2020年1月14日、遂にWindows7の製品サポートが終了してしまいました。これを機に、現在使っているWindows7やWindows8.1のパソコンをWindows10にアップグレードしようと考えている方も多いかと思います。
Windows10環境に移行するのであれば、使用中のWindowsパソコンをWindows10にアップグレードする方法が最も手軽です。
しかしパソコンの機種や環境によってはアップグレード時に「インストールが失敗しました」などのエラーが発生して、アップグレードできないケースがあります。また、「アップグレードを準備しています」の画面でアップグレードが99%で止まるトラブルもあります。
本記事ではWindows10へのアップグレードが失敗してできない時の確認事項と、問題解決の方法を紹介します。
この記事の内容
対処1: Windows10サポートの対象か確認する
Windows10との互換性が確認されていない機種は、アップグレードに失敗したり、成功しても動作に不具合が生じる場合があります。
- メーカーサイトで製品情報でWindows10に対応しているか調べる
- ウェブで「(パソコンのメーカー名) Windows10 アップグレード 対象」を検索して、使用しているパソコンの機種がWindows10サポートの対象に含まれているか確認する
性能の高いパソコンでもWindows10を対応していないケースがあるため、念の為確認しておくことをおすすめします。
サポート対象外であった場合、Windows10へのアップグレードは難しい可能性が高いため、そのままのバージョンのWindowsのまま使用し続けるか、Windows10搭載パソコンの新規購入をご検討ください。
対処2: パソコンのスペック・空き容量を確認する
Windows10のシステム要件を満たしていないPCは、アップグレードすることができません。
そのため、お使いのパソコンがWindows10のシステム要件を満たしているかご確認ください。
Windows10をインストールするためのシステム要件は次のとおりです。
- OS:Windows 7 SP1、もしくはWindows 8.1 Update
- CPU:1GHz 以上のプロセッサまたは SoC
- メモリ:1GB (32 ビット) 、もしくは2 GB (64 ビット)
- ハードディスクの空き容量:16GB (32ビット)、 20GB (64ビット)
- グラフィックカード: DirectX 9 以上および WDDM 1.0 ドライバー
- ディスプレイ解像度:800 x 600
使用しているPCのスペックと空き容量は、それぞれ次の手順で確認できます。
1.パソコンのスペックを確認する
使用しているパソコンの詳細なシステム情報は、DirectX診断ツールを使うことで確認できます。
DirectX診断ツールを起動するには次の手順で操作します。
- 「Windows」キーを押しながら「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを表示します。
- テキスト入力欄に半角でdxdiagと入力し、「OK」をクリックします。
- 「DirectX診断ツール」ウィンドウが開きます。「システム」タブ内にある情報と、上のリンク先にあるWindows10システム要件を比較し、お使いのパソコンが要件を満たしているか確認します。
2.ハードディスクの空き容量を確認する
必ずインストール先のハードディスクに十分な空き容量があるか確認してください。
Windows10にアップグレードするには、32ビットOSでは16GB以上、64ビットOSでは20GB以上の領域がシステムドライブに必要です。
ハードディスクの容量を確認するには、次の手順で操作します。
- デスクトップにある「システム」アイコンをダブルクリックしてください。
- システムアイコンがない場合は、タスクバーにある「黄色いフォルダ」アイコンをクリックしてエクスプローラを起動し、ウィンドウ左側のメニューにある「PC」をクリックします。
- 「デバイスとドライブ」という項目が表示されるので、システムドライブの項目を探して「空き容量」の表示を調べます。
- システムドライブは、「ローカルディスク(C:)」や「Windows(C:)」という表記が多いです。
対処3: 外部デバイスを取り外す
PCに複数の周辺機器を接続した状態でWindows10のアップグレードを行うと、ドライバーに問題が起きた際にアップグレードが失敗してしまうケースがあります。
そのため、一旦PCに接続しているデバイス(プリンター・外付けハードディスク・CD/DVD・USBデバイス・スピーカー・ヘッドホンなど)を全て取り外して下さい。
キーボードとマウスのみ接続した状態で、再度Windows10のアップグレードを実施してみて下さい。
対処4: Windowsを最新版にアップデートしてからアップグレードする
事前にWindowsの更新を全て済ませてからアップグレードすることで、正常にアップデートできる可能性があります。
