別のPCとのファイルの共有を行うために、共有フォルダやNASなどを利用するケースがあると思います。
しかし、共有フォルダやNASにアクセスしようとした時に、「ネットワークパスが見つかりません(0x80070035)」というネットワークエラーが発生してアクセスできないことがあります。
このエラーが発生した場合、エラーを解決しない限り共有フォルダやNASにアクセスすることができないため対処が必要です。
今回は、Windows10で「ネットワークパスが見つかりません」エラーが発生した場合の対処法について紹介します。
この記事の内容
- 「ネットワークパスが見つかりません」エラーが発生する原因
- 対処1: フォルダの共有を有効にする
- 対処2: ネットワーク探索/ファイルとプリンタの共有の設定を有効にする
- 対処3: ゲストログオンを有効にする
- 対処4: SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートを有効化する
- 対処5: ファイアウォールを無効化する
- 対処6: ネットワークアダプターを再インストールする
- 対処7: NetBIOS over TCP/IPを有効にする
- 対処8: DNSキャッシュをクリアしてローカルIPを再取得する
- 対処9: TCP/IPプロトコルを再インストールする
- 対処10: Windows資格情報を再設定する
- 対処11: ローカルセキュリティポリシーの設定を変更する
- 対処12: 接続先デバイスのローカルIPを直接指定して接続する
「ネットワークパスが見つかりません」エラーが発生する原因
共有フォルダやNASへのアクセス時に「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生する場合、主に次の原因が考えられます。
- フォルダの共有設定が正しくできていない
- ネットワーク探索とファイルの共有設定が無効になっている
- ゲストログオンが許可されていない
- SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートの機能が不足している
- ファイアウォールが通信をブロックしている
- ネットワークアダプターのドライバーや設定に問題がある
- 間違った資格情報が登録されている
- セキュリティポリシーに問題がある
- 接続先のデバイスの名前解決ができていない
複数の原因が考えられますが、共有設定やゲストログオンに問題があることが原因になるケースが多いです。
エラーを解決できる可能性が高い対処方法から紹介していくので、順にエラーが解決しないか対処方法を試してみてください。
なお、ネットワーク関連の一時的な問題を回避するためにも、事前に接続先のPCやNAS、ルーターを一通り再起動してから対処を行うことをおすすめします。
対処1: フォルダの共有を有効にする
共有フォルダにアクセスできない場合は、共有設定が正しくできていないことが原因で、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生しているケースが考えられます。
そのため、フォルダの共有設定を確認して、共有が有効になっているか一度確認してください。フォルダの共有設定を確認するには、接続先のPCで次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「エクスプローラー」を開きます。
- 「共有するフォルダがあるディレクトリ」に移動します。
- 「共有するフォルダ」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「共有」タブをクリックして、「共有(S)…」をクリックします。
- プルダウンから「共有したいユーザー」を選択して「追加」をクリックして、右下にある「共有」をクリックします。
- 追加したユーザーに書き込みを許可する場合は、「アクセス許可のレベル」を「読み取り/書き込み」に変更してください。
- 「ユーザーのフォルダは共有されています。」の表示が出たら「終了」をクリックします。
- プロパティに表示される「ネットワークパス」を控えます。
- 「詳細な共有(D)…」をクリックします。
- 「このフォルダを共有する」にチェックを入れて「OK」をクリックします。
- 「閉じる」をクリックします。
以上でフォルダの共有設定が完了です。共有の設定が正しくできたら、接続元のPCから共有フォルダのネットワークパスを入力して接続を試してみてください。
共有設定を確認してもエラーが解決しない場合は、次の対処に進んでください。
対処2: ネットワーク探索/ファイルとプリンタの共有の設定を有効にする
共有側のPCでネットワーク探索とファイルの共有が無効に設定されている場合、共有フォルダにアクセスすることができません。
そのため、共有側のPCでネットワーク探索とファイルの共有設定を確認して、無効の場合は有効にしてください。設定手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ネットワーク接続」を選択します。
- 右ペインで「ネットワークと共有センター」をクリックします。
- 左ペインで「共有の詳細設定の変更」をクリックします。
- 現在のプロファイルのネットワークを選択して、次のチェックボックスにチェックを入れます。
- ネットワーク探索: ネットワーク探索を有効にする
- ファイルとプリンターの共有: ファイルとプリンタの共有を有効にする
- 「変更の保存」をクリックします。
