北海道新幹線以外の新幹線では、JR各社によって新幹線内でフリースポットのWi-Fiが使えます。JRが提供しているフリーWi-Fiは、無料で使用することができます。
しかし、ウェブサイトの閲覧や動画の視聴、アプリやデータのダウンロード時、ゲームのプレイ時などに通信速度が遅いと感じられることがあります。
この記事では、新幹線のフリーWi-Fiが遅い原因と対処方法について解説します。
この記事の内容
新幹線のフリーWi-Fiが遅くなる原因
日本の新幹線のフリーWi-Fiの通信速度は、2~10Mbps程度であり、一般的な固定回線のWi-Fiに比べ速度が遅いです。
ブラウザでウェブサイトを開く程度では気になる速度ではありませんが、動画やビデオ会議を行う際に通信速度が遅く感じる場合があります。
新幹線のWi-Fiの速度が遅い要因としては、以下のようなことが考えられます。
- 利用者数の増加:
新幹線の中で多くの人が同時にWi-Fiを利用すると、帯域幅が分散され、結果として各ユーザーの速度が低下します。新幹線は多いときで1000人を超える人が乗るため、Wi-Fiの利用者数が増えると速度が低下する要因になります。 - 移動による影響: 新幹線は非常に高速で移動するため、Wi-Fiの通信が不安定で速度が遅くなることがあります。
- 通信速度の制限:
新幹線のWi-Fiの通信量には限りがあるため、より多くの人がWi-Fiを使用するために、OSのアップデートやアプリのダウンロードなどの通信速度が128kbpsに制限されています。 - トンネルや山間部の通過: 新幹線のフリーWi-Fiが従来のLCX回線ではなくモバイル回線が使用されている場合、電波状況が悪くなり通信速度が低下します。
上記の理由から、新幹線のフリーWi-Fiの通信速度は一般家庭や学校、会社などに提供されているWi-Fiに比べ速度が遅くなります。しかし、新幹線の移動中にインターネットに無料でアクセスできる利便性を提供する点では、依然として価値があります。
新幹線のフリーWi-Fiが遅い時の対処法
新幹線のフリーWi-Fiは通信速度は、固定回線のWi-Fiよりも遅く利用者側で回線速度を速くする方法はありません。
ただし、Wi-Fiへの再接続や別の通信回線に使用で、通信速度が改善する場合があります。新幹線のフリーWi-Fiは通信速度が遅く感じられる場合は、以下の対処方法を参考にしてください。
対処1: Wi-Fiに再接続する
新幹線のWi-FiのフリーWi-Fiによっては、接続時間が一定時間経過すると自動的にインターネット接続が切断される仕組みになっています。
- Shinkansen_Free_Wi-Fiの接続時間: 1回の接続で30分が上限
- JR-EAST_FREE_Wi-Fiの接続時間: 1回の接続で180分が上限
そのため、Wi-Fiの通信が急に止まってしまった場合は、Wi-Fiに再接続することで問題が解決する可能性があります。
Wi-Fiの再接続の回数には上限はないため、通信が止まってしまっている場合は、Wi-Fiにもう一度接続し直してみてください。
対処2: テザリング機能を使用する
使用しているスマートフォンの契約内容によっては、携帯のモバイル回線(5G/4G/LTE)をWi-Fi経由でパソコンやゲーム機と接続できるテザリング機能が使用できます。
そのため、新幹線のフリーWi-Fiの速度が遅い際は、手持ちのスマートフォンのテザリング機能の使用を検討してください。テザリング機能を使用するには、以下の手順で操作します。
- iPhoneの場合:
- 「設定」アプリを開きます。
- 「インターネット共有」をタップします。
- 「ほかの人の接続を許可」のスイッチを「オン」に切り替えます。
- ポップアップが表示された場合は、「Wi-FiとBluetoothをオンにする」をタップします。
- 「"Wi-Fi"のパスワード」を確認します。
- 項目をタップしてパスワードを変更することもできます。
- パソコンまたはゲーム機などでiPhoneのWi-Fiにパスワードを入力して接続します。
- Androidの場合:
- 「設定」を開きます。
- 「ネットワークとインターネット」をタップします。
- 機種によっては、項目名が「接続と共有」や「無線とネットワーク」の場合があります。
- 「テザリング(またはパーソナルホットスポット)」をタップします。
- 「Wi-Fiテザリング(またはWi-Fiアクセスポイント)」をタップします。
- 「Wi-Fiテザリング(またはWi-Fiアクセスポイント)」のスイッチを「オン」に切り替えます。
- 「Wi-Fiテザリング設定(またはWi-Fiアクセスポイント設定)」をタップして、Wi-Fiのパスワードを確認します。
- この画面でWi-Fiのパスワードを変更することもできます。
- パソコンまたはゲーム機などでiPhoneのWi-Fiにパスワードを入力して接続します。
以上の手順で、パソコンやゲーム機などをテザリング機能を使ってモバイル回線に接続することができます。
