Windows10のPCの動作が遅い時にタスクマネージャーを確認すると「システムの割り込み」のプロセスがCPUリソースを専有しているケースがあります。
また、システムの割り込みのCPU使用率が100%の状態になると、PCの動作が非常に重くなってなりWindowsの操作に支障が出ます。
この記事では、Windows10の「システムの割り込み」のCPU使用率が100%になる原因と対処法を紹介します。PCの動作が時々重くなって困っている人は、参考にしてみてください。
この記事の内容
システムの割り込みとは
タスクマネージャー上に表示される「システムの割り込み」とは、IRQL(優先度)が高いハードウェアの処理がシステムの処理中に割り込んでいる際に表示されるプロセス名です。
リソースモニター上では、「遅延プロシージャ呼び出しと割り込みサービス」というプロセスの説明が表示されます。
システムの割り込みは、処理を実行している特定のプロセスがあるわけではなく、システム全体で発生している割り込み処理のCPU使用率を示すために表示されています。
システムの割り込みは、キーボードやマウス操作、ディスクの読み書き、ネットワークの通信などのデバイスを経由する処理があった場合に発生します。
システムの割り込みは停止できない
システムの割り込みは特定のプロセスではないため、CPU使用率が高い場合に直接停止することはできません。
通常であれば一定時間待てばCPU使用率は自然に落ち着きます。
また、デバイスの操作や処理時に、システムの割り込みのCPU使用率が一時的に100%になるのは正常な状態です。
システムの割り込みがCPUを専有する原因
一時的な状態を除けば、システムの割り込みのCPU使用率は10%以下で推移するのが正常な状態です。
システムの割り込みのCPU使用率が高い状態で推移してしまう場合は、主に次の原因が考えられます。
- 複数の外部デバイスをPCに接続している
- CPUが過熱してサーマルスロットリングが作動している
- デバイスドライバーにエラーや不具合が発生している
- セキュリティソフトがスキャンを実行している
- バックグラウンドでアプリケーションが動作している
- バックグラウンドでWindows Updateを実行している
- CPUの性能が不足している
上記の通り、デバイスドライバーやバックグラウンドのアプリケーション、サービスが原因になるケースが多いです。
システムの割り込みが100%になると、割り込みの遅延が発生している状態になるため、PCの動作が乏しく遅くなります。
続いて原因ごとの対処法を紹介していくので、順に対処方法を試してシステムの割り込みの負担が改善しないか確認してみて下さい。
対処1: 外部接続デバイスを取り外す
PCにUSB接続している外部デバイスは、システムの割り込みプロセスを発生させる原因になります。
特に多くの外部デバイスをPCに接続していると、その分システムの割り込みプロセスの発生が増えるため、CPUリソースを専有することがあります。
そのため、不要な外部デバイスを接続している場合は、一旦全て取り外してシステムの割り込みの負担が低下しないか確認してみて下さい。
キーボードやマウスなど、必要最低限のデバイスのみを接続してPCを再起動してみてください。CPU使用率が正常範囲内に戻った場合は、接続するデバイスの数を減らしてPCを使うようにして下さい。
対処2: PCケース内部をメンテナンスする
PCケース内部にホコリが溜まっていたり、CPUグリスが古くなっている、CPUクーラーにトラブルが発生しているなどの理由により、CPUが過熱してサーマルスロットリングが動作している可能性があります。
サーマルスロットリングが動作するとクロックが下がってPCの性能が落ちるため、相対的にシステムの割り込みによるCPU使用率が上がります。
上記の問題は、PCケース内部のメンテナンスで解消できる可能性があります。以下のメンテナンスを行ってみて下さい。
- 内部の掃除
PCケース内にホコリが詰まっていると放熱が上手く行かず、CPUが過熱します。PCケースを開け、ファンやラジエーターにホコリがついている場合はエアダスターなどで掃除しましょう。 - CPUグリスの塗り直し
- CPUグリスが劣化していると冷却性能に影響が出る場合があるため、可能であれば塗り直しを行って下さい。
- CPUファンの交換/修理
- CPUの冷却ファンが故障して停止していないか確認して下さい。故障が疑われる場合はファンの交換を行うか、修理を検討して下さい。
上記のメンテナンスの中でも、PCケース内のホコリの除去は必ず行って動作を検証することをおすすめします。
対処3: デバイスドライバーをアップデートする
デバイスドライバーの不具合が原因で、システムの割り込みのCPU使用率が異常に高まるケースがあります。
