Windowsのパソコンの動作が重くなった際にタスクマネージャーを確認すると、CPU使用率が100%近くの高い数値になっている場合があります。
CPU使用率は一時的に高くなってもしばらく待てば通常であれば下がります。しかし、CPU使用率が継続的に高い数値のまま下がらないケースや、何も操作していないのにCPU使用率が異常に高いケースがあります。
本記事では、Windows10でCPU使用率が異常に高い、または100%になる時の対処法について詳しく紹介します。
この記事の内容
CPU使用率が高いとどうなる?
パソコンのCPU使用率が100%近くまで高くなると、システム全体の動作やアプリの動作が遅くなったり、パソコン内部の発熱の原因になります。
ただし、CPU使用率が高いということはCPUの能力を無駄なく利用できている状態のため、本来の性能を発揮できているということでもあります。CPU使用率は低いほど良いわけではありません。
何もしていないのに急にCPU使用率が高くなる場合は、Windows Updateのチェックや、セキュリティソフトによるスキャン等が原因であることが多いです。処理が終われば自動的にCPU使用率も下がるため、一時的に高くなっても対処は不要です。
また、複数の作業を同時進行している場合や、アプリで負担の高い処理をしている場合もCPU使用率が高くなるのは正常な現象ですので、無理に対処する必要はありません。
CPU使用率が高い状態が長時間続き、いつまでも下がらないようであれば、原因を調べて対処した方が良いでしょう。以降は、CPU使用率が高い時の対処方法について順に紹介していきます。
対処1: 電源モードを変更する
電源モードが省電力プランになっていることが原因で、パソコン全体のパフォーマンスが下がり、CPU使用率が100%近くまで高くなる場合があります。
そのため、電源モードが省電力プランになっていないか確認し、必要であれば設定変更してください。具体的な手順は以下の通りです。
- タスクバー右側の「バッテリーアイコン」をクリックします。
- 表示されるスライダーを右方向にドラッグして、電源モードを「高パフォーマンス」または「最も高いパフォーマンス」に変更します。
上記の手順で変更できない場合は、電源オプションの変更を試してください。電源オプションから電源モードを変更するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」を選択します。
- 右ペインの画面下部にある「電源の追加設定」をクリックします。
- 「電源プランの選択またはカスタマイズ」のリストが表示されます。
- プランを「バランス」または「高パフォーマンス」に変更します。
- 変更ができない場合は、「現在利用可能でない設定を変更します」をクリックしてください。
以上の手順で、電源モードを変更することができます。省電力プランを変更した場合は、CPU使用率が改善したか確認してください。
バッテリー使用時にCPU使用率が高くなる場合
ノートパソコンでバッテリー時のみCPU使用率が高くなる場合は、バッテリー節約機能が有効になっていることが考えられます。
バッテリーを使用している場合は、以下の手順でバッテリー節約機能もオフにしてください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「電源オプション」を選択します。
- 左ペインで、「バッテリー」をクリックします。
- 右ペインで、バッテリー節約機能のスイッチを「オフ」にします。
- 「次の値になったらバッテリー節約機能を自動的にオンにする」のセレクトボックスをクリックし、「なし」に変更します。
- 上記の設定を行うと、バッテリー節約機能が自動的にオンになりません。機能が必要な場合は、「切り替わるバッテリー残量」を選択してください。
対処2: 原因となっているプロセスを終了する
特定のプロセスに問題が起きていることが原因で、CPU使用率が異常に高い場合があります。
そのため、タスクマネージャーで原因となっているプロセスを調べて終了(または再起動)してみてください。
タスクマネージャーでCPU使用率の高いプロセスを見つけて終了するには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択します。
- または、「Ctrl + Alt + Esc」キーを入力することでも同じ操作ができます。
- タスクマネージャーが起動したら、ウィンドウ左下の「詳細」をクリックして詳細表示に切り替えます。
- すでに詳細表示になっている場合は、この手順をスキップしてください。
- 「プロセス」タブに起動中のプロセス一覧が表示されます。「CPU」列をクリックしてプロセスをCPU使用率が高い順に並び替えます。
- CPU使用率の高いプロセスが見つかったら、「プロセス名」を右クリックして「タスクの終了」または「再起動」を選択します。
- 終了するプロセスの機能が不明な場合は、検索エンジン等で調べてから終了することをおすすめします。
原因のプロセスを終了・再起動できたら、CPU使用率が高い問題が解決したか確認します。問題が解決しない場合は、次の対処方法に進んでください。
- システム関連のプロセス:
- 「システムの割り込み」のCPU使用率が100%で高い時の対処法
- 「サービスホスト:ローカルシステム」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「Antimalware Service Executable」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「Windows Driver Foundation」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「Audiodg.exe」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「CTFローダー」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「csrss.exe」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「wsappx」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「Microsoft Compatibility Telemetry」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「Diagnostic Policy Service」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「MRT.exe」のCPU使用率が高い時の対処法
