数年前のWindowsのノートPCを使い続けていると気になってくるのが、ディスクの読み書きスピード。
しかし、最近ではSSDも大分安価になってきているため、ハードディスクをSSDに交換するだけで、かなり動作が快適になります。
今回は、HDD搭載のWindows10ノートパソコンをクローンを使ってSSDに換装する方法についてご紹介します。
この記事の内容
SSDに換装するための事前準備
ノートパソコンのハードディスクをSSDに換装するには、以下の機器が最低限必要になります。
- SSD本体
- USB変換ケーブル(もしくはハードディスクケース)
換装するSSDと接続に使う変換ケーブルは、ノートパソコンに対応したものを選ぶ必要があります。それぞれの選ぶポイントについて紹介します。
SSD本体
ノートパソコンに換装するSSDを選ぶ際は、以下の項目に注意して下さい。
大きさ
ノートパソコンに搭載されているHDDと同じ大きさのSSDを選びましょう。
インチ数
一般的なノートパソコンは2.5インチのHDDが搭載されていることがほとんどです。ただし最近のモバイルノートでは、2.5インチ以下のハードディスクを搭載している場合もあるのでご注意ください。
厚さ
ハードディスクの厚さには、7mm、9.5mm、15mmのタイプがあります。そのため、ノートパソコンのメーカーサイトや説明書を参考にして対応する厚さのSSDを選びましょう。
もしサイズが分からない場合は、小さい厚さであればケースに収まるので7mmのSSDを選択して、スペーサーなどで固定しましょう。
コネクタの種類
ノートパソコンのハードディスクを接続する規格は、SATA、IDE、mSATA、M.2などがあります。
古いノートの場合は、SATAかIDEの接続規格を使っています。コネクタが合わないと接続できないので必ず一致するSSDを選びましょう。
容量
SSDの容量がパソコンのHDDの使用量より少ないと、クローンコピーに失敗してしまいます。SSDの容量は、ノートパソコンで使用しているデータ量以上のものを選びましょう。
ただしSSDは容量が大きいほど価格も高くなるので、クローンコピー前にノートパソコンのデータを整理して容量を軽くしておくと良いでしょう。
SSDのサイズは最低でも120GB以上を選ぶことをおすすめします。パソコンの用途によって必要な容量は変わってきますので、ご自身の環境に合わせて選択しましょう。
読込/書込速度
SSDには読込速度と書込速度があり、データの読み書きスピードに影響します。
HDDよりも体感速度を上げたい場合は、最低でも500MB/s以上の速度のSSDを選ぶことをおすすめします。
記憶方式
SSDには、SLC、MLC、TLC、QLCの4つの記憶方式があります。SSDの記憶方式は、データの耐久度に関係しています。
- データの耐久度が高い順: SLC、MLC、TLC、QLC
データの耐久度が高いほど、価格も高くなります。個人利用のPCであれば、TLC以上を選ぶことをおすすめします。
USB変換ケーブル
古いパソコンのデータをクローンコピーするために、SSDをUSBでパソコンに接続できる変換ケーブル、もしくはハードディスクケースが必要です。
変換ケーブルは、SSDのコネクタの種類(SATA、IDE)と一致するものを選びましょう。
また、変換ケーブルやハードディスクケースは、USBだけで動作するものとアダプタで電源供給しないものがあるのでご注意下さい。
SSDにクローンコピーする
換装のための準備が整ったら、古いパソコンのデータをWindowsをまるごとSSDにクローンコピーします。
クローンコピーを行う場合は、バッテリー可動ではなく必ずノートパソコンの電源を繋いで行って下さい。
コローンコピーをできるソフトはたくさんありますが、今回はフリーソフトで使いやすい「EaseUS Todo Backup Free」を使います。
1.「Todo Backup」をインストールする
「Todo Backup」をインストールするには次の手順で操作して下さい。
- 『EaseUS公式ページ』にアクセスして「無料ダウンロード」をクリックします。
- メールアドレスの入力フォームが表示されるので[メールアドレス]を入力して「Todo Backup Free」をクリックするとダウンロードが開始します。
- ダウンロードした「tb_free.exe」をクリックして実行します。ユーザーアカウント制御のダイアログが出たら「はい」をクリックします。