設定を変更した場合は、一度PCを再起動してください。PCが再起動したら、接続側のPCから共有フォルダにアクセスできるか確認してください。
対処3: ゲストログオンを有効にする
Windows10の最新のバージョンでは、共有フォルダのゲストログオンがデフォルトで無効に設定されています。
そのため、ゲストログオン時に「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが表示される場合は、ゲストログオンを有効にすることで問題が解決する可能性があります。
ゲストログオンを有効にするには、次のいずれかの方法で設定を行います。
方法1: グループポリシーエディタで設定を修正する
共有側のPCがWindows10 Proの場合は、グループポリシーエディタからゲストログオンを有効に設定できます。グループポリシーエディタから設定する手順は、次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「gpedit.msc」と入力してEnterキーを押して、グループポリシーエディタを起動します。
- 左ペインで次の順番にツリーを展開します。
- ローカルコンピュータポリシー→コンピュータの構成→管理用テンプレート→ネットワーク→Lanman ワークステーション
- 右ペインで「安全でないゲストログオンを有効にする」を探してダブルクリックします。
- 「有効」オプションを選択して「OK」をクリックします。
- 再びグループポリシーエディタに戻って、左ペインで以下のフォルダを順番に展開します。
- ローカルコンピュータポリシー→コンピュータの構成→Windowsの設定→セキュリティの設定→ローカルポリシー→セキュリティオプション
- 右ペインで「Microsoftネットワーククライアント: 常に通信にデジタル署名を行う」を探してダブルクリックします。
- 「無効」オプションを選択して「OK」をクリックします。
方法2: レジストリで設定を修正する
共有側のPCがWindows10 Homeの場合は、次の手順でレジストリエディタから設定を変更します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- 左ペインでツリーを展開して次のレジストリキーに移動します。
コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\LanmanWorkstation\Parameters
- 「Parameters」のキーを右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択します。
- 右ペインで追加した値の名前を「AllowInsecureGuestAuth」に変更します。
- 「AllowInsecureGuestAuth」が既に存在している場合は、値を追加する必要はありません。
- 「AllowInsecureGuestAuth」をダブルクリックして開きます。
- 値のデータを「1」に変更して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してレジストリ設定を反映します。
ゲストログオンの設定を有効にできたら、接続側のPCから共有フォルダに正常にアクセスできるようになったか確認してください。引き続きエラーが発生する場合は、次の対処法に進んでください。
対処4: SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートを有効化する
SMB1.0/CIFSファイル共有のサポートを有効に設定することで、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが解決する可能性があります。
SMB1.0/CIFSファイル共有を有効にするには、接続側のPCで次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインで関連設定の「プログラムと機能」をクリックします。
- 左ペインから「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
- 表示されるリストから「SMB1.0/CIFSファイル共有のサポート」のチェックボックスにチェックを入れます。
- 「OK」をクリックして「今すぐ再起動」をクリックします。
PCが再起動したらSMB1.0/CIFSファイル共有のサポートの機能が有効になります。接続側のPCから共有フォルダに正常にアクセスできるか確認してください。
対処5: ファイアウォールを無効化する
セキュリティソフトのファイアウォール機能が原因で共有フォルダやNASへのアクセスがブロックされて、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生するケースがあります。
そのため、共有側のPCでセキュリティソフトのファイアウォールの機能を停止した状態で、正常に共有フォルダにアクセスできないか試してみてください。
Windows標準のファイアウォールを無効化する手順は、次のとおりです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「control」と入力して「OK」をクリックして、コントロールパネルを起動します。
- 「Windows Defender ファイアウォール」をクリックして開きます。
- 項目が見つからない場合は、表示方法を「アイコン」に変更してください。
