セマフォがタイムアウトしました(0x80070079)の原因と対処法 – Windows10

PCから外付けのハードディスクやSSD、USBメモリなどにファイルをコピーしようとすると、「セマフォがタイムアウトしました(0x80070079)」というエラーが出て、ファイルの転送が失敗してしまうことがあります。

また、USBデバイスだけでなくCD/DVD/BDなど光学ドライブの書き込みや、ネットワーク上のNASへのファイル転送時にも同様のエラーが発生することがあります。

本記事では、Windows10で「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが出る原因と対処法について詳しく解説します。

「セマフォがタイムアウトしました」の原因

エラーメッセージのセマフォ(Semaphore)とは、処理の同期を取るための仕組みを指しています。

ファイル転送時に発生する「セマフォがタイムアウトしました(0x80070079)」のエラーは、対象のデバイスとの同期処理が長時間取れない状態となったため、処理全体を停止したことを示しています。

対象のデバイスとの同期処理が失敗する原因としては、主に次のことが考えられます。

  • デバイスの通信状態に問題が起きている
  • ファイアウォールによって通信が遮断された
  • デバイスドライバーに問題が起きている
  • 競合するアプリケーションによって通信が遮断された
  • デバイスのファイルシステムに問題がある
  • デバイスに故障などの物理的な問題が起きている

このエラーが発生した場合は、まずは転送先のデバイスとの通信に問題が起きていないか確認することをおすすめします。

可能であれば他のパソコンにデバイスを接続し、同じエラーが出るかどうかを試すと問題を特定しやすくなります。

上記の原因ごとの対処方法を紹介していくので、順に解決できないか試していってください。

対処1: デバイスの接続状態を確認する

ファイルを転送しようとしているデバイスとの接続状況に問題があり、「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが出るケースが考えられます。

USB接続でデバイスを接続している場合は、接続に使用するケーブルを交換や、別のUSBポートに接続してエラーが解決しないか確認してください。また、USBハブを使用している場合は、パソコン本体のUSBポートに直接接続してみてください。

ネットワーク接続でファイルの転送時にエラーが出ている場合は、ネットワークの通信状況が安定しているか確認してください。特にWi-Fi接続の場合は、電波が弱く接続が安定していないケースが考えられます。

デバイスの接続状態に問題がない場合は、次の対処方法に進んでください。

対処2: ファイアウォールを停止する

Windows標準のセキュリティやサードパーティ製のセキュリティソフトのファイアウォールが原因で、デバイスとの通信が遮断されてしまうことがあります。

そのため、一時的にファイアウォールの機能を停止させてから、ファイルのコピーができるようにならないか試してみてください。

Windowsの標準のセキュリティソフトであるWindows Defenderを使用している場合は、以下の手順でファイアウォールを停止させてください。

  1. タスクバーにある「スタート」ボタンをクリックし、「設定」を開きます。
  2. 「更新とセキュリティ」をクリックします。
  3. 画面左側のリストにある「Windowsセキュリティ」をクリックします。
  4. 「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックします。
  5. 「ドメインネットワーク」をクリックします。
  6. 「Microsoft Defenderファイアウォール」の下にあるスイッチを「オフ」に切り替えます。この時、ユーザーアカウント制御画面が表示されたら「はい」を選択してください。
  7. 左上の矢印ボタンをクリックして前の画面に戻ります。
  8. 「プライベートネットワーク」と「パブリックネットワーク」に対しても同様の操作を行い、「Microsoft Defenderファイアウォール」のスイッチをそれぞれ「オフ」に切り替えてください。

ファイアウォールの機能を無効にできたら、デバイスにファイルがコピーできるようになったか試します。操作が完了したら、Windows Defenderの設定を元に戻してください。

サードパーティ製のセキュリティソフトを使用している場合は、製品ごとに操作が異なります。マニュアル等を参照しながらセキュリティソフトの動作を停止させてください。

対処3: ドライバーをアップデートする

デバイスドライバーのバージョンが古く不具合があることが原因で、ファイルの転送時に「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが発生することが考えられます。

上記の問題は、デバイスドライバーをアップデートすることで解決する可能性があります。そのため、次の手順で、ドライバーのアップデートを試してください。

  1. パソコンにデバイスを接続していることを確認します。
  2. 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を選択します。
  3. デバイスマネージャーウィンドウが表示されます。ツリーを展開して、「対象のデバイスドライバー」を探します。
    • 外付けHDDやUSBメモリなどのUSBデバイスの場合: 「ユニバーサルシリアルバスコントローラー」のツリー内
    • DVD/CD/BDなどの光学ドライブの場合: 「DVD/CD-ROMドライブ」のツリー内
    • NASなどのネットワークデバイスの場合: 「ネットワークアダプター」のツリー内
  4. 「デバイスドライバー名」を右クリックして、「ドライバーの更新」を選択します。
    • ドライバーが複数あって分からない場合は、ツリー内の全てドライバーを更新します。
  5. 「ドライバーを自動的に検索」をクリックします。
  6. 新しいドライバーが見つかった場合は、自動でインストールが実行されます。
    • 既に最適なドライバーがインストールされていた場合は、「WindowsUpdateで更新されたドライバーを検索する」をクリックしてWindowsを最新の状態にしてください。