デバイスドライバーの不具合は、アップデートで解消できることが多いです。そのため、デバイスドライバーのアップデートが配信されているか確認し、配信されている場合はアップデートを行って下さい。
デバイスドライバーのアップデートは、次の手順で行います。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を選択します。
- ツリーを展開して「更新するドライバー名」を右クリックして「ドライバーの更新」をクリックします。
- 黄色の!マークが付いているドライバーはエラーが起きているため、必ずアップデートを行って下さい。
- 問題が起きやすいドライバーは次の通りです。念の為全てアップデートを試すことをおすすめします。
- ネットワークアダプター
- オーディオデバイス
- Bluetooth
- SATA AHCIコントローラー
- 「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索」のオプションをクリックします。
- ウィザードにしたがってアップデートを確認し、配信されていたらインストールします。
- アップデートが完了したらウィザードを閉じます。
デバイスドライバーのアップデートは、1つずつ行う必要があります。一通りアップデートできたらPCを再起動して、システムの割り込みによるCPU使用率が改善したか確認してください。
対処4: オーディオの拡張機能を無効化する
オーディオドライバーによっては、オーディオの拡張機能が原因でシステムの割り込み処理のCPU使用率が上昇するケースがあります。
そのため、オーディオの拡張機能を無効化することでCPU使用率が下がる可能性があります。
オーディオの拡張機能を無効化するには、次の手順で操作してください。
- タスクバーの右側にある「オーディオマーク」を右クリックして「サウンドの設定を開く」を選択します。
- 関連設定メニューから「サウンド コントロールパネル」をクリックします。
- 「再生」タブをクリックし、「規定の再生デバイス(スピーカーなど)」を選択します。
- 右下の「プロパティ」をクリックします。
- 「拡張」タブを開きます。
- 「すべてのサウンド効果をオフにする」のチェックをつけます。
- 「OK」をクリックします。
- 「録音」タブの「規定の録音デバイス(マイクなど)」も同様の手順で「すべてのサウンド効果をオフにする」のチェックを付けます。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
以上でオーディオの拡張効果が無効になります。
この状態でシステムの割り込みのCPU使用率をチェックし、問題が解消したかを確認して下さい。解消していない場合は次に進みます。
対処5: WoL関連の設定を無効化する
ネットワークアダプタの設定でWoL(Wake on LAN)関連の設定が有効になっている場合、システムの割り込みがCPUを専用してしまうケースがあります。
そのため、一度ネットワークアダプターのWoLの設定を無効化して問題が解決しないか確認してみて下さい。ネットワークアダプターのWoL機能を無効化する手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「デバイスマネージャー」を選択します。
- 「ネットワークアダプター」のツリーを展開して、「利用しているネットワークアダプタ」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「詳細設定」タブを選択します。
- プロパティのリストで次の項目の値をそれぞれ変更します。
- Wake on magic packet(ウェイク・オン・マジック・パケット): 「Disabled(無効)」を選択します。
- Wake on pattern match(ウェイク・オン・パターン・マッチ): 「Disabled(無効)」を選択します。
*項目がない場合は、WoL機能を搭載していないため次の対処に進んでください。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
WoL機能を無効に設定できたら、念のためPCを再起動してから、システムの割り込みのCPU使用率を確認してください。
WoL機能を使用していない場合は、無効設定のままPCを使って問題ありません。
対処6: 高速スタートアップを無効化する
Windows10の高速スタートアップが有効になっている場合、PC起動時に接続しているデバイスが正常にロードできない場合があります。
デバイスが正常に読み込めないと、デバイスドライバー上で問題が起き、システムの割り込みが高負担になる原因になります。
