する手順は以下の通りです。
- デスクトップの何も無い箇所で右クリックをして「個人用設定」を選択します。
- 左側のメニューから「背景」を選択します。
- 右側の画面から「背景」の下にあるプルダウンメニューを開き、「画像」を選択します。
- より負荷を軽くしたい場合は、プルダウンメニューから「単色」を選択して下さい。
- 候補の一覧が表示されるので、気に入った画像を選択します。
- 「調整方法を選ぶ」で任意の画像表示方法を選びます。
- 「×」をクリックして画面を閉じます。
対処4: スクリーンセーバーを無効化する
スクリーンセーバーを無効にしたりシンプルなものにしたりすることでも、「dwm.exe」のプロセスを低減できます。
スクリーンセーバーの設定は次の手順で無効化することができます。
- 「Windowsマーク」を右クリック→「設定」を選択してWindowsの設定を開きます。
- 「個人用設定」をクリックします。
- 左ペインで「ロック画面」を選択します。
- 「スクリーンセーバー設定」をクリックします。
- 「スクリーンセーバー」のセレクトボックスをクリックして「なし」に変更します。
- 「OK」をクリックします。
対処5: アニメーションと透明効果を無効化する
「dwm.exe」のプロセスを少しでも軽くしたい場合は、Windows10に適用されているアニメーションと透明効果を無効化しておきましょう。
小さなことですが、設定しておくとより軽くなるはずです。設定変更の手順は以下の通りです。
- スタートメニューをクリックし、歯車アイコン(設定)を選択します。
- 「簡単操作」を選択します。
- 左側のメニューから「ディスプレイ」を選択します。
- 右側の表示を下へスクロールし、「Windowsにアニメーションを表示する」と「Windowsの表示に透明性を適用する」のスイッチをオフにします。
対処6: 視覚効果をパフォーマンス優先にする
Windowsのウィンドウの描画処理設定を変更することで、デスクトップウィンドウマネージャーの処理を軽減できる可能性があります。
描画処理の設定を変更することで画質や表示形式は変わりますが、それほどデスクトップの表示にこだわりが無い場合は変更をおすすめします。
Windowsの視覚効果の変更手順は次の通りです。
- タスクバーの検索ボックスに「パフォーマンス」と入力し、検索します。
- 検索結果から「Windowsのデザインとパフォーマンスの調整」を選択します。
- 「パフォーマンスオプション」の画面が表示されたら「視覚効果」のタブを選択します。
- 「パフォーマンスを優先する」にチェックを入れ、「適用」または「OK」をクリックします。
- パソコンを再起動させます。
- 「パフォーマンスを優先する」を選択してフォントやウィンドウの表示が荒くなった場合は、「カスタム」を選択し、必要な効果だけを選択して設定しましょう。
対処7: ディスプレイドライバーの更新を行う
ディスプレイドライバーを最新のバージョンに更新することで、デスクトップウィンドウマネージャーの負担が軽くなるケースがあります。
特にデスクトップ型のパソコンや、複数のモニターに接続していてる場合は、ディスプレイドライバーの更新を行ってみましょう。
ディスプレイドライバーの更新手順は以下の通りです。
- スタートメニューを右クリックして「デバイスマネージャー」を選択します。
- 「ディスプレイアダプター」の左側にある三角形をクリックして展開します。
- 「ディスプレイアダプター」の下に表示された項目を右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。
- 「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索」を選択します。
- ドライバーのダウンロードとインストールが自動で行われます。
- 「ドライバーが正常に更新されました」と表示されたら画面を閉じます。
ドライバーの更新時に「最適なドライバーが既にインストールされています」と表示された場合は、すでに最新版がインストールされている状態です。
ただしGeForceやAMDのグラフィックボードを搭載している場合は、自動で更新できていない場合もあります。
メーカーのホームページでドライバーの更新情報があるか念のため確認をしておきましょう。
対処8: レジストリを変更する
「dwm.exe」のプロセスの負担が上がると、プロセスが異常終了してPCの画面の描画が一瞬暗くなってしまうケースがあります。
イベントビューアーで「dwm.exe」のプロセスがエラーで終了している場合は、レジストリ値の変更で改善する可能性があります。
ただし、レジストリの変更はWindowsの動作に想定外の影響が出る恐れがあるため、バックアップを取ってから行って下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力してEnterキーを押します。
- ユーザーアカウント制御が出たら「はい」をクリックします。
- 左ペインでツリーを展開して次のキーに移動します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\DWM\
- 「DMW」を右クリックして「新規」→「キー」を選択します。作成されたキーの名前を「Schedule」に変更します。
- 作成した「Schedule」のキーを右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択します。名前を「FrameRateMin」に変更します。
- 作成した「FrameRateMin」を右クリックして「修正」を選択します。
- 値を次のように入力して「OK」をクリックします。
- 値のデータ:「3c」
- 表記:「16進数」
- 左ペインでツリーを展開して次のキーに移動します。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Avalon.Graphics
- 「Avalon.Graphics」のキーを右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択します。名前を「Force10Level9」に変更します。
- 作成した「Force10Level9」を右クリックして「修正」を選択します。
- 値のデータに「1」を入力して「OK」をクリックします。
- PCを再起動して設定を反映します。
以上で、「dwm.exe」の設定をレジストリ値で変更することができます。PCが再起動できたら「dwm.exe」のエラーで改善していないかイベントビューアーで確認して下さい。