Firefoxはバージョンが「Firefox Quantum」へと変わったことで、操作性も上がり動作も軽くなりました。
しかし、Firefoxを使用しているとメモリが圧迫されてブラウジングの動作が重くなるケースはまだ発生します。
本記事では、Firefoxのメモリ使用率が高くなり動作が重くなる原因と軽くするための対処法を紹介します。
*対象のPCはWindows10 PCを想定しています。一部の対処を除けば、Macでもほぼ同じ操作でできます。
この記事の内容
FireFoxが重い原因
Firefoxの動作が重い時に確認するべき主な項目は、次のとおりです。
- Firefoxを長時間起動している
- タブを複数開いている
- Firefoxのバージョンが古い
- アクセシビリティサービスが有効になっている
- ハードウェアアクセラレーションがオフになっている
- 使用していないメモリが溜まっている
- 負担の重いアドオン・テーマが有効になっている
- PCの物理メモリが足りない
上記の対処法を紹介していくので、順にチェックしていって下さい。
その後、メモリ使用量を改善できる見込みのあるFirefoxの設定変更や外部ツールについて紹介します。
対処1: Firefoxを再起動させる
Firefoxの動作が重くなったと感じたら、まずはFirefox自体を再起動してみましょう。
特にブラウザを長時間起動している状態の場合、メモリの使用量が上がる傾向があります。
Firefoxを再起動する方法は、通常のアプリケーションの再起動方法と同じです。
- 開いているFirefoxのウィンドウ右上にある「×」ボタンを押して画面を閉じます。
- 再度「Firefox」のアイコンをクリックしてブラウザを起動します。
非常にシンプルな対処法ですが、メモリの使用率が高くなったり動作が重くなったりしたときは、まず再起動をして様子をみましょう。
対処2: 表示しているタブを減らす
Firefoxをで複数のタブを開いたままにすると、タブの数に応じてメモリの負荷がかかります。
メモリの使用率が上がって動作が重くなったら、定期的に開いているタブを閉じるようにしましょう。もちろん動作が重くなる前にタブを閉じることも大切です。
Firefoxの再起動と同じく簡単な対処法ですが、試してみてください。
対処3: 最新バージョンに更新する
他のブラウザと同じくFirefoxにもバージョンがあり、最新バージョンへの更新がかかることもあります。
Firefoxの動作が重い場合、最新バージョンへ更新することで動作速度が元に戻ることもあります。
長期間Firefoxを更新していないという場合は、最新バージョンへの更新をおすすめします。更新方法については、以下のページをご参照ください。
対処4: アクセシビリティサービスを停止させる
Firefoxの設定で「アクセシビリティサービス」を止めることでも、メモリの使用率が改善されることがあります。
アクセシビリティサービスが有効になっていることで、Firefoxが外部アプリケーションからの接続を許可し、連携できるようになります。
しかし、Firefoxが外部からの接続に対して無防備になることや、有効にしていることでメモリの使用率も上がることもあるので、必要がなければ機能を停止しておきましょう。
アクセシビリティサービスを停止させる手順やアクセシビリティサービスの詳細については、以下のページをご参照ください。
対処5: ハードウェアアクセラレーションをオンにする
Firefoxのハードウェアアクセラレーション機能を有効にすると、メモリ使用量が下がる可能性があります。
ハードウェアアクセラレーションは、ページの表示にGPUを利用する機能で、多くの場合CPUとメモリの使用率が下がります。
Firefoxの設定を変更してハードウェアアクセラレーションが無効にした覚えがある場合は、次の手順で有効にしてください。
- Firefoxの右上にある「メニューボタン(横三本線)」をクリックします。
- 表示されたメニューから「オプション」をクリックします。
- 画面が切り替わったら、左側の「一般」をクリックします。
- 「推奨のパフォーマンス設定を使用する」がオンになっていれば、ハードウェアアクセラレーションが有効になっています。
- 「推奨のパフォーマンス設定を使用する」がオフになっている場合は、「ハードウェアアクセラレーション機能を使用する(可能な場合)」のチェックをオンにして下さい。
対処6: 使用していないメモリを開放する
Firefoxには、使用していないメモリ使用量を最小まで開放する機能があります。
不要なメモリを開放することで、Firefoxのメモリ使用量を下げることができます。ただし、ページを再表示する時のパフォーマンスが若干低下します。
Firefoxのメモリを開放するには、次の手順で操作します。
- Firefoxを起動して、アドレスバーに次のアドレスを入力してEnterキーを押します。
about:memory
- 「Free memory」の項目にある「Minimize memory usage」をクリックします。
- 「GC」「CC」ボタンは、押すと次のような機能があります。
- 「GC」:Garbage Collection
使用していないメモリを解放する - 「CC」: Cycle Collection
使用していないメモリを管理するメモリを開放する
- 「GC」:Garbage Collection
- 「Minimize memory usage」は、「GC」「CC」両方の処理が行われます。
- 「GC」「CC」ボタンは、押すと次のような機能があります。
- 使用していないメモリが開放されます。
メモリが開放できたかは、タスクマネージャーなどでメモリの使用量を確認して下さい。
対処7: 重いアドオンを特定して無効化する
Firefoxのメモリの使用率が高く、動作が重くなった原因の1つに「アドオン」の使用状況が挙げられます。
便利はアドオンですが、便利だからとあれこれ追加していくとメモリの使用率を上げ、結果的にFirefoxやパソコンの動作が重くなる原因になります。
多くのアドオンを使用している場合、どれが原因なのか分からない時もあります。その際は、次の手順でFirefoxをセーフモードで起動し、原因のアドオンを特定して無効化します。
- Firefoxの「メニューボタン」をクリックして「ヘルプ」を開きます。
