Windows10では、システムで使用する電力を管理する電源プラン(省電力/バランス/高パフォーマンス)やオプションを設定することができます。
しかし、電源プランを変更したはずがPCを再起動すると設定が元に戻ってしまうケースがあります。また、PCの使用中にいつの間にか勝手に電源プランが変更される場合もあります。
本記事では、Windows10のPCで電源プランの設定が勝手に変更される時の対処方法について詳しく紹介します。
この記事の内容
対処1: 管理者アカウントで設定を変更する
管理者権限のない標準ユーザーのアカウントで電源プランの設定を変更すると、PCの再起動後に設定がリセットされてしまいます。
そのため、管理者アカウントでサインインした状態で、電源プランの設定を変更してみてください。
管理者アカウントで設定を変更できたら、元のアカウントでサインインし直して電源プランが変更されたか確認してください。
管理者アカウントで電源プランの設定を変更しても勝手に元の設定に戻る場合は、次の対処方法を試してください。
対処2: 電源プランをリセットして新しく作成する
電源プランの設定に問題があることが原因で、電源プランが勝手に変わるケースが考えられます。
そのため、電源プランの設定をリセットし、新しい電源プランを追加することで問題が解決する可能性がありあす。
電源プランの設定をリセットして新しく追加するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」をクリックして「cmd」と入力します。
- 検索結果から「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
powercfg –restoredefaultschemes
- コマンドが実行できたら、コマンドプロンプトのウィンドウを閉じます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」を選択します。
- 右ペインの関連設定で「電源の追加設定」をクリックします。
- 電源オプションが開いたら、左ペインの「電源プランの作成」をクリックします。
- 任意のプラン名を入力して「次へ」をクリックします。
- 「ディスプレイの電源を切る」と「コンピュータをスリープ状態にする」の時間を選択して「作成」をクリックします。
以上の手順で、電源プランの設定をリセットして新しくプランを追加することができます。プランを追加できたらPCを再起動して、電源プランが変更されなくなったことを確認してください。
対処3: 電源のトラブルシューティングツールを実行する
Windowsの電源に関連する問題は、トラブルシューティングツールを実行することで解決できる可能性があります。
そのため、電源のトラブルシューティングツールを実行して、電源プランが変更される問題が解決しないか確認してください。
電源のトラブルシューティングツールを実行するには以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- Windowsの設定が開いたら、「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインで「トラブルシューティング」を選択します。
- 右ペインで「追加のトラブルシューティングツール」をクリックします。
- 一覧から「電源」を選択し、「トラブルシューティングツールの実行」をクリックします。
- ウィザードの指示にしたがって解決策を試みます。
- 終了したらトラブルシューティングウィザードを閉じます。
トラブルシューティングツールによって電源の問題が修正できたら、PCを再起動して勝手に電源プランが変更されなくなったか確認してください。
対処4: 不要な電源プランを削除する
電源プランが変更される直接的な原因の解決にはなりませんが、使用しない電源プランを削除することで問題を回避することができます。
そのため、別の電源プランを使用することがない場合は、使用しない電源プランの削除を行なってください。
不要な電源プランを削除するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして、「設定」を開きます。
- 「システム」→「電源とスリープ」と進み、画面下部にある「電源の追加設定」をクリックします。
- 電源オプションのウィンドウが開いたら、不要な電源プランの横の「プラン設定の変更」をクリックします。
- 「このプランを削除」をクリックします。
- 警告が表示されたら「OK」をクリックします。
- 不要な電源プランが複数ある場合は、同じ手順で全て削除します。
不要な電源プランを削除して使用する電源プランのみの状態にできたら、電源プランが勝手に変更されなくなったことを確認してください。
対処5: 最新のグラフィックドライバーをインストールする
グラフィックドライバーに不具合があることが原因で、電源プランの設定が勝手に変更されるケースが考えられます。
上記の問題は、グラフィックドライバーを最新バージョンにアップデートすることで解決できる可能性があります。
グラフィックドライバーをアップデートするには、以下の手順で操作してください。
- PCメーカーの製品ページにアクセスして、最新のグラフィックドライバーをダウンロードします。
- NVIDIA/AMDのグラフィックボードを搭載している場合は、以下のページにアクセスして搭載しているGPUの型番の最新版のドライバをダウンロードしてください。
- NVIDIA/AMDのグラフィックボードを搭載している場合は、以下のページにアクセスして搭載しているGPUの型番の最新版のドライバをダウンロードしてください。
- ダウンロードしたドライバーファイルを実行します。
- インストールウィザードに従って、最新のドライバーをインストールします。
- インストール方法が指定できる場合は、クリーンインストールを選択してください。
- ドライバーのインストールが完了したら、PCを再起動します。
最新のグラフィックドライバーをインストールしてPCを再起動できたら、電源オプションが変更される問題が解決したか確認してください。
対処6: Windowsをクリーンブートで起動する
インストールしているアプリケーションによって、電源プランの設定が勝手に変更されているケースが考えられます。
そのため、アプリケーションが影響しているか判断するために、クリーンブートで起動した状態で電源プランが変更されるか確認してください。
Windowsをクリーンブートする手順は以下の通りです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「msconfig」と入力して「OK」をクリックします。
- 「システム構成」が開いたら、「全般」タブをクリックします。
- 「スタートアップのオプションを選択」を選択します。
- 「スタートアップの項目を読み込む」のチェックを外します。
- 「サービス」タブを開きます。
- 左下にある「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェックを付けます。
- 右下にある「すべて無効」をクリックします。
- 「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。
- PCを再起動します。