Windows10へアップデートできるOSは、Windows 7 SP1、もしくはWindows 8.1 Updateです。
そのため、Windows7、8であっても上記のバージョンの更新プログラムを適用していないとアップデートすることができません。
Windows7で更新プログラムを確認する手順は、次のとおりです。
- 「スタート」→「コントロールパネル」をクリックします。
- 「システムとセキュリティ」をクリックします。
- WindowsUpdateの「更新プログラムの確認」をクリックします。
- 更新プログラムがある場合は、「更新プログラムのインストール」をクリックします。
- 「利用できる更新プログラムはありません」が表示されるまで更新をインストールして下さい。
Windowsアップデートをすべて適用できたら、Windows10のアップグレードを再度行ってみてください。
対処5: 引き継ぐ設定を変更する
Windows10へのアップグレードで、引き継ぐデータに問題があるとアップグレードが正常にできないケースがあります。
引き継ぐデータの設定は、アップグレード中の「インストールする準備ができました」の画面で、「引き継ぐものを変更」をクリックしてWindows10にができます。デフォルトでは、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」になっています。
アップグレードが失敗してしまう場合は、データを引き継ぐ設定を以下のいずれかに変更してアップグレードを試して下さい。
- 個人ファイルのみ引き継ぐ:設定とアプリのみ削除されます。
- 何もしない:ファイル、アプリ、設定が全て削除されます。
ただし、上記の設定にすると消えるデータもあるため、必要なデータはバックアップを取ってから行って下さい。
対処6: トラブルシューティングツールを利用する
Windowsのシステムにトラブルが起きており、アップグレードが正常にできないケースがあります。
システムトラブルが原因の場合、トラブルシューティングツールで解決できる可能性があります。
次の手順でトラブルシューティングツールを実行してみてください。
- コントロールパネルを開きます。Windows7の場合はタスクバーにある「スタート」ボタンをクリックし、スタートメニューにある「コントロールパネル」をクリックしてください。Windows8.1の場合は画面右のチャームバーにある「設定」をクリックし、「コントロールパネル」を選択してください。
- 「コントロールパネル」ウィンドウが開きます。ウィンドウ右上の「表示方法」の設定が「カテゴリ」になっていることを確認します。もし他の表示方法が指定されている場合は文字部分をクリックして設定を変更します。
- 「システムとセキュリティ」をクリックします。
- 「セキュリティとメンテナンス」グループの下にある、「コンピューターの一般的な問題のトラブルシューティング」をクリックします。
- トラブルシューティングツール一覧が表示されます。「システムとセキュリティ」グループの下にある「Windows Updateで問題を解決する」をクリックします。
- トラブルシューティングツールが起動します。画面中央下にある「詳細設定」をクリックします。
- 「自動的に修復する」にチェックを入れ、「管理者として実行する」をクリックします。「管理者として実行する」の項目がない場合は、「自動的に修復する」にチェックを入れた状態で右下にある「次へ」ボタンをクリックします。
- 診断と修復が実行されます。完了までしばらく待ちます。
トラブルシューティングツールの結果が出たら、内容を確認して下さい。結果の内容によって、対処が異なります。
- 「システムが一部変更されました」と表示された場合
- 問題が解消されている可能性があります。トラブルシューティングツールを終了し、もう1度Windows10のアップグレードを実施してみてください。
- 「自動的に修正できませんでした」と表示された場合
- エラーの内容を参考に手動で問題の解決を行って下さい。
- 「問題を特定できませんでした」と表示された場合
- システムファイルチェッカーツールをを実行して、システムファイルのチェックと修復を試してみてください。
- システムファイルチェッカーツールをを実行して、システムファイルのチェックと修復を試してみてください。
トラブルシューティングツールを実行した後でアップグレードを試しても失敗してしまう場合は、次の対処を試して下さい。
対処7: セキュリティソフトをアンインストールする
Windowsにインストールしているサードパーティのセキュリティソフトが原因で、アップグレードができないケースがあります。
そのため、セキュリティソフトをインストールしている場合は一時的にアンインストールして下さい。*Windows標準のWindowsDefenderは問題ありません。
セキュリティソフトのアンインストールは、「スタート」→「コントロールパネル」→「プログラムのアンインストール」からアンインストールできます。