そのため、高速スタートアップを無効化した状態で問題が解決しないか確認してください。手順は次の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」を選択します。
- 右ペインで「電源の追加設定」をクリックします。
- 左ペインで「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。
- シャットダウン設定にある「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外します。
- 「変更の保存」をクリックして、高速スタートアップを無効にする設定は完了です。
- PCを再起動します。
高速スタートアップを無効化にできたら、システムの割り込みのCPU使用率が正常範囲内になったか確認してください。
対処7: WindowsUpdateを完了する
WindowsUpdateがバックグラウンドで更新プログラムのダウンロードやインストールを行っていると、システムの割り込みが高負担になる場合があります。
そのため、WindowsUpdateを確認して保留中のアップデートがある場合は、全てを適用してください。
WindowsUpdateの進捗状況は、次の手順で確認することができます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインでWindowsが最新の状態になっているか確認してください。
- 更新プログラムをダウンロードしていたり、インストールできるプログラムがある場合は、インストールを完了してください。
- 更新に再起動が必要な場合は「今すぐ再起動」をクリックして下さい。
Windowsのアップデートが全て適用できたら、再度システムの割り込みの負担が改善したか確認して下さい。
対処8: セキュリティソフトを停止する
セキュリティソフトのウィルススキャンなどの処理が原因で、システムの割り込みが高負担で表示されるケースがあります。
セキュリティソフトのステータスを表示して、ウィルススキャンなどの処理を行っていないか確認して下さい。スキャン実行中の場合は、処理が終わるまで待って下さい。
また、リアルタイム保護などの機能が原因でシステムの割り込みの負担が増えるケースもあります。
そのため、セキュリティソフトを一旦停止して、システムの割り込みの負担が減らないかタスクマネージャーで確認してみて下さい。
対処9: スタートアップのアプリケーションを停止する
バックグラウンドで動作しているアプリケーションが原因で、システムの割り込みの負担が増えるケースがあります。
そのため、PCをクリーンブートで起動した状態で、システムの割り込みのCPU使用率が上がるか確認して下さい。
クリーンブートの状態でシステムの割り込みの負担が減る場合は、スタートアップに登録されているアプリケーションが原因と判断できます。
問題のアプリケーションがスタートアップに登録されている場合は、次の手順で自動起動を無効化して下さい。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択します。
- 「スタートアップ」タブをクリックします。
- 「問題のあるアプリケーション」を選択して「無効にする」を選択します。
- PCを再起動します。
以上の手順で、アプリケーションのスタートアップが停止します。システムの割り込みの問題が解決したことを確認して下さい。
対処10: BIOSをアップデートする
BIOSに不具合があることが原因で、システムの割り込みの負担が異常に高くなるケースが稀にあります。
BIOSの不具合はアップデートすると解消することが多いため、アップデートが配信されていないか確認して下さい。
BIOSのアップデート方法は、使用しているPCによって異なるため、具体的な手順はメーカーページを参考にしてください。
対処11: CPUを交換する/PCを買い換える
PCのCPUのスペックが根本的に足りない場合、システムの割り込みのCPU使用率が上昇するケースが多くなります。
特に以下のようなCPU負担の大きい処理の際に、CPU使用率が100%で推移する場合は、CPUの性能が不足していることが考えられます。
- ブラウザで複数のタブを開いている、動画を視聴する
- データ量の大きいアプリケーションを起動する
CPUのスペック不足を解消するには、Windowsの負担を軽減して動作を軽くするか、CPU・PCの買い替えを検討する必要があります。
古いメーカー製PCやノートPCを使用している場合はPC自体の買い換えを検討してください。
CPUのみを交換したい場合は、マザーボードとの互換性を確認した上でCPUをグレードアップできないか検討してください。