パソコンの動作が遅いと思ってタスクマネージャ等で原因を調べてみると、「Background Intelligent Transfer Service」というプロセスが過剰な通信を行っていたり、メモリ・CPU使用率を圧迫していたりすることがあります。
BITSは、Windowsのシステムサービスであるため一般的なアプリのように簡単に停止させることができません。
本記事では、Windows10で動作するBITSのサービスの正体と重い時の対処方法について解説します。
この記事の内容
Background Intelligent Transfer Serviceとは
Background Intelligent Transfer Service(BITS)は、使われていないネットワーク帯域を判別してファイルのダウンロードやアップロードの通信を制御するWindows標準のサービスです。
主にWindows アップデートやWindowsストアアプリのアップデートファイルのダウンロード、その他一部のアプリで利用されています。
BITSの機能により、バックグラウンドでファイルのダウンロードを行っても他のプログラムの動作や通信への影響を最小限に留めることができます。
停止できる?
BITSを停止させるのは非常に困難です。サービス管理ツールなどから一時的に停止させることはできますが、機能が必要になった時には自動でサービスが再起動してしまいます。
停止させることができても、Windowsアップデートなどに関する深刻なトラブルを起こすリスクがあります。
もしBITSが原因でパソコンの動作に異常が起きている場合は、次に紹介する方法を試し、問題の根本的な原因を探ることをおすすめします。
対処1: Windowsアップデートを行う
BITSが重い場合、まず原因として考えられるのはWindowsアップデートです。もしお使いのパソコンのWindowsが最新版になっていなければWindowsアップデートを行ってください。
Windowsアップデートの手順については次のリンク先をご参照ください。
何らかの要因によりWindowsアップデートができない場合や、アップデート中にエラーが発生する場合は、BITSのトラブルと関連した問題が起きているケースがあります。次のページを参考に対処を行ってみてください。
対処2: Windowsアップデートのキャッシュを削除する
Windowsアップデートを行った時のダウンロードファイルや履歴などのキャッシュが破損していると、WindowsアップデートやBITSサービスの不具合に繋がることがあります。
BITSサービスが重い場合は、次の手順で該当フォルダ内のファイルをクリアしてみてください。
*ただしこの操作を行うとWindowsアップデートの適用履歴が削除されることにご注意ください。
- 操作を行う前にWindowsアップデートに関連するサービスを停止させます。まず「スタート」ボタンをクリックしてスタートメニューを表示します。
- スタートメニューが開いたら、アプリ一覧にある「Windows管理ツール」フォルダを開き、フォルダの中にある「サービス」をクリックします。
- サービス管理ツールウィンドウが開きます。ウィンドウ内のリストから次のサービスを探します。
- Windows Update(「Automatic Update」または「自動更新」という名称で表記されていることもあります)
- Background Intelligent Transfer Service
- Cryptographic Services
- Windows Installer
- Update Orchestrator Service
- Delivery Optimization
- 「サービス名」をダブルクリックして「プロパティ」を表示し、「全般」タブ内にある「停止」ボタンをクリックします。
- すでに停止状態になっていれば操作をする必要はありません
- ファイルエクスプローラで次のフォルダを開きます。
C:\Windows\SoftwareDistribution
- フォルダが見つからない場合はエクスプローラのオプションにて「隠しファイルを表示する」の機能をオンにしてください。
- SoftwareDistributionフォルダ内のファイルをすべて削除します。もし不安であれば削除を行う前にフォルダ内のファイルを別の場所にコピーしておくのがおすすめです。
- ファイルを削除したら、次のフォルダを開きます。
C:\Windows\System32\catroot2
- 先程と同様、catroot2フォルダ内のファイルをすべて削除します。
- 「SoftwareDistribution」フォルダと「catroot2」フォルダのクリアが終わったら、停止させたすべてのサービスを再起動します。
- サービスを起動するには、サービス管理ツールウィンドウ上でサービス名をダブルクリックして「プロパティ」ウィンドウを開き、「全般」タブ内にある「開始」ボタンをクリックします。
- すべての操作が終わったらWindowsアップデートの確認を行います。もし未適用のアップデートがあればWindowsアップデートを実行してください。
- アップデートのキャッシュが削除されているため、アップデートに通常よりも時間がかかる場合があります。
対処3: BITSトラブルシューティングツールを利用する
BITSサービスプログラム本体に異常が発生しており、BITSの負担が重いケースがあります。
Windows10には標準でBITSのトラブルシューティングツールが搭載されているため、これで問題を解決できるか試してみてください。
トラブルシューティングツールを実行するには次の手順で操作します。
- 「スタート」ボタンをクリックしてスタートメニューを開いた後、アプリ一覧にある「Windowsシステムツール」フォルダを開きます。
- フォルダが展開されたら「コントロールパネル」の項目をクリックします。
- 「コントロールパネル」ウィンドウが開いたら「トラブルシューティング」をクリックします。
- 「トラブルシューティング」の項目が一覧にない場合は、ウィンドウ右上の「表示方法」を「小さいアイコン」に変更してください。
- 「コンピューターの問題のトラブルシューティング」画面が表示されます。「ハードウェアとサウンド」をクリックします。
- 一覧から「バックグラウンドインテリジェント転送サービス」の項目を探し、クリックします。
- トラブルシューティングツールが起動します。「次へ」をクリックします。
- 診断が開始されたらそのまましばらく待ちます。異常が発見された場合には自動で修復が行われます。
- エラーが発生した場合や「修復できませんでした」といったメッセージが表示された場合は、エラーコードまたは診断結果を参考に手動で修復を行ってください。
対処4: システムファイルスキャンを行う
システムファイルに異常があり、BITSの動作が不安定になり処理が重いケースがあります。
そのため、システムファイルチェッカーツールのDISMコマンドとSFCコマンドを実行して、Windowsのシステムファイルスキャンを行ってみてください。
DISMコマンドとSFCコマンドを実行する方法については、次のページの手順を参考にして下さい。
対処5: Windowsの動作を改善する
PCのスペックが低かったり、他のプロセスが影響して、BITSの処理負担が重く感じる場合があります。
特にWindowsの動作が普段から重く感じる場合は、BITS以外に問題があることが考えられます。
Windowsの動作を改善する方法については、次のページを併せて参考にして下さい。