クリーンブートの状態で起動できたら、電源オプションの設定が変更されなくなったか確認してください。問題が解決しない場合は、クリーンブートの設定を元に戻して、次の対処を試してください。
クリーンブートで解決した場合
クリーンブートの状態で電源プランの問題が解決した場合は、アプリケーションが影響していると判断できます。
上記の手順で再びサービスを開いて、サービスを1つずつ有効に戻してPCを再起動し、電源プランの問題が発生するサービスを特定してください。
原因となっているサービスを特定できたら、そのサービスのみを無効化した状態にするか、サービスを提供しているアプリケーションのアンインストールを検討してください。
対処7: 高速スタートアップを無効にする
Windows10の起動時間を短縮するための高速スタートアップ機能が原因で、電源プランの設定が勝手に変更されるケースが考えられます。
高速スタートアップはデフォルトで有効になっているため、機能を無効化して問題が解決しないか確認してください。
高速スタートアップを無効化する手順は以下のとおりです。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」をクリックします。
- 「電源の関連設定」をクリックします。
- 左ペインにある「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。
- 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外します。
- 「変更の保存」をクリックします。
高速スタートアップを無効化できたら、PCを再起動して電源プランの設定が変更されなくなったか確認してください。
対処8: 特定の電源プランの使用を強制する
Windowsのグループポリシーの設定を変更することで、特定の電源プランの使用を強制するように設定できます。
そのため、ここまでの方法を試しても電源プランが変更されてしまう場合は、電源プランの使用を強制して問題が解決しないか確認してみてください。
グループポリシーで特定の電源プランの使用を強制するよう設定するには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- 次のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
powercfg /list
- 電源プランのGUIDの一覧が表示されます。設定した電源プランのGUIDを控えておきます。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「gpedit.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- グループポリシーエディタが起動したら、左ペインのツリーを以下の順に展開します。
コンピュータの構成 → 管理用テンプレート → システム → 電源の管理
- 「電源の管理」を選択した状態で、右ペインで「現在使用されているカスタム電源プランを指定する」をダブルクリックして開きます。
- 「有効」を選択して、「現在使用されているカスタム電源プラン(GUID)」の項目に「電源プランのGUID」を入力して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してポリシー設定を反映します。
グループポリシーの設定を変更してPCを再起動できたら、電源プランが変更されなくなったことを確認してください。
この設定を行うと電源プランの変更ができなくなるため、設定を変更したい場合はポリシー設定を「未構成」に戻してください。
対処9: システムファイルを修復する
Windowsのシステムファイルが破損していることが原因で、電源プランの設定が元に戻るケースが少なからず考えられます。
そのため、システムファイルの修復を行なって、問題が解決しないか確認してみてください。
システムファイルの修復を行うには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択して起動します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
sfc /scannow
- コマンドの処理が完了したら、そのまま次のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
- コマンドが実行できたら、PowerShellウィンドウを閉じます。
システムファイルの修復が完了したら、電源プランの問題が解決したか確認してください。
対処10: Avastのゲームモードを無効にする
サードパーティのセキュリティソフトによっては、電源プランを変更する機能が実装されている場合があります。
Avastを使用している場合は、集中モード(ゲームモード)の機能が有効になっていると、特定のアプリケーション起動時に電源プランが高パフォーマンスに自動的に変更されます。
そのため、サードパーティのセキュリティソフトを使用している場合は、セキュリティソフトの設定で電源プランを変更する機能がないか確認してください。影響がありそうな機能が見つかった場合は、機能を無効化してください。
対処11: Intel関連のアプリケーションの設定を変更する
IntelのCPUとチップセットを搭載したPCの場合は、Intel ラピッド・ストレージ・テクノロジーやIntel レディ・モード・テクノロジーなどの関連アプリケーションが原因で、電源プランが変更されるケースがあります。
上記のアプリケーションがインストールされている場合は、機能を無効化することで電源プランの問題が解決する可能性があります。
Intel ラピッド・ストレージ・テクノロジー、またはIntel レディ・モード・テクノロジーを無効化する手順は以下の通りです。
Intel ラピッド・ストレージ・テクノロジーの場合
Intel ラピッド・ストレージ・テクノロジーがインストールされている場合は、以下の手順でリンク電源管理の機能を無効化してください。
- 「Windowsマーク」をクリックして「Intel ラピッド・ストレージ・テクノロジー」を起動します。
- 「パフォーマンス」タブを開きます。
- 「リンク電源管理」の「無効」をクリックします。
- PCを再起動して設定を反映します。
Intel レディ・モード・テクノロジーの場合
Intel レディ・モード・テクノロジーが原因で、電源プランの設定が変更される現象も報告されています。この機能を無効化するには、以下の手順で操作してください。
- Windows + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「service.msc」と入力してEnterキーを押し、「サービス」を開きます。
- サービス一覧から「Intel Ready Mode Technology」を探してダブルクリックします。
- スタートアップの種類を「無効」に切り替えます。
- サービスの状態内にある「停止」をクリックします。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
Intel関連のアプリケーションの設定を変更できたら、電源オプションが勝手に変更される問題が解決したか確認してください。