- インストーラーが起動するので案内に従ってインストールを進めます。
メールアドレスの入力に抵抗がある場合は、『窓の杜』からダウンロードすることもできます。
また、インストールの途中で製品版の案内が出ますが、無料版で問題なくクローンコピーできます。
2.SSDをUSBで接続する
「Todo Backup」のインストールが完了したら、続いてSSDをパソコンにUSBで接続します。
USBで接続するには、事前に準備しておいた変換ケーブル、もしくはハードディスクケースを使います。
先にSSDと変換ケーブルを接続してから、パソコンとUSB接続して下さい。変換ケーブルに電源供給が必要であれば、電源に接続します。
3.クローンコピーを実行する
SSDがパソコンと接続できたら「Todo Backup」を使ってクローンコピーを実行します。手順は次のとおりです。
- 「Todo Backup」を起動します。ライセンスの入力画面が表示された場合は、「後で」をクリックします。
- 左メニューから「クローン」アイコンをクリックします。
- ソースの選択画面が表示されるので、まず[SSDのハードディスク]の横に「MBR」の文字が表示されているか確認しましょう。
- もし「MBR」と表示されていない場合は、先に『SSDをMBRフォーマット』して下さい。
- 「C:」を含むハードディスク(*Windowsをインストールしている)をチェックして「次へ」をクリックします。
- ターゲットの選択画面が表示されます。まず「高度なオプション」をクリックして「SSDに最適化」にチェックを入れて「OK」をクリックします。
- 続いて[接続したSSDのハードディスク]にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- 最後に容量の確認画面が表示されるので「実行」をクリックするとクローンコピーが開始します。
クローンコピーが完了したら最後に「完了」をクリックします。
ちなみに私の場合、50GB前後のデータ量で約1時間掛かりました。ノートパソコンの性能にもよりますが、クローンは時間に余裕のある時に行いましょう。
あまりにもデータ量が多い場合は、「操作完了時にPCをシャットダウン」にチェックを入れるとクローン完了後にWindowsを自動シャットダウンできます。
ハードディスクをSSDに換装する
SSDにクローンコピーできたら、最後にノートパソコンのハードディスクをSSDに換装します。
SSDの交換手順については、ノートパソコンの機種によってネジの位置やコネクタの種類が異なりますが、大きな差はありません。
今回は、手持ちのノートパソコン「Acer Aspire 1410」を例に交換手順を紹介します。
1.電源を完全に切る
Windowsが起動している場合はシャットダウンをして、ノートパソコンの電源を切ります。
電源が切れたことを確認したら、ノートパソコンの電源ケーブルとバッテリーも取り外します。バッテリーのロックがある場合は解除してから取り外して下さい。
2.背面のネジを外す
ノートパソコンの背面のネジをドライバーで取って開きます。古いノートパソコンはネジが劣化しているケースが多いので、あまり力を込めすぎないよう注意しましょう。
3.HDDを取り出す
HDDが固定されていたり、ケースに入っている場合は、ネジを取り外します。
HDDを繋ぐフィルムケーブルが外せる場合は、ケーブルを外してからHDDを取り出します。フィルムケーブルは切れやすいので、慎重に作業を行いましょう。
4.SSDを装着する
HDDと繋がっていたフィルムケーブルのコネクタをSSDに取り付け、ノートパソコンに装着します。
また、HDDが固定されていた場合は、同じネジを使ってSSDを固定します。
SSDの装着が終わったら、パソコン背面のネジも元に戻して作業完了です。
SSDの起動テストをする
SSDを換装できたら、バッテリーと電源ケーブルを接続してノートパソコンを起動してみましょう。
無事Windowsの起動画面が表示されたら、SSDの換装は成功です。
『Crystal disk mark』を使って計測すると、HDDに比べ全てのパフォーマンスが大幅に上がったことが確認できます。
SSDに換装できたら、Windowsの「SysMainサービス」を停止することで、パフォーマンスが向上する可能性があります。
SysMainサービスの停止方法については、『Windows10でSysMainサービスの無効/有効方法』を参考にして下さい。
換装後にWindows10が起動しない場合は?
