PCで発生するブルースクリーンのエラーは、主にPCのハードウェアやデバイスドライバー、システムファイルが原因で発生します。
そのため、問題のハードウェアやデバイスドライバーが特定できると的確な対処を行うことができます。
ブルースクリーンの多くの場合は、エラー画面の内容やメモリダンプファイルを解析することで、原因を調べることができます。
今回は、Windows10のPCでブルースクリーンが発生する原因を特定する調べ方について紹介します。
この記事の内容
方法1: ブルースクリーンの画面で原因を調べる
ブルースクリーンが発生すると、ブルースクリーンの画面に「停止コード」と「失敗した内容(.sys)」に原因のヒントが表示されています。
この「停止コード」と「失敗した内容」から原因が判断できる可能性があります。特に「失敗した内容」の.sysのファイル名を調べることで、問題の起きたデバイスドライバーが判明できる場合があります。
しかし、Windows10のデフォルトの設定では、ブルースクリーンが発生するとPCが自動的に再起動してしまいます。
そのため、まずはシステムエラーが発生した際にPCが自動的に再起動しないよう設定しておくことをおすすめします。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「システム」を選択します。
- 右ペインで「関連設定」の項目にある「システム情報」をクリックします。
- 「コンピューターの基本的な情報の表示」画面が表示されます。左ペインの「システムの詳細設定」をクリックします。
- 「起動と回復」の項目の「設定」ボタンをクリックします。
- 起動と回復画面が表示されたら、「システムエラー」項目内の「自動的に再起動する(R)」のチェックを外します。
- メモリダンプの種類(自動メモリダンプ等)を確認しておきます。
- 「OK」をクリックします。
- PCを再起動します。
以上の設定で、ブルースクリーンが発生してもエラーの画面で止まった状態になります。
ブルースクリーンが発生したら、「停止コード」と「失敗した内容」から原因が判断できないかネットなどで調べてみてください。
方法2: デバッグツールでダンプファイルを解析する
ブルースクリーンのエラーの画面だけでは原因としての情報が少なく、エラーが特定しにくい場合があります。
より詳しいブルースクリーンの原因を調べるには、ブルースクリーン時に自動で生成されるダンプファイルを確認します。ダンプファイルを確認することで、原因の.sys(デバイスドライバー)を特定することができます。
Windows10でダンプファイルを確認する方法は、次の通りです。
手順1: ダンプファイルの場所を確認する
ブルースクリーン発生時に生成されるダンプファイルは、デフォルトの設定であれば次の場所に保存されます。*メモリダンプの種類によって保存場所が異なります。
- 自動メモリダンプ、完全メモリダンプの場合: C:\Windows\memory.dmp
- 最小メモリダンプの場合: C:\Windows\Minidump\
そのため、エクスプローラで、上記のフォルダを開いてダンプファイル(.dmpファイル)が作成されていることを確認します。
ダンプファイルが複数あってどれがブルースクリーンのダンプファイルか分からない場合は、次の手順でイベントビューアーから確認してください。
- 「スタート」ボタンをクリックし、アプリ一覧から「Windows管理ツール」フォルダ→「イベントビューアー」を起動します。
- イベントビューアーが起動します。ウィンドウ左のツリーにて、「Windowsログ」→「システム」を選択します。
- 右ペインで「現在のログをフィルター」をクリックします。
- 「イベントソース」で「BugCheck」を選択して「OK」をクリックします。
- ログの一覧から、日付と時刻等の情報を参考に、ブルースクリーンのエラーと思われるログをクリックします。
- 中央下部の「全般」タブに記載されている「ダンプの保存先」を確認します。
以上の手順で、ブルースクリーンのダンプファイルを見つけることができます。
手順2: Windows10 SDKをインストールする
ダンプファイルの場所が確認できたら、ダンプファイルの内容を表示するデバッグツールをインストールします。
次の手順で、Microsoftから提供されているWindows10 SDKをインストールしてください。
- 『Windows10 SDK - Microsoft』のページへアクセスして、「インストーラをダウンロードする」をクリックしてください。
- インストーラーを起動します。ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- デフォルトの設定のまま「Select the features you want to download」の画面までインストールを進めてください。
- 「Select the features you want to download」の画面が表示されたら、「Debugging Tools for Windows」だけにチェックを入れて「Install」をクリックします。
- インストールを完了します。
以上で、Windows10 SDKのインストールは完了です。
手順3: ダンプファイルを解析する
Windows10 SDKがインストールできたら、次の手順でダンプファイルを解析します。
- 「スタート」メニューの中から「WinDbg(x86)」または「WinDbg(X64)」のどちらかを探してクリックしてください。WinDbgアプリケーションが起動します。
- シンボルパスを設定します。WinDbgの上部メニューより「File」→「Symbol file path...」を選択します。
- 「Symbol Search Path」というウィンドウが表示されるので、白い空欄部分に次の内容を入力して、「OK」をクリックします。
SRV*c:\symbols*http://msdl.microsoft.com/download/symbols
- 上の内容をコピー&貼り付けでもOKです。
- WinDbg上部メニューより「File」→「Open Crash Dump」を選択し、「C:\Windows\memory.dmp」、もしくは「C:\Windows\Minidump\」内にあるダンプファイル(.dmpファイル)を開きます。
- ダンプファイルに記録されたエラー情報が表示されます。
- 「Probably caused by」には、ブルースクリーンの原因と思われる「ドライバー.(sys)」が記載されています。
- 「!analyze -v」の文字をクリックするとさらに詳細な解析を行うことができます。
方法3: ドライバーの検証ツールを設定して解析する
ダンプファイルを解析しても「Probably caused by」の文字列がなく、原因のドライバーが分からないケースがあります。