- 表示されたメニューから「アドオンを無効にして再起動…」をクリックする
- Firefoxがセーフモードで起動します。
- この状態でメモリ使用率を確認し、メモリの使用率が低減していればアドオンに問題があると考えられます。
- アドオンが原因だと分かったら、Firefoxを通常モードで起動し、有効にしているアドオンを1つずつ無効にしてメモリ使用率や動作を確認します。
- 原因のアドオンが特定できたら、無効化、もしくは削除します。
- アドオンの無効化や削除の方法については、次のページをご参照ください。
- アドオンの無効化や削除の方法については、次のページをご参照ください。
対処8: Firefoxのテーマをデフォルトに戻す
Firefoxのテーマを変更している場合は、デフォルトのテーマに戻すことでメモリ使用量が低下する可能性があります。
Firefoxのテーマをデフォルトに戻すには次の手順で操作します。
- Firefoxを起動して「メニューボタン」→「アドオン」をクリックします。
- 左ペインで「テーマ」をクリックします。
- 「既定」のテーマが有効になっているか確認します。
- 有効にするには、テーマの右に表示される「3点マーク」をクリックして「有効化」を選択します。
対処9: コンテンツプロセス数を制限する
Firefoxは複数のタブを開いた時でも快適な使い心地を維持するため、メインのプロセスとは別に複数のコンテンツプロセスを実行させています。
コンテンツプロセス数が大きいと、複数のタブを開いた時でもブラウザのパフォーマンスは良くなります。しかし、その分メモリの使用率も高くなる傾向にあるのです。
そのため、コンテンツプロセスの数を制限することで、メモリの使用率を下げることができます。
Firefoxのコンテンツプロセス数を変更する手順は、以下の通りです。
- Firefoxの右上にあるメニューボタン(横三本線)をクリックします。
- 表示されたメニューから「オプション」をクリックします。
- 画面が切り替わったら、左側の「一般」をクリックします。
- 「パフォーマンス」欄にある「推奨のパフォーマンス設定を使用する」のチェックを外す
- 「コンテンツプロセス数の制限」項目の横にある選択ボックスから任意の数字を選ぶ
パソコンの使用環境によって、適した数値は変わります。一般的には数が少ないほどメモリの使用率も下がる傾向ですが、ブラウザのパフォーマンスを維持するためにもある程度の数は必要です。
物理メモリに合わせたコンテンツプロセス数の目安は、次の通りです。
- 物理メモリ: 2GB以下 → 「2」
- 物理メモリ: 2GB〜8GB → 「4」
- 物理メモリ: 8GB以上 → 「7」
対処10: Firefoxの設定を変更する
Firefoxの設定エディタを編集することで、Firefoxの詳細な設定を変更することができます。Firefoxの設定を変更することで、メモリ使用量を下げれる可能性があります。
ただし、設定エディタによる設定変更は動作保証対象外となるため、自己責任で行って下さい。
次の手順で、Firefoxの設定を変更してみて下さい。
- アドレスバーに次のアドレスを入力してEnterキーを押します。
about:config
- 「動作保証対象外になります」の警告メッセージが表示されるので、「危険性を承知の上で使用する」をクリックします。
- Firefoxの詳細な設定値の一覧が表示されます。
- 次の設定を検索フォームに入力して、値をそれぞれ設定します。
- browser.cache.memory.capacity:「0」
- メモリキャッシュをKBで指定できます。「0」で無効にします。デフォルトは「-1」(自動)
- browser.sessionhistory.max_total_viewers:「0」
- メモリにキャッシュする履歴の件数を「0」にします。デフォルトは「-1」(自動)
- toolkit.cosmeticAnimations.enabled:「false」
- タブのアニメーションを無効化します。デフォルトは「ture」
- browser.tabs.remote.autostart:「false」
- マルチプロセス機能を無効化します。デフォルトは「ture」
- browser.cache.memory.capacity:「0」
設定が変更できたら、Firefoxを再起動してメモリ使用量が下がったか確認して下さい。
対処11: Fireminを使う
Firefoxのメモリ管理のフリーソフト「Firemin」を使うことで、メモリ使用量を簡単に制御できます。
Fireminは、Firefoxの使用していないメモリを自動的に解放することができます。実行プログラムだけでも動作するため、インストールする必要もありません。
Fireminを使うには次の手順で操作します。
- 『Firemin公式ページ』にアクセスします。
- DOWNLOAD FIREMINの項目から「Firemin_XXXX.zip」をクリックしてダウンロードします。
- ダウンロードしたZIPファイルを展開します。
- Windows10でZIPファイルを展開する方法は次のページを参考して下さい。
- 展開したフォルダ内の「Firemin.exe」を起動します。
- Windows起動時に自動的にFireminを起動する場合は、「Start Firemin when Windows starts」にチェックを入れて「OK」をクリックします。
以上でFireminの初期設定は完了です。Fireminはバックグラウンドで動作しているため、設定画面は閉じて問題ありません。
Fireminが起動している状態でFirefoxのメモリ使用量が改善したか確認して下さい。
対処12: メモリを増設する
ここまでソフトの面でメモリ使用率を低減させる対処法を紹介しました。ただし、対処法を実行してもメモリが圧迫される場合は、単純に物理メモリが不足していることが考えられます。
快適なブラウジングをするには、最低でも4GB以上必要です。(同時に開くアプリケーションが多い場合は、個人的には8GB以上欲しいところ)
パソコンの物理メモリが少ない場合は、メモリの増設を検討しましょう。メモリの増設は、やり方さえ分かれば誰でも簡単にできるのでおすすめです。
Firefoxだけでなくパソコンの動作も重い場合は、PCの買い替えも検討して下さい。