- 「WMI Provider Host」「SysMain」「Runtime Broker」のCPU使用率が高い場合は、『対処8: WMI Provider Hostを再起動する』以降の内容を参考にしてください。
- アプリ関連のプロセス:
対処3: アプリの設定を変更して負担を下げる
プロセスを終了、または再起動してCPU使用率が改善したように見えても、パソコンを再起動すると再びCPU使用率が高くなってしまうことがあります。
また、CPUへの負担が高いゲームや編集系のアプリなどの場合は、アプリを再起動しても再びCPU使用率が高くなります。
原因となっているプロセスがアプリの場合は、アプリ側の設定で負担を下げれないか試してください。CPUの負担を下げる設定としては、CPUコア数の変更、自動アップデートの無効化、使わない機能の無効化、画質や解像度を下げる等の方法が考えられます。
対処4: 不要なスタートアップアプリを無効化する
パソコン起動時に自動的に起動するスタートアップアプリの登録が増えると、バックグラウンドで複数のアプリが動作するため、システム全体のCPU使用率が高くなります。
そのため、不要なスタートアップアプリの起動を無効にすることで、CPU使用率が改善する可能性があります。
不要なアプリのスタートアップを無効にするには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「アプリと機能」を選択します。
- 左ペインで「スタートアップ」を選択します。
- 右ペインのアプリ一覧で、不要なアプリのスイッチを「オフ」に変更します。
- アプリを普段から使用しているかは、「影響」の表示で判断することもできます。
以上の手順で、アプリのスタートアップを無効化できます。PCを再起動して設定を反映し、CPU使用率が高い問題が解決したか確認してください。
対処5: 通知機能をオフにする
Windowsやアプリの通知取得機能が原因で、CPU使用率が高くなることがあります。
普段から通知機能を活用していない場合は、通知を無効にすることでCPU使用率を下げれます。通知機能を無効化するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 設定ウィンドウが開いたら、「システム」をクリックします。
- 左ペインで「通知とアクション」をクリックします。
- 右ペインで、「アプリやその他の送信者からの通知を取得する」のスイッチをオフを切り替えます。
- 以下の通知オプションのチェックを全て外します。
- 「新機能とおすすめを確認するために、更新の後と、サインイン時にときどき、[Windowsへようこそ]の情報を表示する」
- 「Windowsを最大限に活用するためのデバイス設定の完了方法を提案する」
- 「Windowsを使う上でのヒントやお勧めの方法を取得する」
以上で、Windowsやアプリの通知を無効化することができます。設定を変更したら、CPU使用率が改善したか確認してください。
対処6: サードパーティのセキュリティソフトを無効化する
PCにインストールしているサードパーティのセキュリティソフトが原因で、CPU使用率が100%近くまで高くなるケースがあります。セキュリティソフトはリアルタイムスキャンなどの機能によって多くのCPUを使用します。
そのため、セキュリティソフトを無効にした状態でCPU使用率が改善しないか確認してください。
セキュリティソフトを無効にするには、タスクバーの右側のタスクトレイ(上矢印)でアプリアイコンを右クリックし項目を選択することでできる場合が多いです。メーカーのよって異なるため、不明な場合はマニュアルを参考にしてください。
セキュリティソフトを無効化してCPU使用率が改善した場合は、セキュリティソフトの設定を変更して負担を下げれないか確認してください。
設定変更によって改善しない場合は、別のセキュリティソフトを使用するか、アンインストールして標準のWindowsセキュリティに切り替えてください。
対処7: 配信の最適化を無効化する
WindowsUpdateを高速化するための配信の最適化機能が原因で、CPU使用率が異常に高くなるケースがあります。
配信の最適化は必須の機能ではないため、無効化することでCPU使用率を改善できる場合があります。
配信の最適化を無効化するには、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「設定」を選択します。
- 「Windowsの設定」が開いたら「更新とセキュリティ」をクリックします。
- 左ペインから「配信の最適化」を選択します。
- 右ペインにある「他のPCからダウンロードを許可する」のスイッチを「オフ」に切り替えます。
対処8: WMI Provider Hostを再起動する
タスクマネージャーで「WMI Provider Host」プロセスのCPU使用率が異常に高い場合があります。このプロセスは、システムやアプリの情報を収集して管理するための重要なサービスです。
WMI Provider HostのCPU使用率が高い場合は、サービスに問題が起きているケースが考えられます。
そのため、次の手順でWMI Provider Hostサービスを再起動してみてください。
- Windowsキーを押してメニューを開きます。
- プログラムリストから「Windows管理ツール」→「サービス」をクリックして開きます。
