Windows10/11のパソコンで特定のアプリケーションを起動しようとすると、「コンピューターにMSVCP120.dllがないため、プログラムを開始できません。この問題を解決するには、プログラムを再インストールしてみてください。」というエラーが出てしまい、アプリが起動できないケースがあります。
エラーメッセージの指示通りアプリを再インストールして解決する場合もありますが、実際にはアプリの再インストールでは解決できない事の方が多いです。
本記事では、Windows10でMSVCP120.dllが見つからないエラーが出た時の対処法について詳しく紹介します。
この記事の内容
MSVCP120.dllとは
MSVCP120.dllは、Visual Studio 2013で作成されたアプリケーションを実行するために必要なC++のライブラリファイルです。
Microsoftが無償で配布している「Visual Studio 2013 Visual C++再頒布可能パッケージ」に、MSVCP120.dllが含まれています。
そのため、上記のパッケージをインストールすることで、MSVCP120.dllのライブラリファイルを使用することができます。
基本的にMSVCP120.dllが必要なアプリケーションにはパッケージが同梱されており、インストールと一緒にインストールする場合が多いです。
対処1: Visual C++ランタイムパッケージをインストールする
一部のアプリケーションでは、インストーラーにランタイムパッケージが同梱されていないケースがあります。
そのため、MSVCP120.dllが見つからない場合は、Visual Studio 2013用のVisual C++ランタイムパッケージを手動でインストールすることでエラーを解決できます。
Visual Studio 2013用のVisual C++ランタイムパッケージをインストールするには、次の手順で操作します。
- 『Visual Studio 2013 の Visual C++ 再頒布可能パッケージ』の公式配布ページにアクセスします。
- 「ダウンロード」ボタンをクリックします。
- 「ダウンロードするプログラムを選んでください」の画面が表示されたら、Windowsが32ビット版の場合は「vcredist_x86.exe」を、64ビット版の場合は「vcredist_x64.exe」と「vcredist_x86.exe」の両方にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- Windows10のビット数を調べるには、「Windowsマーク」を右クリックして「システム」を選択し、「デバイスの仕様」にある「システムの種類」の項目を確認してください。
- 「32ビットオペレーティングシステム」の場合: Windows10 32ビット版
- 「64ビットオペレーティングシステム」の場合: Windows10 64ビット版
- Windows10のビット数を調べるには、「Windowsマーク」を右クリックして「システム」を選択し、「デバイスの仕様」にある「システムの種類」の項目を確認してください。
- パッケージをダウンロードできたら、インストーラーをダブルクリックして実行します。
- 64ビット版の場合は、1つずつインストーラーを実行してください。
- インストーラーが起動したら、「使用条件に同意する」にチェックを入れて「インストール」をクリックします。
- Windowsが64ビット版の場合は、ダウンロードしたもう1方のインストーラも同じ手順で実行し、インストールします。
Visual C++ランタイムパッケージのインストールが完了したら、PCを再起動してアプリケーションの起動を試してください。
ランタイムパッケージをインストールしてもMSVCP120.dllのエラーが解消しない場合は、その他の原因が考えられるため次の対処方法を試してください。
対処2: 最新版のアプリを再インストールする
アプリケーションファイルが破損していたり、バージョンが古く不具合があることが原因で、MSVCP120.dllが見つからないエラーが表示されるケースがあります。
そのため、アプリケーションを一旦アンインストールしてから再インストールすることで問題が解決する可能性があります。
また、再インストールを行う場合は、必ず最新版のインストーラーを実行してインストールするようにしてください。アプリケーションの再インストールを行うには、次の手順で行います。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で、「エラーの出るアプリケーション」を選択します。
- 「アンインストール」→「アンインストール」の順にクリックします。
- ウィザードが起動したら、案内に従ってアンインストールを完了します。
- アンインストールの途中で、設定などの関連ファイルの削除オプションがある場合はチェックを入れてください。
- アプリケーションの公式ページにアクセスして、最新のインストーラーをダウンロードします。
- 最新のインストーラーを実行して、通常の手順でインストールを行います。
- Visual C++ランタイムパッケージのインストールが表示される場合は、一緒にインストールを行なってください。
アプリケーションを再インストールできたら、正常に起動できるようになったか確認してください。
対処3: Visual C++ランタイムパッケージを再インストールする
Visual C++ランタイムパッケージのインストールやアプリケーションの再インストールを行なっても、MSVCP120.dllのエラーが解決しない場合は、MSVCP120.dllのファイルが破損していることが考えられます。
そのため、一旦全てのVisual C++ランタイムパッケージをアンインストールしてから再インストールを行なってみてください。ランタイムパッケージを再インストールするには、次の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で「Visual C++ランタイムパッケージ」を選択して「アンインストール」→「アンインストール」に順にクリックします。
- 複数のVisual C++ランタイムパッケージがある場合は、全てのパッケージを順番にアンインストールしてください。
- アンインストールウィザードが表示されたら、案内に従ってアンインストールを完了します。
- エクスプローラーで以下のフォルダをそれぞれ開いて、「MSVCP120.dll」がある場合は右クリックして「削除」します。