- 左ペインから「Windows Defender ファイアウォールの有効化または無効化」をクリックします。
- プライベートネットワーク、パブリックネットワークの双方で「Windows Defender ファイアウォールを無効にする」を選択します。
- 「OK」をクリックして完了です。
ファイアウォールが停止できたら、接続側のPCから共有フォルダにアクセスできるか確認してください。
対処6: ネットワークアダプターを再インストールする
共有側、接続側PCのネットワークアダプターに問題があり、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生するケースがあります。
上記の問題は、ネットワークアダプターを再インストールすることで解決することができます。
そのため、共有側、接続側PCでネットワークアダプターを再インストールを試してみてください。再インストールする手順は次のとおりです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を選択して起動します。
- 「表示」タブをクリックして「非表示デバイスの表示」を選択します。
- 「ネットワークアダプター」ツリーを展開します。
- 「表示されるネットワークアダプタ名」を右クリックして「デバイスのアンインストール」を選択します。
- ネットワークアダプターが複数ある場合は、全てのデバイスをアンインストールしてください。
- 確認画面が表示されたら「アンインストール」をクリックします。
- アンインストールが完了したらPCを再起動します。
PCの再起動が完了すると、必要なネットワークアダプターが自動的に再インストールされます。
再インストールが完了したら共有フォルダにアクセスして、エラーが解決したか確認してください。
対処7: NetBIOS over TCP/IPを有効にする
ネットワークアダプターのNetBIOS設定が無効になっていることが原因で、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生するケースがあります。
そのため、ネットワークアダプターのNetBIOS設定を有効にすることでエラーが解決できる可能性があります。NetBIOS設定を有効にするには、次の手順で設定します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「ncpa.cpl」と入力してEnterキーを押して、「ネットワーク接続」を開きます。
- 「接続に使用しているネットワーク名(イーサネットやWi-Fi)」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- リストから「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択します。
- 右下の「プロパティ」をクリックします。
- 下部にある「詳細設定」をクリックします。
- 「WINS」タブを開きます。
- NetBIOS設定内にある「NetBIOS over TCP/IPを有効にする」にチェックを入れます。
- 「OK」をクリックして設定完了です。
設定を変更できたら一度PCを再起動してください。再起動後、共有フォルダのネットワークパスを入力して接続し、正常にアクセスできることを確認してください。エラーが直らない場合は次の対処に進みます。
対処8: DNSキャッシュをクリアしてローカルIPを再取得する
ネットワークの設定変更などが原因で、PCのDNSキャッシュやIPアドレスに問題が起きているケースが考えられます。
そのため、接続側PCと共有側PCでDNSキャッシュのクリアとローカルIPを再取得することで「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが解決する可能性があります。
DNSキャッシュのクリアとローカルIPの再取得を行うには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を起動します。
- 次のコマンドを一行ごとに入力して順にEnterキーで実行します。
ipconfig /release ipconfig /flushdns ipconfig /renew
- コマンドを実行できたらPCを再起動します。
接続側PCと共有側PCで上記のコマンドを実行できたら、再度共有フォルダにアクセスして、エラーが表示されないことを確認してください。
エラーが解決しない場合は、続けて次の手順でインターネットプロトコル(TCP/IP)のリセットを試してみてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を起動します。
- 次のコマンドを一行ごとに入力して順にEnterキーで実行します。
netsh int ip reset netsh winsock reset
- コマンドを実行できたらPCを再起動します。
対処9: TCP/IPプロトコルを再インストールする
ネットワーク接続に使用するインターネットプロトコル(TCP/IP)が破損していることが原因で、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
そのため、接続側のPCでインターネットプロトコルの再インストールを試してみてください。再インストール手順は、次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「ncpa.cpl」と入力して「OK」をクリックします。