テザリングは、モバイル回線を使用するため比較的通信速度が速く安定していますが、トンネルや山間部の通過には速度が落ちます。また、モバイル回線のデータ容量を消費するため、契約によってはデータ容量の上限に達してしまったり、通信費が高くなることがある点に注意してください。
対処3: 携帯キャリアのFree Wi-Fiに接続する
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線ではDocomo Wi-Fi、au Wi-Fiが使えます。東海道新幹線N700系ではソフトバンクWi-Fiスポットが使えます。
新幹線フリーWi-Fiが遅く、かつ、対象の新幹線に乗車する場合には、携帯キャリアが提供するフリーWi-Fiに切り替えることによって速度が改善する可能性があります。
携帯キャリア各社によって接続方法が異なるので、乗車前にあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
対処4: モバイルWi-Fiルーターを使用する
新幹線のフリーWi-Fiの通信速度の遅さが気になる場合は、WiMAXなどのモバイルWi-Fiルーター(ポケットWi-Fi)を使用することも検討してください。
モバイルWi-Fiルーターの回線であれば、プランや場所にもよりますが新幹線のフリーWi-Fiに比べ高速な通信ができるケースが多いです。モバイルWi-Fiルーターは利用者だけが使えるため、電波状況で速度が低下することがあっても新幹線の混み具合で通信速度が低下することはありません。
ただし、モバイルWi-Fiルーターはモバイル回線を使用しているため、トンネルなどでは一時的に通信が遅くなったり途切れることがある点については注意してください。
モバイルWi-Fiルーターは、月単位で契約することができますが、数日などの短い期間でレンタルすることもできます。モバイルWi-Fiルーターのプランやレンタル方法はサービスによって異なるため、詳しくは公式ホームページ等を参考にしてください。
対処5: 使用するアプリやサービスを変更する
新幹線のフリーWi-Fiは、OSのアップデートやアプリのダウンロードなどのデータ量が増える通信の速度が予め制限されています。
これらの制限はユーザー側で解除できないため、新幹線内ではデータ量が大きいアプリやサービスの通信はできるだけ避けましょう。テキストベースのアプリやサービスであれば、通信速度の遅い状況でも比較的快適に利用できます。
また、データ量が大きい通信は予め固定回線のWi-Fiで行っておくことで、新幹線内で通信速度が遅いと感じる状況を避けることができます。
対処6: 朝や夜などの混雑する時間帯を避ける
新幹線が混雑している場合は多くの人と回線を共有するため、フリーWi-Fiの通信速度が必然的に遅くなります。
予め新幹線内が混雑することが考えられる場合は、混雑していない時間帯の新幹線を選ぶことで、フリーWi-Fiの通信速度が低下しづらくなります。
下りの新幹線は朝が、上りの新幹線は夜が比較的混雑しやすいです。また、ゴールデンウィークなどの長期休暇は基本的に混雑するため通信速度が遅くなります。
対処7: 通信速度が速いWi-Fiサービスを利用する
新幹線のぞみのN700Sの7・8号車(S Work車両)では、通信速度を改善したフリーWi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」が利用できます。
S Wi-Fi for Bizは、従来のWi-Fiに比べ約2倍の通信容量が確保されているため、通信速度が改善しています。S Wi-Fi for Bizは、S Work車両の座席であれば無料で使用できるため、できるだけ速いWi-Fiを使用したい場合は、S Work車両の座席がないか確認してください。
ただし、S Wi-Fi for Bizの通信速度は10Mbps程度であり、動画の視聴やビデオ会議などを問題なく行えます。ただし、混雑時には速度が低下する点と固定回線のWi-Fiほどの通信速度は出ない点に注意してください。
新幹線のフリーWi-Fiを使う場合の注意点
新幹線のフリーWi-Fiではパスワードが共有されており、誰でも簡単に接続することができます。そのため、Wi-Fi経由で行った通信内容が盗聴される恐れが少なからずある点に注意してください。
このようなリスクを避けるためにも、新幹線内ではパスワードを使用するログインや、クレジットカード情報などの重要情報を入力は行わないことをおすすめします。
スマートフォンのテザリングやモバイルWi-Fiルーターを使用する場合は、盗聴のリスクはほとんどなくなるため安心して通信を行うことができます。
また、新幹線のフリーWi-Fiで個人情報などをどうしても入力する必要がある場合は、NordVPNなどのVPNサービスを使用することをおすすめします。VPNサービスを使用することで、通信が暗号化されるため盗聴されるリスクを回避できます。