デバイスドライバーがアップデートできたら、もう一度ファイルのコピーを試して、エラーが解決したか確認してください。エラーが解決しない場合は、次の対処方法に進んでください。

対処4: クリーンブートの状態で確認する

インストールしているアプリケーションの機能が競合して、ファイル転送時に「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが発生することがあります。

そのため、サードパーティのアプリケーションの機能を全て停止した状態で、ファイルが正常に転送できないか試してみてください。

サードパーティのアプリケーションの機能を停止するには、PCをクリーンブートします。クリーンブートの詳しい手順については、次のページを参考にしてください。

クリーンブートの状態でエラーが解決した場合は、インストールしているアプリケーションに問題があることと判断できます。

ファイル操作に関連するアプリケーションがある場合は、機能を無効化するかアンインストールを検討してください。

対処5: デバイスをNTFSでフォーマットする

外付けHDDやUSBメモリのファイルシステムがFAT32などの場合は、制限を超えた大容量のファイルを転送しようとすると「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが発生します。

そのため、USBデバイスのファイルシステムの形式を確認して、問題がある場合はNTFS形式でフォーマット(初期化)を行なってください。

注意: デバイス内にデータが残っていてもフォーマットをすることはできますが、データはすべて削除されてしまうのでご注意ください。

USBデバイスをNTFS形式でフォーマットするには、次の手順で操作します。

  1. パソコンにデバイスを接続していることを確認します。
  2. 「Windowsマーク」を右クリックして「エクスプローラー」を選択します。
  3. エクスプローラーが開いたら、左ペインで「PC」をクリックします。
  4. 右ペインに表示される「デバイスとドライブ」の中から、「USBデバイス」を右クリックして「プロパティ」を選択します。
  5. 「全般」タブの「ファイルシステム」が「NTFS」以外が表示されているか確認します。
    • NTFSが表示されている場合は、ファイルシステムに問題はないため、他の対処方法を試してください。
  6. 「NTFS」以外が表示されていた場合は、右上の「×」でプロパティを閉じてから、「USBデバイス」を右クリックして「フォーマット」を選択します。
  7. フォーマットの設定画面が表示されます。「ファイルシステム」を「NFTS」に変更してから「開始」をクリックしてフォーマットを実行します。
  8. 「フォーマットが完了しました」と表示されたら、すべてのウィンドウを閉じます。

以上の手順でUSBデバイスをNTFSでフォーマットすることができます。再度ファイルの転送を行なってエラーが解決したか確認してください。

対処6: デバイスのファイルシステムを修復する

USBメモリや外付けHDDなどの外部のUSBデバイスの場合は、ファイルシステムが破損していることが原因で、「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが発生していることが考えられます。

上記の問題は、外付けデバイスのファイルシステムの修復を行うことでエラーが解決する可能性があります。

デバイスのファイルシステムの修復を実行するには、次の手順で操作します。

  1. パソコンにデバイスを接続していることを確認します。
  2. 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
  3. 次のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
    chkdsk /f x:
    • xは、対象デバイスのドライブレターを入力してください。ドライブレターは、エクスプローラーの「PC」→「デバイスとドライブ」の一覧で確認できます。
  4. コマンドの実行が完了したら、ウィンドウを閉じます。

以上で外付けデバイスのファイルシステムの修復は完了です。再度ファイルの転送を行なってエラーが解決したか確認します。

対処7: システムを修復する

Windowsのシステムファイルやドライバーが破損していることが原因で、「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが発生するケースが少なからず考えられます。

そのため、ここまでの対処方法で解決しない場合は、システムファイルチェッカーツールを実行して、システムファイルの修復を試してみてください。

システムファイルを修復するには、次の手順で操作します。

  1. 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択して起動します。
  2. 以下のコマンドを実行してEnterキーで実行します。
    sfc /scannow
  3. プロセスが完了したら、続いて以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
    DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
  4. プロセスが完了したら、Windows PowerShellを閉じて完了です。

解決しない場合

全ての対処方法を試しても「セマフォがタイムアウトしました」のエラーが解決しない場合は、デバイス自体に問題があることが考えられます。

そのため、別のパソコンに接続しても同様のエラーが出ないか確認してみてください。同様にセマフォのタイムアウトエラーが出る場合は、デバイスが故障していることが考えられます。

デバイス自体が古い場合は、新しいデバイスに交換することを検討してください。新品の場合は初期不良が原因のケースもあるため、メーカーのサポートが受けられないかメーカーに相談してみてください。

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