パソコンの電源を入れても、以下のようなメッセージが表示されWindowsが起動しないケースがあります。
Check cable connection! No bootable device -- insert boot disk and press any key
Windowsが起動できない場合は次の項目を確認して下さい。
対処1: SSDの接触不良を確認する
起動してもハードディスクが見つからないエラーが出る場合、SSDのフィルムケーブルのコネクタがしっかり接続できているか確認しましょう。
接触が甘いと認識できないケースがあるため、コネクタ部分をしっかり押し込うように接続して下さい。
対処2: BIOSでブート設定を見直す
BIOSのBOOT設定でSSDの優先度が低いと、Windowsがうまく起動しないケースがあります。BIOS画面を開いてBOOT設定を確認してみましょう。
BIOSの設定画面は、パソコン起動時に「F2」キーか「DEL」キーを連打すると起動できます。
BIOSの設定画面が開けたら「BOOT」の項目を選択して、[換装したSSD名]の優先度が一番高くなるよう設定変更をして下さい。
*ノートパソコンの機種によってBIOSの起動キーや設定画面が異なるため、詳しい手順はメーカーのウェブサイトやマニュアルを参考にして下さい。
対処3: SSDをMBRフォーマットしてみる
SSDのフォーマットには、MBRとGPTという2種類の形式が存在します。このフォーマット形式がGPTだとWindowsが起動しないケースがあります。
そのため、一旦ハードディスクを元のHDDに戻し、SSDをMBRフォーマットした上で再度クローンすることで起動できる可能性があります。
SSDをMBRフォーマットするには次の手順で操作します。
SSDをMBRフォーマットする手順
SSDをUSB変換ケーブルでパソコンに接続してから、以下の手順でフォーマットします。
- 「スタート」を右クリック→「ディスクの管理」を開きます。
- 「ディスク1」移行にあるSSDのディスク領域を右クリック→「ディスクの初期化」を選択します。
- パーテーションスタイルを「MBR(マスターブートレコード)」を選択して「OK」をクリックします。
- SSDのディスク領域に「未割り当て」と表示されるので右クリック→「新しいシンプルボリューム」を選択します。
- シンプルボリュームウィザードの画面が表示されるので「次へ」をクリックします。
- 「シンプルボリュームサイズ」の項目を「最大ディスク領域」と同じ値にして「次へ」をクリックします。
- 「次のドライブ文字を割り当てる」を選択した状態で「次へ」をクリックします。
- 「このボリュームを次の設定でフォーマットする」を選択、「クイックフォーマット」にチェックが入っている状態で「次へ」をクリックします。
- MBRフォーマットが開始するので、最後に「完了」をクリックして終了します。
- フォーマットができない場合は、『Windows10 – HDDやSSDを初期化/フォーマットできない時の対処法』を参考にして下さい。
SSDをMBRフォーマットできたら、『SSDにクローンコピーする』の手順に従って再度SSDにクローンして下さい。クローンしたSSDで無事Windowsが起動できれば完了です。
SSDに交換してみた感想
私の場合、Windowsの起動スピードやファイルの移動、アプリのインストールが体感で半分以下になりました。
しかも、現在であればSSDも安くかなりの低予算で交換できます。(*今回の交換に掛かった費用は3,500円前後)
今回紹介したクローンコピーを使った方法は比較的簡単にSSDを換装できるので、古いHDDのノートパソコンを少しでも長く使いたい方は参考にしてみて下さい。