原因を特定できない場合は、Windows10に標準でインストールされている「ドライバーの検証ツール(Driver Verifier)」の設定を試してみてください。
ドライバーの検証ツールを設定することで、より詳細なバグチェックを行うことができるため、原因のドライバーを特定できる可能性があります。
ドライバーの検証ツールを設定して、ダンプファイルを解析するには次の手順で操作します。
手順1: ドライバーの検証ツールを設定する
まず次の手順でドライバーの検証ツールを設定します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択して起動します。
- 「verifier」と入力して「OK」をクリックして、「ドライバの検証ツールマネージャー」を起動します。
- 「標準の設定を作成する」オプションを選択した状態で「次へ」をクリックします。
- 「一覧からドライバーを選択する」を選択して「次へ」をクリックします。
- 一覧の「プロバイダー」のラベルをクリックしてソートします。
- 「プロバイダー」が「Microsoft Corporation」以外のドライバーを全て選択して「完了」をクリックします。
- PCを再起動すると設定が反映されます。
手順2: ブルースクリーンを発生させる
ドライバーの検証ツールが設定できたら、ブルースクリーンを発生させる必要があります。
ブルースクリーンが発生する直前の操作が分かる場合は、同じ操作を行なってブルースクリーンを発生させてください。
ブルースクリーンの発生条件が分からない場合は、ブルースクリーンが発生するまでそのままPCを使用してください。
手順3: ダンプファイルを再度解析する
ブルースクリーンが発生したら、PC再起動後に記録されたダンプファイルを解析します。
- エラー情報が記録されているダンプファイルを開きます。
- ダンプファイルを開く手順は、『方法2: デバッグツールでダンプファイルを解析する』と同じです。
- エラー内容の「!analyze -v」の文字をクリックして、エラーの詳細情報を表示します。
- ブルースクリーンの停止コードが変わる場合があるため、停止コードの内容も確認してください。
- エラーの詳細情報で「MODULE_NAME」、「FAULTING_MODULE」、「STACK_TEXT」の項目を探し、原因のドライバーを確認します。
以上の手順で、通常の解析では表示されなかった原因のドライバー名を確認することができます。
手順4: 検証ツールの設定を削除する
ドライバー名を確認できたら、次の手順でドライバーの検証ツールの設定を削除してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択して起動します。
- 「verifier」と入力して「OK」をクリックして、「ドライバの検証ツールマネージャー」を起動します。
- 「既存の設定を削除する」オプションを選択して「完了」をクリックします。
以上で、ドライバーの検証ツールの設定を削除できます。設定を削除できない場合は、PCをセーフモードで起動してから、削除を試してください。
方法4: BlueScreenViewを使って調べる
ダンプファイルの内容は、NirSoftのBlueScreenViewというフリーソフトを使って確認することもできます。
BlueScreenViewは、実行ファイルとして動作するため、インストールせずに簡単にダンオプファイルを確認できます。
BlueScreenViewを使って、ダンプファイルからブルースクリーンのエラーの原因を調べるには、次の手順で操作します。
手順1: メモリダンプの種類を変更する
Windows10ではダンプファイルの保存設定が「自動メモリダンプ」で設定されているため、BlueScreenViewを使うにはメモリダンプの保存設定を変更する必要があります。
そのため、まず次の手順でメモリダンプの保存設定を「最小メモリダンプ」に変更してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「sysdm.cpl」と入力して「OK」をクリックします。
- 「詳細設定」タブをクリックします。
- 「起動と回復」の項目の「設定」ボタンをクリックします。
- デバッグ情報の書き込みのセレクトボックスで、「最小メモリダンプ」を選択して「OK」をクリックします。
設定ができたら、この状態でブルースクリーンのエラーが発生する操作を行ってください。
手順2: BlueScreenViewで解析する
続いてBlueScreenViewを使ってメモリダンプを解析します。
- 『BlueScreenViewの公式ページ』にアクセスします。
- ページをスクロールして「Download BlueScreenView (in Zip file)」のリンクをクリックします。
- Windowsが64bitの場合は、「Download BlueScreenView 64-bit(in Zip file)」をクリックしてください。
- 「ダウンロード」フォルダを開いて「bluescreenview.zip」を右クリックして「すべて展開」を選択します。
- 展開先を指定して「展開」をクリックしてファイルを解凍します。
- 「BlueScreenView.exe」をダブルクリックします。
- ユーザーアカウント制御が出たら「はい」をクリックします。
- BlueScreenViewが起動してダンプファイルの一覧が表示されます。Crash Timeを参考にブルースクリーンエラーのログを選択します。
- エラー情報を確認して原因を分析します。
- Bug Check String: 停止コードが表示されます。
- Caused By Driver: 原因として疑われるドライバー(.sys)が表示されます。
方法5: ドライバーのファイル名で検索する
ここまでの方法で問題のドライバーのファイル名が判明しても、検索しても原因のドライバーが何なのか分からない場合があります。
上記の場合は、システムドライブ内を原因のドライバーのファイル名で検索してみることをおすすめします。
- 「Windowsマーク」を右クリックしてエクスプローラーを開きます。
- 左ペインで「ローカルディスク(C:)」を選択します。
- エクスプローラーのウィンドウの右上にある「検索ボックス」に「問題のあるドライバーのファイル名.sys」を入力します。
- ファイルの検索が完了するまで待ちます。
- 「問題のあるドライバーのファイル」が見つかったら、右クリックして「ファイルの場所を開く」を選択します。
- アドレスバーでドライバーがインストールされる場所を確認して、フォルダ名から原因のドライバーを特定します。
- フォルダ名に原因のドライバーのメーカー名やアプリケーション名が表示されるケースが多いです。