対処8: スタートアッププログラムを停止する
Windowsに登録されているスタートアッププログラムの影響で、アップグレードが失敗するケースがあります。
そのため、スタートアップに登録されているプログラムを確認して、一度全て無効にして下さい。
- 「Windowsキー」を押しながら「Rキー」を押します。
- 「ファイル名を指定して実行」のウィンドウが表示されたら、テキストボックスに「msconfig」と入力して「OK」をクリックします。
- 「スタートアップ」タブをクリックして下さい。
- 「すべて無効にする」をクリックして「OK」をクリックします。
上記の設定後に、PCを再起動して自動で起動するプログラムがないことを確認して下さい。
PC起動時に起動するプログラムがある場合は、プログラムの設定で起動しないようにするか、アンインストールを行って下さい。
対処9: インストールメディアを作成してアップグレードする
Windowsのインターフェイス上からのアップグレードは、ネット経由で更新する処理を含んでいるため、通信環境に問題が起きるとアップグレードが失敗してしまうケースがあります。
Windowsインターフェイス上からのアップグレードが失敗する場合は、USBやDVDのインストールメディアを作成してアップグレードする方法を試して下さい。
USBのWindows10インストールメディアを作成してアップグレードをするには、次の手順で操作します。
- 8GB以上の空のUSBメモリを用意してPCに接続します。
- 『Microsoft公式ページ』から「Windows10メディア作成ツール」をダウンロードします。
- 「エディションの選択」で「Windows10」を選択して「確認」をクリックして下さい。
- 「言語の選択」で「日本語」を選択して「確認」をクリックして下さい。
- 「64bit」、もしくは「32bit」をクリックして「インストールメディア作成ツール」をダウンロードします。
- メディア作成ツールを起動します。
- ライセンス条項が表示されるので「同意する」をクリックします。
- 「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択して「次へ」をクリックします。
- 言語とアーキテクチャを選択して「次へ」をクリックします。
- 「USBフラッシュドライブ」を選択して「次へ」をクリックします。
- Windows10のインストールメディアの作成が開始します。
- 「USBフラッシュドライブの準備ができました」と表示されたら「完了」をクリックします。インストールメディアの作成は完了です。
- エクスプローラでインストールメディアのUSBドライブを開きます。
- 「setup.exe」をクリックして、案内に従ってアップグレードを開始します。
対処10: BCDを再構築する
Windows10のアップグレードでエラーは出なかったが、アップグレード後にWindows10が起動しないケースがあります。
上記の症状の場合は、Windows10のアップグレードに問題はなく、ハードディスクがブートできていないことが考えられます。
次の手順で、BCD/MBRの再構築を行ってWindows10が起動しないか確認して下さい。
- Window10のインストールメディア(USBやDVD)をPCに挿入します。
- PCを起動してBootメニューを開いて、インストールメディアのデバイス(USBやDVD)を選択して起動します。
- Bootメニューは、PC起動時にファンクションキーで選択できます。PCの機種によってファンクションキーが異なります。
- BIOS/UEFI設定からブートデバイスの順序をインストールメディアのデバイスを優先にして起動することもできます。
- 言語、時刻、キーボードの種類が日本語になっているか確認して「次へ」をクリックします。
- 画面左下に表示される「コンピューターの修復」をクリックします。
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」の順にクリックします。
- 「コマンドプロンプト」を選択します。
- 次のコマンドをそれぞれ入力してEnterキーで実行して下さい。
bootrec / FixMbr bootrec / FixBoot bootrec / ScanOs bootrec / RebuildBcd
- 全てのコマンドが実行できたらBCDの再構築は完了です。
BCDの再構築ができたら、PCを再起動してWindows10が起動するか確認して下さい。
対処11: RAMに問題がないか確認する
PCに搭載しているRAM(物理メモリ)に異常があると、エラーが起きてアップグレードが失敗してしまいます。
Windowsの動作が不安定になる症状が出ていた場合は、一度RAMが正常かチェックすることをおすすめします。
RAMの問題をチェックする方法については、次のページを参考にして下さい。(*以下のページはWindows10向けの記事ですが、10以前のWindowsでもほとんど同じ操作でメモリ診断を実行できます。)