- 一覧から「Windows Management Instrumentation」を右クリックして「再起動」を選択します。
- 別のサービスの再起動の確認ダイアログが開くので「はい」をクリックします。
以上の手順で、WMI Provider Hostサービスを再起動することができます。再起動できたら、CPU使用率が高い問題が解決したか確認してください。
対処9: SysMainを無効化する
PCの環境によっては、「サービスホスト:SysMain」のCPU使用率が異常に高い場合があります。
SysMainは、アプリの起動等を高速化できるWindowsの標準機能で、この機能が原因でCPU使用率が高くなるケースがあります。
この機能はSSDを搭載したPCであれば無効にして問題がありません。無効化する場合は以下の手順で設定してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「services.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- サービスウィンドウが開いたら、サービス一覧から「SysMain」の項目を探してダブルクリックします。
- 「スタートアップの種類」を「無効」に変更し、「サービスの状態」の下にある「停止」をクリックしてSysMainサービスを停止します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
SysMainを無効にできたら、タスクマネージャーでCPU使用率が改善したか確認してください。
対処10: Runtime Brokerを無効化する
Runtime Brokerは、Windowsストアアプリを管理するためのプロセスです。
Runtime BrokerのCPU使用率が高い場合は、パソコンにインストールされているストアアプリに問題が起きているケースが考えられます。
そのため、最近新しくインストールしたストアアプリがある場合は、該当するアプリをアンインストールしてみてください。
心当たりのあるアプリが無い場合は、Runtime Brokerそのものを無効にすることもできます。無効化する場合は、以下の手順で操作してください。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- レジストリエディタが起動したら、左ペインのツリーを以下の順に展開してください。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\TimeBrokerSvc
- 「TimeBrokerSvc」キーを選択した状態で、右ペインで「Start」の値をダブルクリックします。
- 「値のデータ」を「4」に変更して、「OK」をクリックします。
- 「4」に変更することでRuntime Brokerが無効に設定されます。設定を戻す場合は、「3」に変更します。
- パソコンを再起動して、レジストリを反映します。
以上の手順で、Runtime Brokerを無効化することができます。PCが再起動したら、CPU使用率の問題が解決したか確認してください。
対処11: Cortanaを無効化する
Cortanaは、Windows10に標準で搭載されている音声アシスタントです。このCortanaの機能が原因で、CPU使用率が高くなるケースがあります。
PCで音声認識を使用しない場合は、Cortanaを無効にすることでCPU使用率を改善できる可能性があります。
Cortanaを無効にするには、以下の手順で操作します。
- 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 名前に「regedit」と入力して「OK」をクリックします。
- レジストリエディタが起動したら、左ペインのツリーを以下の順に展開します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Windows Search
- 「Windows Search」キーが存在しない場合は、「Windows」キーを右クリックして「新規」→「キー」を選択し、キーの名前を「Windows Search」に変更してください。
- 「Windows Search」キーを右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択します。
- 右ペインで、作成された値の名前を「AllowCortana」に変更して、ダブルクリックで開きます。
- 値のデータを「0」に変更して「OK」をクリックします。
- PCを再起動してレジストリを反映します。
以上の手順で、Cortanaを無効化することができます。無効化後に有効に戻したい場合は、「Windows Search」キーを削除してください。
対処12: WindowsUpdateの自動更新を無効化する
Windows10の初期設定では、WindowsUpdateの自動更新が有効になっており、新しい更新プログラムが見つかると自動でダウンロードされます。
自動更新はシステムを最新の状態に保つために便利な機能ですが、意図しないタイミングでCPU使用率が高くなるケースがあります。
WindowsUpdateの自動更新は、設定を変更して無効化することもできます。自動更新を無効化する方法については、以下のページの内容を併せて参考にしてください。
自動更新を無効にした場合は、システムを更新するには手動でWindowsUpdateを実行する必要がある点に注意してください。
CPU使用率が高い状態が改善しない場合
ここまでの方法でCPU使用率が高い問題が解決しない場合は、使用しているパソコンのCPU性能が不足していることが考えられます。
Windowsが快適に動作するPCのスペックは新しいアップデートによって年々上昇するため、性能の低いパソコンはどうしてもCPU使用率が高くなりやすいです。
特に普段からパソコンが遅い・重いと感じることが多い場合は、用途に合った性能の高いCPUを搭載したパソコンに買い替えることを検討してください。