- C:\Windows\System32
- C:\Windows\SysWOW64
- Visual Studio 2015以前のVisual C++ランタイムパッケージの配布ページにアクセスして、全てのバージョンのパッケージをダウンロードします。
- Visual C++ランタイムパッケージ一覧
- Windowsが64ビットの場合は、64ビット・32ビット両方のパッケージをダウンロードしてください。
- Visual C++ランタイムパッケージのインストーラーを古いバージョンから順番に1つずつ実行してインストールします。
以上で、Visual C++ランタイムパッケージの再インストールは完了です。アプリケーションを再度起動してエラーが解決したか確認してください。
対処4: システムファイルを修復する
MSVCP120.dllを含めたWindowsのシステムファイルが破損していることが原因で、MSVCP120.dllが見つからないエラーが出るケースが考えられます。
そのため、システムファイルチェッカーツールを実行してシステムファイルを修復することで、エラーが解決する可能性がありましす。
システムファイルチェッカーツールを実行するには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択して起動します。
- Windows11の場合は「Windowsターミナル(管理者)」を選択してください。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
- プロセスが完了したら、続いて以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
sfc /scannow
- コマンドの処理が完了したらPowerShellを閉じます。
システムファイルのエラーが検出され修正できた場合は、PCを再起動してください。再起動後にMSVCP120.dllのエラーが解決したか確認します。
対処5: 別のPCからMSVCP120.dllをコピーする
MSVCP120.dllの破損が疑われる場合は、別のPCから正常なMSVCP120.dllを直接コピーしてファイルを置換して問題を解決することもできます。
別のPCからMSVCP120.dllをコピーするには、次の手順で操作してください。
- 正常なPCでエクスプローラーを起動して次のフォルダを開きます。
- C:\Windows\System32
- C:\Windows\SysWOW64
- フォルダ内のMSVCP120.dllを右クリックして「コピー」を選択します。
- USBメモリなどの外部ストレージにライブラリファイルをペーストします。
- 「System32」には32ビットのMSVCP120.dll、SysWOW64には64ビットのMSVCP120.dllが保存されています。
- Windowsが32ビットの場合は「SysWOW64」のフォルダは存在しません。
- それぞれのフォルダにMSVCP120.dllがある場合は、コピー時にMSVCP120.dllを上書きしないようフォルダ分けなどを行なってください。
- USBメモリなどの外部ストレージを問題の起きているPCに接続します。
- 問題の起きているPCで同じフォルダを開いて、MSVCP120.dllをドラッグして置換します。
- コピー元のPCと同じ場所に同じMSVCP120.dllをコピーして下さい。
正常なMSVCP120.dllに置換できたらPCを再起動してください。再起動ができたら、アプリケーションを起動しMSVCP120.dllのエラーが解決したか確認してください。
対処6: Windowsアップデートを実行する
Windowsのシステムに何らかの不具合があり、アプリケーション起動時にMSVCP120.dllが見つからないエラーが出ているケースが少なからず考えられます。
そのため、Windowsのアップデートを実行してシステムを最新の状態にすると、結果的にアプリケーションのエラーが解決できる可能性があります。
Windows10は通常自動的に更新が行われますが、再起動が必要な更新が保留中の状態になっている場合があるため確認することをおすすめします。
WindowsUpdateを実行するには、次の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 右ペインで「更新プログラムのチェック」をクリックします。
- Windowsが最新の状態になったことを確認します。
- 「再起動」や「ダウンロード」のボタンが表示されている場合は、クリックして更新プログラムを適用してください。
Windowsが最新の状態に更新できたら、アプリケーションを起動してエラーが解決したか確認してください。
対処7: ユーザープロファイルを修復する
特定のWindowsユーザーのみMSVCP120.dllが見つからないエラーが出る場合は、ユーザープロファイルの破損が原因になっていることが考えられます。
ユーザープロファイルの問題を確認するには、Windowsに他のユーザーとしてログインして同様にエラーが出るか調べてみてください。
特定のユーザーのみで問題が起きる場合は、ユーザープロファイルを修復することで解決できます。ユーザープロファイルを修復するには、次のページの対処方法を参考にしてください。
対処8: システムを復元する
今まではMSVCP120.dllのエラーが出ずに正常にアプリケーションが起動できていた場合は、直近のアップデートなどの変更が原因になっていることが考えられます。
上記の問題は、システムの復元を実行することで問題を対処できる可能性があります。システムの復元を実行する方法については、次のページを参考にしてください。
- 「MSVCR100.dll」がエラーで見つからない時の対処法 – Windows10/11
- 「MSVCP110.dll」が見つからないエラーが出る時の対処法 – Windows10/11
- 「MSVCP100/MSVCP140.dll」が見つからないの対処法
- 「vcruntime140.dll」が見つからないエラーが出る時の対処法 – Windows10
- 「api-ms-win-crt-runtime-l1-1-0.dll」が見つからないの対処法
- 「Vulkan Run Time Libraries」が見つからないの対処法
- 「プロシージャエントリポイントが見つかりません」の対処法 – Windows10
- 『アプリ/ソフト/ゲームが起動しない・できない時の対処 - Windows10』