- 「使用しているネットワーク(イーサネットやWi-Fi)」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「Microsoftネットワーク用クライアント」を選択して、「インストール」をクリックします。
- 「プロトコル」を選択して「追加」をクリックします。
- 「Reliable Mlulticast Protocol」を選択して「OK」をクリックします。
- インストールが終了したらウィンドウを閉じて完了です。
以上の手順でTCP/IPプロトコルを再インストールできます。再インストールができたら、エラーが解決したか確認してください。
対処10: Windows資格情報を再設定する
接続側のPCに保存されている共有フォルダの資格情報に問題があることが原因で、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
そのため、Windows資格情報を一旦削除してから再設定することで、エラーが解決する可能性があります。
Windows資格情報を削除して再設定するには、接続側のPCで次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」をクリックして「資格情報」と入力します。
- 検索結果から「資格情報マネージャー」をクリックします。
- 「Windows資格情報」をクリックします。
- Windows資格情報の一覧から「エラーの出る共有フォルダのホスト名、もしくはIPアドレス」をクリックします。
- 資格情報の詳細が表示されたら「削除」をクリックします。
- 「Windows資格情報の追加」をクリックします。
- 共有フォルダもしくはNASの「ネットワークパス、ユーザーアカウント、パスワード」を入力します。
- 共有フォルダの場合は、『対処1: フォルダの共有を有効にする』で設定したアクセス権のあるユーザーアカウントの認証情報を入力してください。
- 共有フォルダ・NASの資格情報が分からない場合は、次のページを参考にしてください。
- 「OK」をクリックして資格情報を保存します。
共有フォルダの資格情報を再設定できたら、共有フォルダに正常にアクセスできるか再度確認してください。
対処11: ローカルセキュリティポリシーの設定を変更する
セキュリティポリシー関連の設定が影響して、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生することがあります。
上記の問題は、セキュリティポリシーの設定を変更することで正常にアクセスできるようになる可能性があります。
そのため、次の手順でセキュリティポリシーの設定変更を試してみてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「secpol.msc」と入力してEnterキーを押して、ローカルセキュリティーポリシーエディタを起動します。
- 左ペインで「ローカルポリシー」のツリーを展開して「セキュリティオプション」を選択します。
- 右ペインのポリシー一覧から「ネットワークセキュリティ: LAN Manager認証レベル」をダブルクリックします。
- プルダウンメニューで「LMとNTLMを送信する(ネゴシエートした場合NTLMv2セッションセキュリティを使う)」を選択します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
セキュリティポリシーの設定を変更できたら、共有フォルダにアクセスできるか確認してください。
対処12: 接続先デバイスのローカルIPを直接指定して接続する
ホスト名の名前解決ができないことが原因で、「ネットワークパスが見つかりません」のエラーが発生するケースが考えられます。
上記の状態でも、共有側PCのローカルIPアドレスを指定することで、正常にアクセスできる可能性があります。
そのため、共有側PCのIPアドレスを調べてから、直接IPアドレスでアクセスできないか確認してください。具体的な手順は、次の通りです。
手順1: 共有側PCのIPアドレスを確認する
共有側PCがWindowsの場合は、次の手順でIPアドレスを調べることができます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell」を選択します。
- 「ipconfig /all」と入力してEnterキーを押します。
- 使用しているネットワークアダプター(イーサネットやWi-Fi)の「IPv4アドレス」の値を控えます。
NASの場合は、マニュアルを参考にして設定画面からIPアドレスを調べてください。
手順2: IPアドレスを指定して接続する
共有PCのIPアドレスが確認できたら、接続側のPCからIPアドレスを指定してアクセスします。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を起動します。
- ネットワークパスのホスト名をIPアドレスに置き換えて入力します。
\\共有側PCのローカルIP\共有フォルダのパス- 例: ネットワークパスが「\\DESKTOP-PC\share」の場合は、「\\192.168.1.4\share」などの形式で入力します。
- 「OK」をクリックして接続します。
接続が成功するとエクスプローラーが開いて共有フォルダにアクセスできます。
この方法で対象の共有フォルダが見つからない場合は、共有側のPCが起動していなかったり、ネットワーク接続に問題があることが考えられます。そのため、共有側のPCの状態に問題がないか確認してください。